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【ジャーナル】[Part2]こうち100人カイギ vol.11 公文 順子さん(Kochi Startup BASE®️運営スタッフ)/竹内 慈永さん(株式会社のびる 社員)


2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画はついに折り返しに入りました。
今回は、2020年1月15日(水)に開催された、vol.11に登壇いただいた5名、1人1人の話にフォーカスを当てています。

参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.11の登壇者>
5名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、
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※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。


岡林 雅士さん(Part 1掲載)

公文 順子さん(Part 2掲載)
竹内 慈永さん (Part 2掲載)

前泊 雅人さん (Part 3掲載)
松浦 春選さん (Part 3掲載)


2人目の登壇者は、Kochi Startup BASE®️ 運営スタッフの公文 順子さん。

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南国市出身・在住。
リハビリ専門学校を卒業後、地元の精神科病院で17年間認知症高齢者、アルコール依存症を主に対象とし作業療法士・認知症ケア専門士として子育てをしながら働く。不妊治療をきっかけに「自分の幸せとは」と自分自身と向き合う中で「自分が本当にやりたいこと」を考えるようになり、病院勤務を離れる。退職後自身の実家の農園経営に携わるほか、子育てをする同世代の働く女性の視点・作業療法士としての経験を活かし、個別のメンタリング、地域活動、KSBではイベント企画・運営を行う。

自分の在り方に気づいたきっかけ

南国市で生まれ、地元の小中高を卒業した後、親の勧めでリハビリの専門学校へ入学した公文さん。作業療法士として、精神科病院に17年勤めていましたが、現在は離職し、実家の農園の経営を行う傍ら、農福連携のコーディネートやKochi Startup BASE®️のスタッフ、個人的な活動としてメンタリングやお話し会の主催など、多岐にわたり活動しています。
作業療法士という職を辞めて、今の活動を始めた理由は『不妊治療』の経験だ、と語ります。
公文さんは作業療法士時代に結婚しましたが、なかなか妊娠することができませんでした。結婚したら当たり前に子どもができるかと思っていたのに、できない現実。不妊治療に挑み、補助金を受けて3年ほど治療を試みましたが、それでもうまくいかず、「こんなにもお金や時間をかけても手に入らないものがあることを知った」と当時を振り返りました。しかし、その経験から「どうして自分はこんなにも子どもが欲しいのか。自分の幸せってなんだろう」と考えるようになります。

新しい学びと出会い

結婚して、子どもができて、安定した職について、一軒家を建てて。
いつの間にか、親や周りが思う幸せの形が、自分の幸せだと思っていました。その頃、「自分は幸せだ」とは感じていましたが、その幸せは誰が主語なのか、と気づきました。それまで両親や兄姉、夫のため、仕事で関わる患者さんのため、一緒に働く人のため、自分を支えてくれる誰かのために、公文さんは生きてきましたが、『自分のために』という大事なところが抜けていたのです。
治療をやめた後、子どもに恵まれ、今は小学2年生の子どもがいます。その子が生まれた時に、実家の農業は父から兄へと継ぐようになったのですが、事業は思うようにうまくいかず、経理を頼まれました。育休中で時間もあったため、引き受けることに。それまで医療職だった自分が、税理士さんや今まで関わったことのない方々と出会い、これまで感じたことのない喜びや楽しさを感じました。

自分の知らないことを学びたい

3年前に仕事をやめ、本格的に農業の経営に入りますが、それまで作業療法士として働いていた頃より時間にも余裕が出ました。
「今まで知らなかった世界で、いろんな人と出会い、もっと知らないことを学びたい」そう思った公文さんは、新しいことを始めようと思い立ちます。「どうせするなら面白い人に会いたい。面白い仕事がしたい」そんな思いで見つけたのが、『Kochi Startup BASE®️』。ここで行なっているイベントでは、大学生から社会人まで幅広い年齢、そして多種多様な方々に出会いました。「こんなところでバイトをしたい。」そう思った矢先、求人を見つけ、『Kochi Startup BASE®️』のスタッフになることに。イベントの企画や運営をしていく中で、様々な人や人の価値観に触れ、自分の学びにもなる。学び続けることが楽しい、そう言葉が続きました。

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自分と向き合う

学び続ける日々で、ふと「じゃあ今度私はどうしたいか?」と考えました。みつけた答えは「自分自身と対話をすること」。その対話の方法としては、とにかくその時の自分の感情に向き合うこと。公文さん自身、『怒り』を無理やりポジティブに変換することが多いため、その時の嫌な感情を感じ取って、どうしてその感情が出てきたのかということを深掘りすることにしています。
また、自分自身に向き合い、自分の心が喜ぶこと、自分の体を大事にしている感覚のことをしている、とも話してくれました。自分を大事にしてあげると、自然と心が安定してきて、何にでも「ありがとう」という感情が生まれます。
そうなると、行動するときに迷いがなくなり、ブレなくなりました。
B型で自己中、マイペースといわれ続けてきたので、それがだめだと思っていましたが、今では自己中心と言われても自分に好きな事を、と思って行動しています。

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私がこれから目指すもの

最後に、これから自分がしたいことを話してくれました。
「自然の中で人の生きる営みを一緒におこなう伴走者になりたい。」
それは、自分の強みをいかして、自分のうまれた場所、自然に囲まれた農業という生業のある場所の強みを生かしてそこに生きる人たち、幅広い世代の地域の人たち、障害や生きづらさを抱えた人たちの強みをいかして循環をさせることを今やりたい、と思っています。
自分の農園の事業の発展を始め、農福連携やお山プロジェクト、地域のゆるいコミュニティなど、今後も自分の気持ちの向く方に活動していきたいと笑顔で話してくれました。



3人目の登壇者は、株式会社のびる 社員の竹内 慈永さん。

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1992年生まれ。高知市出身、中途半端に仁淀川育ち。
高知高専専攻科卒業後、大阪府吹田市の建設コンサルタント会社へ就職。3年間、日本西部の都道府県の下水道施設のコンサル業務に携わり貴重な経験を積み高知へUターン。「もっと近くで人とつながって自由に発想して働きたい」と思った矢先、高知出張の際あることをきっかけに外資系生命保険会社へ転職。2年間という自分なりの区切りを設けて酸いも甘いも経験した後、2019年6月から高知のベンチャー企業「株式会社のびる」の社員として再転職。営業・広報・SE的な役割を担う。


身体の成長とともに

竹内さんは今年で28歳。「28年間、自分が今までどんな風に生きてきたかを話します。」と言ってまず見せてくれたある2枚の写真。(画像参照)
従兄弟と一緒に、自分の父親の背中に馬乗りになっている写真を今と昔と、それぞれ比較できるように並べて見せてくれました。今の姿は遥かに父親の姿を上回っているのが歴然です。「身体も大きく成長する中で、いろんなことを蓄えてきた。その蓄えを話すことができたら」と、笑いを交えて自分を振り返っていきました。
高知高専で7年間学生生活を過ごし、大阪の建設コンサルタントの会社に入社しました。3年経った後、それまでと全く異なる外資系の保険会社に転職。2年で区切りをつけると元々決めていたため、その流れで昨年(2019年)、高知に帰省。同年6月から、ベンチャー企業である現在の職場『株式会社のびる』に入社しました。

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僕の原動力は

2019年の後半、自分の企画として、高知 蔦屋書店でイベントを開催しました。ターゲットは、小さな子どもとその家族。イベントは予想以上に反響があり、大盛況で幕を閉じました。学生から社会人になって、たくさんの人と触れ合う中で、一番大切にしていること『人との繋がり』です。
そう思うきっかけとなったのは、大阪勤務時代に出会ったバーのマスターとの出会い。大阪に出て、右も左もわからない、知り合いもいない地で、竹内さんを導いてくれました。いろんな人と引き合わせてくれ、そこからまた繋がりが増え、今でも交流は続いています。その経験を通して、人ととの繋がりは人の中にあることを感じました。
今、竹内さんは、マスターが自分にしてくれたように「何か人の役に立てること、人と繋がることが自分自身の原動力だ」と話しました。


心の赴くままに

「楽しそうだと思ったらすぐに飛び込んじゃう」と自分を表した竹内さん。
自身のやってきたこと、関わってきたこととして、卓球やブレイクダンス、ダイビング、写真撮影などがあると話し、自身のことをよくも悪くも好奇心旺盛な性格と言います。今仕事以外に活動しているものがいくつかあり、紹介してくれました。
一つ目は、『四国龍舟』というドラゴンカヌーチーム。昨年からメンバーとして所属し、須崎市で毎年夏に行われている大会に参加しています。
二つ目は、『Make A Wish of JAPAN』という団体の高知会員。これは、3歳から18歳未満の難病と闘っている子どもたちの夢をかなえ、生きるちからや病気と闘う勇気を持ってもらいたいと願って設立されました。活動内容に感銘を受け、会員になったそうです。高知でも該当する子どもがいるので、これから自分も支えていきたいと話しました。
三つ目は、『NPO団体NLA』。これは、学生の表現の場を作っていく団体で、学生時代にブレイクダンスで関わりました。いろんな学生を集めて、自分たちで作り上げる文化祭のような、学生の思いを社会へ発信する場を作っていく活動もしています。

One for All,All for One

四つ目の活動として、所属している『八京農園会員』について話してくれました。竹内さんの知人は行政書士をしている傍ら、「土と戯れる」がメインテーマの農園をやっています。その方は「好きなだけ掘って遊んで構わないが、2割くらいは自分たちで埋めなさい」と言います。
そこには、土と遊んで、その土で自分たちが学び、採れたもので料理をして楽しんでいってほしい、という思いが込められているそうです。こういった普段できない経験をさせてもらえるのも、ありがたいご縁だ、と竹内さんは感じています。
なんでもないような関係だった人たちが、何かを起点に繋がって、その力でみんなが動く。いろんな人と知り合い、輪が広がっていくにつれ、「All for One,One for All」の精神がどんなことをする上でも大切だ、と実感しています。

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繋がりに価値を見出して

最後に、28年間生きてきた今だからこそ思うことがある、と自身のこれからについて語りました。自身の経験を経て、竹内さんは人の輪やコミュニティに属することが、最も大切だと考えています。それは、自身が大阪で教えてもらったこと、村づくりの概念の存在でした。
今、日本は核家族化が進み、どんどん周囲とのコミュニティが薄くなってきています。その中で、人と繋がっていくことは、昔でいう『村を作る』という感覚に近いのではないか、と考えます。
隣の人が困っていたら、横だけでなく、後ろの人も、そのまた後ろの人も助けてくれるような関係性。希薄になりつつある、他人を思う感覚が村づくりの原点なのではないか、と続けます。その感覚を起点に、自分はいろんな人と繋がっていきたい、と思いを言葉にしてくれました。そして、その思いが、これからの自分にとっての原動力だ、と締めました。


【総括】

「誰かのために」を「自分のために」に変化させ、その経験から自分のような方や、障害を抱える方など、自分を必要とする様々な人の支えになりたいと話す公文さん。「自分のために」なった後の行動力に、私含め参加者の方々も目を見張らずにはいられなかったのではないでしょうか。
また、人と人との繋がりに価値を置いている竹内さん。自分が嬉しかった経験を胸に、興味のあることに参加して輪を広げており、その輪の一つとして100人カイギに挑戦してくれました。

どちらのお話も「人」に関わりたいという思いが強く伝わり、この人と話してみたい、そう思える内容だったと思います。

(レポート:畠中 詩織)

100人カイギとは 
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。

問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒781-0084 高知県高知市南御座90-1 高知 蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/



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