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日本語そのものの文法論

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日本人は明治期以降、自然科学ばかりでなく人文的な分野においても、西欧系社会からの影響を大きく受けてきた。文法論もその一つだが、性質のかなり異なる西欧言語の文法が前提として頭に入っ… もっと読む
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記事一覧

江戸時代に日本語の”進化論”を考えた学者が居た〜鈴木朖の《言語四種論》

 生物学における進化論とは、生物は原初の単純なものから、徐々に変化して現在のような姿にな…

こだかな
5か月前
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鈴木朖《言語四種論》全文

凡例富山市立図書館のウェブサイトに公開されている文政七年刊本書影より写す。 原文では地の…

こだかな
5か月前
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動詞の性質が語順に関与すること

 文を舞台にたとえると演技を指示するものにあたるものとしての動詞は、日本語では基本的に文…

こだかな
5か月前

日本語に「主語」はあるのかないのか?

 わたしはここまで、日本語の語順について論じながら、文法論の主要な用語である「主語」とい…

こだかな
6か月前
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住所の文法と語順の原理

(承前)  住所とは文なのか、あるいは、住所に文法があるのか、と問われるかもしれない。し…

こだかな
7か月前
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日本語の語順についてのいくつかの観察

(承前)  今回は、語順の原理について考える前に、いくつかの基本的な構文について、もう少…

こだかな
7か月前
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文と語順のこと

 文を作るということは、言葉をある順序に並べるということである。このとき、並び方になんの秩序もないと、それは単なる言葉の羅列になって、文にはならない。なぜだろうか。  言葉が文になるということは、並びの中の言葉に何らかの方向が与えられて、個別的な辞書的な意味を超えるということだと、こう考えてみることにしよう。つまり、文が演劇の舞台だとすると、名詞には主役か脇役かという配役がされ、動詞には名詞がする演技の指示という位置付けが与えられなければならない。  例として英語の場合、