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就労支援の事

前回も少し書いたけど、就労支援は福祉の世界の中でも奥が深いと思う。

事業所を利用する人は色んな障がいがあって利用目的も様々。一般就労に向けて頑張る人、日中活動の場として利用する人、復職したいと頑張る人など。

で、支援者はそれぞれの障がいや目的に合わせて支援をするわけだが、やはり支援に行き詰まるケースもある。

僕たちは数年先の事を考えながら今その人にとって必要なことは何か?を考えながら支援をしているが、利用者さんによっては今、この時しか考える事ができない人もいる。

最初の目的を見失ってしまうのだ。例えば「一般就労したい」でも障害等の問題で今は難しいから就労支援のサービスを受けて、体調等が戻れば一般就労を目指す。という方がいたとして、僕たちは1年くらいの期間で復帰できるように支援の方針を決める。とする。もちろん本人にもその旨を伝え了承をもらう。

しかし1ヶ月もすると「早く復帰したい」となる。さらに1ヶ月すると「自分はもう復帰できるから就労支援を辞めます」と言い出勤率が悪くなる。3ヶ月目には来なくなる。

しかし僕の知る限りではその後きちんと復帰できた人はいない。

彼らが「辞めたい」と言った時すぐに話し合いをしているが、ほとんどが話を聞かない。「自分の事は自分が1番良くわかっている」という感じで。だからその後は来なくなる。来る意味を見出せなくなるから。

焦る気持ちはよく分かるし、もしかしたら他の利用者さんよりも仕事ができるからもう自分には訓練は必要ない。と感じるのかもしれない。でもその焦りが禁物。

「仕事ができれば一般就労が可能」ではない。必要なのは対人関係スキルなのだと思う。人とうまくコミュニケーションが取れなければ難しい。ほとんどの人がコミュニケーションでつまずいてしまう。

まずは輪の中に入る事。それを拒んでしまっては支援が行き詰まってしまう。「輪の中に入れないのは自分の障がいのせいだ」という人もいる。それもあるかもしれない。でも最初から入ろうとしないのと、入ろうと努力したが無理だった。では意味が違う。

焦る人たちは大体最初から輪に入ろうとしない。「自分の障害は自分にしかわからない」と。でも一般で就労しようとなると障がいをさらけ出す勇気も必要なのだと思う。その障がいに伴走してもらえるように。

僕自身、椎間板ヘルニア持ちだ。ここ最近毎日大なり小なり痛みと下半身の痺れがある。この痛みや痺れはきっと誰も分からないだろう。(毎日一緒に過ごす妻でも分からないのだから)でもこの痛みを我慢せずにさらけ出して助けてもらっている。自分が仕事をしやすいように。

助けをもらったりするのって勇気がいる。でもその勇気を出すと気持ちがスッと楽になる。僕はそうだった。

伴走ができないと支援に行き詰まってしまう。みんなの伴走者になる為にはまだまだ勉強が足りないな。



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