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【RSCアンリミ】撤退ロイヤル

1.撤退ロイヤルを使う理由

現在のRSC環境のアンリミテッドにおいて最も勝率を出せるデッキは【AFネメシス】である。《機構の解放》の無限PP無限ドローによる爆発力と、《カイザーインサイト》を始めとしたハンド操作による対応力を持ち合わせ、現環境においても他を寄せ付けない最強デッキであることは間違いない。

しかしながら、本記事にて紹介する【撤退ロイヤル】は明確に使うに足る理由が存在する。

(1)後手捲り

このデッキの大きな長所として、後手を引いた際の明確なプランの存在が挙げられる。

現在のアンリミテッド環境は6Tの決着が攻防の基準の一つになる以上、進化権の差が生きるようなゲーム展開になりづらく、先に高PP帯に到達する先攻が優位の環境である。

その環境の中、撤退ロイヤルは《ラミエル》《不朽の王城》《優雅なもてなし》と3種9枚の後手捲りカードを採用できることから、後手でも先手と遜色ない出力を発揮できる。

王城

もてなし

《ラミエル》は言わずと知れた後手捲りカードの代表。

《不朽の王城》は残りPPが2のときに使用するとラミエルを確定でデッキから場に出せるカードであり、実質的に4~6枚目のラミエルとして扱える。

《優雅なもてなし》は後4に使用することで、ミストリナ&ベイリオンを5コストでサーチしてくることができる。

後4のリオード進化置き+もてなし→後5のミストリナ&ベイリオンスタートは、このデッキで最も強いムーブの一つ。

後4リオード進化置き

「相手に先に動かれない」というメリットは大きく、後手の方が強いデッキだとまでは言えないが、コイントスで一喜一憂せずに済むのは精神衛生に良い。


(2)対ウィッチの相性

イザベルの加入で現在のランクマッチ環境で多く見かける顔が【超越ウィッチ】/【疾走スペルウィッチ】であり、【撤退ロイヤル】はそれらに強いことも評価点の一つ。

ウィッチ側はこちらの攻めの二軸であるラミエル/リオードを綺麗に処理できるカードが少なく、これらが暴れてライフを大きく落とし込む→撤退無しのミストリナ&ベイリオンで削り切るという展開を狙いやすい。

お手軽AoEのユニオンマジック/1c3点の紅蓮の魔術を生成できるイザベルの登場で、それまで除去カードだったスロットがイザベルに置き換わったためラミエルに対処する手段が少ない。

ほぼ《虹の輝き》の採用が見られなくなった【疾走スペルウィッチ】は、進化ターンまで《刃の魔術師》を当てるくらいしかラミエルを取る方法が存在せず、【超越ウィッチ】も《グランドブレイク》や《輪廻の女神》の採用が減っている。
進化置きリオードは複数枚のルーニィ及びユニオンマジックを吐く他なく、ほぼ取られないと言ってよい。

大型守護を持たない、5Tまでの回復は基本的にルーニィのみという点も相まって、現状では明確に有利といっていいであろう対面となっている。


(3)生成コストの低さ

上の2項に比べれば些事ではあるが、生成コストが低いことも魅力の一つ。

ローテーションの撤退ロイヤルを持っている場合、必要な追加レジェンドは《不朽の王城》のみ。ゴールドの《思わぬ躓き》もコラボカードとして配布されたカードであり所持している方が多いだろう。


2.基本的なゲームプラン

(1)12点ライン

第一の目標は、劇的な撤退が絡まずとも勝利を狙える12点以下にライフを落とすこと。

・ミストリナ&ベイリオン単体で8点
・ミストリオン+戦果のオークションで10点
・ミストリオン+分身の術で12点
(進化込み)

とラインが存在し、当然ながら落とせれば落とせるだけ勝ちが近づく。

ライフを削る役割を果たすカードが、《ラミエル》/《月光の執行者・リオード》/《戦果のオークション》の3枚。

ラミエル

能力によって受けるダメージを0にするラミエルは、序盤にフォロワーを出してこない相手に対して強力なアタッカー。このデッキは王城と合わせて実質6枚採用の形となっており、高い確率で2ターン目の設置を狙うことができる。

リオード2

進化置きで6点ライフを削れるカードでありながら相手の対処手段が少なく、12点以下を目指す上で最も重要なカード。先攻時は5Tにこのカードの進化置きを目指して動くことが多い。

オークション

デッキ内の指揮官カードは3枚のみと、ほぼ2ダメージ2回復の効果を起動させることが可能。手札を失わない打点であり優秀なダメージソース。

(2)撤退プラン

当然そう上手く12点以下にライフを落とし込めるわけではないため、打点を飛躍的に伸ばす《劇的な撤退》が重要となってくる。

撤退

よくあるパターンが、

「ミストリナ&ベイリオン(3PP使用残り3PP)
→撤退(1pp使用残り2PP)
→サーチ(1PP使用残り1PP)
→ミストリナ&ベイリオン(0PP使用残り4PP)」

6+6(+進化)の14点。これに残り4PPで分身やオークションなどを合わせることで一気に20点近い打点を出すことが出来る。

サーチカードが無くとも王城で0コストのミストリナ&ベイリオンをデッキから直接場に出す択も採れるようになり、このカードが1枚あるだけで選択肢が大きく広がる。


(3)「ミストリナ&ベイリオン+分身」盤面の押し付け

先6後5の「8/9守護+4/6守護の盤面」は過信できるような強盤面ではないが、相手のデッキタイプやハンド状況によってはこれを超えて勝ち切ることが難しい場合もあり、次のターンが回ってくることが期待できる。

撤退を引けていない、打ったとしてもこのターン中に勝ち切れる望みが薄いときは、分身盤面を押し付けて次のターンに託す動きも検討したい。


3.マリガン

共通キープ
《劇的な撤退》、《ラミエル》、《不朽の王城》

《劇的な撤退》
上述の通り、ライフを大きく削るためにはこのカードが必須となる。ラミエル/リオードが通らない対面では、このカードを全力気味に探しに行くことも多い。
《ラミエル》
先攻ならば場持ちの良い2/2/2として、後攻ならば後4でのランプを狙ってキープする。容易にラミエルを処理してくる相手でも、置き除去として有用なことが多い。対面によっては他の後手捲り札が見えていなくても後2に打点を期待して出していくこともある。
《不朽の王城》
ラミエル換算でキープするが、撤退ループを確定させるため/進化置きするためにリオードを出す、0コストのミストリナ&ベイリオンを出すために使うと多彩な使い方が可能。対面と手札の状況に応じて最適な使用法を考える必要がある。


先攻キープ
《戦果のオークション》

《戦果のオークション》
手札を減らさずに2点ダメージを与えられるカードで、優秀なダメージソースであるためキープすることが多い。


後攻キープ
《優雅なもてなし》、除去(必要な対面)

《優雅なもてなし》
後手捲り札の1枚であり、またこのカードでしか後4リオード→後5ミストリナ&ベイリオンを実現できないためキープする。
除去(《威風の団結》、《鎧袖一触》、《思わぬ躓き》)
どれだけ除去カードを引けるかに掛かっている対狂乱はもちろん、序盤のダメージを抑えることが重要となる対教会、対AFでもキープすることが多い。


4.採用カードについて

撤退R


(1)《飢餓の輝き》の不採用理由

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ラミエルとのコンボが強力な勝ち筋となるバフカード。先2ラミエル→先3飢餓はそれだけでゲームに勝ちうる破壊力を持つ。ミストリナ&ベイリオンのターンの打点補助としても使用でき、緊急時の除去にもなる。

ラミエル飢餓飢餓

分身と異なり《極光の天使》を置かれたときに減衰されない打点となる点、対ネメシスでフォロワーの体力を減らせる点は特筆すべき長所。

しかしながら基本的にラミエルありきのカードであり、ラミエルにこのカードを打てる展開=そもそもラミエルの対処が苦手な対面/事故気味の対面で、飢餓が無くとも勝っていることが多い。

このカードを採用するために除去カードを減らすと対狂乱、対ラスワ、対AFへの相性が悪化し、ナテラ生成カードやサーチカードを減らすとそもそもの撤退ループの成功率が下がる。 

総じて五分~不利寄りの対面のガードを下げることで、既に有利な対面を更に有利にするカードという認識で、このカードを採用するよりしっかり軽量除去を積む方が勝率が上がるというのが現時点での考えである。


(2)《ナテラの未来》、《ブレイブ・マナ》の配分

未来

ブレイブマナ

合計での採用枚数を5枚以下にする場合にどちらを落とすかが人によって分かれる2枚。《ナテラの未来》は、リソースカードに換算できる点、また1コスト×3のカードでPP調整に向いており王城と相性が良い点が長所。《ブレイブ・マナ》は、事前準備無しで《ナテラの大樹》に変換できるカードであり、後引きが許容される、除去にPPを使ってしまいナテラの準備にPPを割く余裕の無いときに光る。

自分は両者を比較した場合、分割3PP2ドローで撤退などを探せる《ナテラの未来》の方が明確にデッキにマッチしていると感じているため、こちらを3枚採用している。


(3)除去の序列

威風の団結

ナテラに変換でき、どんな時でも1コスト2点除去となる《威風の団結》が最も優先度が高い。他の2種と異なりエンハンスを持たないため、5PPで王城からリオードを出したいときにPP調整として使いやすい他、7PPからミストリナ&ベイリオンを投げる前に不死者を除去という動きもできる。

躓き

デッキ内のフォロワーの枚数が6枚と、ほぼ2コストランダム3点として運用できる《思わぬ躓き》。他の除去と異なり対象がいなくても空打ちできるため、状況問わず2コスト1ドローとして扱える点に優れる。

先5でエンハンス5を使いたくなることが多いカードだが、手札の欠損カードがミストリナ&ベイリオン、またはナテラの大樹の場合は、オークション+躓きなどで2ドローに抑え、1PPを残してサーチカード、ナテラの未来などを使えるようにしておいた方が良い。
受けがミストリナ&ベイリオン本体のみだと2枚なのに対して、サーチカードを含めれば11枚。ナテラも同様にマナだけだと受けは2枚、未来邂逅団結を含めれば11枚の受けとなる。


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《鎧袖一触》は手札にミストリナ&ベイリオンを抱えている必要があるが1コスト4点と最も除去範囲が広い。《煉獄のダークナイト》という仮想敵が存在するほか、このカードを引いていると対ラスワの早期骸にも対応できることがある。エンハンスで4点AoEとなる点も対狂乱、対AFなどで重要。

ただやはり手札の指揮官依存というデメリットも大きく、除去したいタイミングで手札にミストリナ&ベイリオンがいない、サーチでリオードを引いてきてしまい除去できないリスクを孕むカード。マリガンの段階からその点を意識して運用する必要がある。

《思わぬ躓き》と《鎧袖一触》は一長一短だが、空打ちで2コスト1ドローとなり腐る展開のない躓きの方が総合的に優れていると感じることが多い。ただ両者ともに重要なカードであり、3枚目の《思わぬ躓き》よりは1~2枚目の《鎧袖一触》の方が優先度が高いと考えている。

《両雄激突》は大型守護を処理可能、《熾天使の剣》はラミエル/ダメージカットアミュレットを破壊できる、と採用を検討できる長所を持つが、汎用性が上記3枚に比べると大きく劣る。ナテラギミックを搭載しているとはいえそれ程山札を掘れるタイプのデッキではないため、使用範囲が広いカードをメインに採用したい。


5.諸対面の立ち回り

有利
・【疾走スペルウィッチ】
・【接近ダゴンドラゴン】
・【庭園ゾーイドラゴン】

微有利
・【超越ウィッチ】
・【ディスカードドラゴン】

五分
・【ロキサスリノエルフ】
・【モノヴァンプ】
・【教会ビショップ】

微不利
・【ラストワードネクロ】
・【狂乱ヴァンプ】

不利
・【骸ネクロ】
・【エイラビショップ】
・【AFネメシス】

エルフ
【ロキサスリノエルフ】を想定。

《荒野の休息》の2点回復、《森を彩る者・エルフクイーン》でリオードが処理されるなど、先6後5にミストリナ&ベイリオン+αで削り切ることは難しいため、分身/ラミエルを合わせて一度守護盤面を形成→次のターンで削り切るという2ターン計画をとることが多い。エルフクイーンの進化時効果やヴァーミンハンター、シャムのいたずらに耐性を持つラミエルは確実に相手のコンボを減速させることができる。

その他【ラティカエルフ】【アクセラエルフ】【アグロエルフ】【豪リノエルフ】と殆どのエルフデッキは疾走を軸にしているため、ミストリナ&ベイリオンの押し付けが有効なことが多い。


ロイヤル
【撤退ロイヤル】を想定。

お互いにラミエルに対処できるカードが少なく、ミストリナ&ベイリオンの5点を受けとめられることから、ラミエルが非常に重要なマッチアップである。

進化ターン前のラミエルに対処する手段が、「こちらもラミエルを出して相打ちしてもらう」「ラミエル分身で取る」の2つ、先5後4ではさらに「進化権を使って当てる」になる。確実に対処するために一度放置して進化権で取る、分身と合わせて処理するなど、相手のラミエルにどう対処するかを常に意識してプレイする必要がある。

基本的にミストリナ&ベイリオンを後出しすることになる先攻時は、ラミエル2枚出しでライフを詰めつつ5ターン目までラミエルが1体生き残る展開を目指したい。


ウィッチ
スペル系ウィッチを想定。

「相手のライフを12点まで削る→ミストリナ&ベイリオン+αで勝つ」プランを狙いやすい相手。ラミエルビート→リオード進化置き→ミストリナ&ベイリオンで勝つことを目指す。

疾走と超越の差としては、
超越の方がラミエルの対処手段を持っている可能性が高い。(《虹の輝き》、《輪廻の女神》の採用率が疾走より高く、《グランドブレイク》が採用されていることもある)
超越の方が時間制限がシビアで、先7後6が回ってこないことが多い
点が挙げられる。


ドラゴン
庭園系ドラゴンを想定。

庭園下でサーチ札を使い、3コストのミストリナ&ベイリオンを手札に加えることを目指す。ラミエルの通りも良く、かなりの有利対面。


ネクロ
ラスワネクロを想定。

《黒き死の騎士》、《ナイトメアイーター》と回復量が多い、また6ターン目にはほぼ《人外魔境・クリストフ》のリーダー付与効果が起動することから、先6後5に削り切ることが求められる。序盤は面の圧が弱くまた5面埋まりやすいことから、リオード進化置きの盤面ロックは常に検討したい。

《よろめく不死者》はある程度割り切った上でミストリナ&ベイリオンを出していくことも必要。ケアして1ターン除去に回ったとしても《忌まわしき再誕》で復活する可能性がある、1ターンの猶予でクリストフが間に合ってしまう、《セレスト・マグナ》を置かれてしまうなど負けパターンが多い。

対純骸含め、早期の骸展開を捲って勝つことはかなり難しいため諦めも肝心。


ヴァンプ
狂乱ヴァンプを想定。

とにかく除去をかき集めて、ミストリナ&ベイリオンのターンまで繋ぐことを目指す。どのデッキで狂乱の相手をするときもそうだが、2ターン目に出てきた《サードニックデーモン》/《デコレーションデビル》を確実に除去することが大切。

先攻時はラミエルやリオードが置き除去として強力であり除去スペルの節約になる。


ビショップ
エイラビショップを想定。

4ターン目以降、大型の多面守護が並び続ける厳しいマッチ。基本的に撤退ループを決めて20~22点を一気に削るプランを目指すことになるが、例え完璧なハンドが来たとしても《神域の法王》等の守護盤面を超えることは難しい。


ネメシス
AFネメシスを想定。

解放絡みのシオンムーブが厳しいのはもちろん、散発的に並べられたアナライズやスピネにシオンを掛けられるのも厄介。切り抜けたとしても《虚数物体》、《プロテクトアーティファクト》と強力な妨害が待ち受けている。

虚数欠損を祈って最速撤退ループを目指す、またはリオードを撤退で使いまわして3点×2を刻んでいくのが勝ち筋。いずれにせよ序盤の被ダメージを抑えることが重要となる。

ネメリオード

ネメリオード2

リオードが安着するとそれだけで勝てることがある。


6.終わりに

久しぶりに明確に強いと言えるアンリミテッドのロイヤルデッキである。

今シーズンは残り20日ほどだが、プレイ難易度、生成コスト共にお手軽な部類に入るため、1000位を目指す人を始め多くの人にお勧めしたい。

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