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研修医、夜間救急外来をSurviveする〜役立った医学書3選とERでの心の在り方〜

研修医2年目、私の8月期はひたすら夜間救急外来ローテでした。
私にとり研修医1年目の時はこのローテがとにかく大変で笑
「この患者さんにまず何する?」
「この処置ってどうやるの?」
「処方どうするの?」
1年目の時はとにかくわからないことだらけ・・・。
私が1年目の時は、テキパキ動ける2年目の先生が輝いて見えて、「自分は来年こんな風になれるんだろうか?」と不安でいっぱいでした。
でも2年目になると、診療の流れが見えているという強みがあり、意外とできるようになっているものです。
研修医のほぼ全員が、当直業務で救急外来対応に追われる日々だと思います・・・。本当に皆さんお疲れ様です💦

2年目になって1年目を指導する1ヶ月だったこともあり、色々思うところもありました。
そこで、夜間救急外来月間が終わったばかりの頭で、役立った医学書と、心の在り方の二部構成で書きたいと思います。
今回も、あくまで個人の感想ですので参考程度に。
COIはありません。

○役立った医学書3選

・いざ患者さんを診る前に 「当直ハンドブック」

https://www.amazon.co.jp/当直ハンドブック-Ver-2-志賀-隆/dp/4498014138/ref=pd_lpo_1?pd_rd_i=4498014138&psc=1

救急外来だと、患者さんの主訴と簡単な病歴だけ先に情報が伝えられることがほとんどだと思います。この本の最大の魅力は、「2分で診療の流れを把握できる」ことだと思います。要点→挙げなければいけない鑑別疾患→オーダーすべき検査→初期治療→入院適応→再来院時指示、の流れで載っており、経験のない1年目でも、これから何をすべきなのか一目でわかるロードマップ的存在です。入院適応や再来院時指示が簡潔にまとまっているのはとても嬉しいところ。2分でパッと予習して、いざ診療へ。

・診療中にも見返して確認 「京都ERポケットブック」

https://www.amazon.co.jp/京都ERポケットブック-洛和会音羽病院-救命救急センター・京都ER/dp/4260034545

フルカラーでポケットサイズの救急外来のお供。赤・黄・緑とトリアージされた症候学のページが一番目を引くところですが、ぜひ後半も読み込んでみてください。「特殊分野編」と題した項目に、外傷処置の方法やマイナー科救急対応の仕方など、まさに研修医が「これどうしよう?」と思うところがまとまっています。例えば、どんな外傷の患者さんで抗菌薬処方すべきか、破傷風トキソイドを打つべきか、など。とても実践的なマニュアルです。処置や処方の前によく見返しています。

・自分の診療の振り返りに 「救急外来ただいま診断中!」

https://www.amazon.co.jp/救急外来-ただいま診断中-坂本壮/dp/4498066820

救急外来で診療し、終わった〜、だけでは勿体無い。自分の診療の振り返りは、診療能力をアップするためにとても重要だと思います。ここで紹介する「救急外来ただいま診断中!」のオススメポイントは、救急医の思考プロセスがとても丁寧に書かれていることです。「なぜこう考えるのか」というところまで理解することで、より深く記憶にも定着します。「この症候では〇〇を考えなければいけない、だから、今自分は□□をする」という思考で動けると、診療の精度もスピードも格段に上がると思います。救急外来で対応した症例の復習にぜひ。

○ERでの心の在り方

・看護師さんとのコミュニケーションを大切に。

社会人として働く上で、そして、チーム医療の実践の上で、ほう・れん・そう(報告、連絡、相談)はとても大事なことです。ERという、時間の流れがとても速いところでは、一層ほう・れん・そうが迅速にできるかが問われます。
例えば、「この患者さんは、採血して輸液、そして造影CTとることになると思います」と、予想の段階からこまめに看護師さんに言っておくことで、看護師さんも動きやすくなります。ERの処置からベッドコントロールまで、仕切ってくださっているのは看護師さんです。医師ー看護師間で良好なコミュニケーションができていると、それだけ診療の流れもスムーズになります。ERでは特にスピーディーな対応が求められるので、予想の段階でも良いから、「この患者さんはこういう方針になりそうです」と伝えておくと良いです(もちろん、研修医は指導医に確認してから伝えるで構いません)。

・困った時に「助けてください!」とすぐ言えるように。

・患者さんをとりあえず診察したけど、どうしたらいいかわからない・・・。
・この患者さん、なんかすごく具合悪そうだけど、指導医に報告は全部診察終わってからじゃないとな。
・患者さんを怒らせてしまった・・・。収拾つかない、どうしよう・・・。

ERは時間の流れがとても速いので、研修医が困っている時間はその分無駄な時間になってしまいます。「何でも聞ける」のは、研修医の特権です。ちょっとでも不安に思った段階で、指導医に確認するのが一番早く、それが患者さんのためだと思います。パッとみて明らかに症状が重そう、バイタルサインが不安定なら、まずは指導医に一声かけましょう。困った状態になりそうな段階で、指導医に助けを求めて良いんです。研修医は指導医に聞きすぎるくらいがちょうど良いです。それで小言を言われたとしても、それを怠って後から「なんでもっと早く相談しなかった!!」と言われるより断然マシですし、何より患者さんの不利益を回避できます。

・使命は「帰してはいけない患者さんを帰さない」こと。

ERは緊急性疾患を否定し、「帰してはいけない患者さんを帰さない」ことが何より大事です。そこに全エネルギーを注ぎましょう。診断は、無理につける必要はありませんし、完璧を求める必要はないです。とりわけ研修医1年目だとスムーズに行かないことが多く、緊迫しているERでの業務はストレスフルだと思います。でも、帰してはいけない患者さんを帰しさえしなければ、まずは合格です。スピーディーな診療は最初から上手くいくものではありません。最初はちょっと時間がかかっても良いので、一人一人を診て、どういう患者さんが帰してはいけない患者さんなのかを学んでみてください。1年目から丁寧にそこを学んでいくことで、2年目からはそこに磨きがかかり、スピーディーにできるようになっていきます。うまくいかないことはたくさんあると思います。でも、めげずに続けていけば確実に成長している自分に気づけるはずです。

以上、2年目で夜間救急外来ローテを回ってみて思ったことをまとめました。
ここに書いた言葉は、1年目で夜間救急外来をローテしていた自分にかけてあげたい言葉でもあります。

夜勤明けのため変な時間に就寝してしまい、早朝から一気に書いてしまいました・・・。
少しでも救急外来での対応に不安に思っている研修医の役に立てれば幸いです。

明けない夜はない。




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