【レポート】こうち観光実践しゃべりば#13 ~“物販”で地域に活力を生み出そう~
第13回目のテーマ「物販(お土産)」
『こうち観光実践しゃべりば』は、観光に対する自身の活動や想いを語り合い、自分たちで気づき、認め合い、応援することで、高知の観光に緩やかなつながりを生み出す場です。
講師の話を聞くのとは異なり、参加者同士で話し、見つめなおすことで、明日から使える、より実践的な学びを提供します。
今回のテーマは、物販(お土産)。
観光地の活性化というと、ついつい観光客数に目が行きがちですが、観光産業を通して「地域にきちんとお金が落ちているか」ということが実はとても重要です。
そういった中で、地域にお金を循環させるため、またオンリーワンの魅力を生み出し伝えるために、お土産物は非常に有効な資源といえます。
今回のしゃべりばでは、そんな物販(お土産)に着目し、高知県内外の事例や参加者の経験をもとに物販の可能性を参加者同士で語り合い、地域の魅力や活力を生み出すための自分にできる一歩を考えました。
どんな地域のお土産に心惹かれる?
チェックインの後、物販による地域振興のポイントを確認しました。
観光で地域を盛り上げようとする際、つい観光客数ばかりに目が行きがちですが、実際には来てもらっても景色だけ見て帰ってしまう、むしろ渋滞やマナーの悪さなどで地域にマイナスになっていることもあります。
人が来ることが目標ではなく、来た人にお金を落としてもらい地域の経済を回してもらうことが重要なのです。
その点で、お土産や道の駅などで販売している地域産品はお金を遣ってもらいやすい部分。
今回は、そういった物販に着目して議論をすることにしました。
次に、お土産に関するアンケート調査の結果を参考にしながら、お土産購入の傾向を考えました。
自分用、親しい人用、大人数用でアプローチの仕方が変わってくることを確認したうえで、自分たちは実際にどのような基準でお土産を選んでいるか発表し合いました。
「地域の特色がよく分かるもの」「子どもの教材になるもの」「デザイン性が高く、形が残るもの」「ストーリーが語れるもの」など、年代や性別、目的ごとに様々な判断基準があることが分かり、お互いに新たな気づきとなりました。
高知のお土産について考えよう
物販のニーズについて議論したのち、実際に高知にあるお土産がそのニーズを満たしているかどうか、またどんな商品があればもっと充実するかを考えるために、高知のお土産を挙げてマトリックスにするワークを行いました。
定番の『かつおのタタキ』、『芋けんぴ』、『ミレービスケット』などから、『サンゴ』、『竹加工品』などの高級土産まで様々挙げられましたが、昔ながらの定番品やそのままの素材が多く、洗練されたブランド商品や、ひとひねり加わった珍しく新しい、でもその地域にしかないという商品は、まだあまり多くない、という印象でした。
それを踏まえて、こんなお土産があればいいのでは、というアイデア出しも行いました。
‐自分で体験出来て、お土産も持って帰れるセット商品
(化石堀り、果物収穫とアイスづくり、カツオ一本釣り体験やうるめ網漁体験、刃物づくり体験など)
‐高級感のある魚加工食品(からすみ、魚醤など)
‐高知にはユズ、山椒、薬草、杉などフレーバー系の産品が多いので、お菓子やリキュールに用いる
などのアイデアが出ていました。
参加者それぞれの出身地域の特産・特色を生かしたお土産が形にできないか、全員であれこれ議論しながら、楽しく本気で考えていた姿が印象的でした。
他地域から学び、再び高知を考える
また、他地域のヒットしたお土産、ひと工夫されているお土産の事例を見ながら、どういったところにヒットのポイントがあるのかを考察しました。
米、茶、さつま芋、和紙など高知にもある産品が事例として取り上げられていましたが、どれも洗練されたデザインやついつい手に取ってしまうサイズ感、外国人にも分かりやすい見せ方などが工夫されており、学ぶところが多くありました。
再び高知のお土産についての議論に戻ると、
‐刃物作りなど土佐の伝統工芸を活かしたお土産作り
(むしろ「伝統を残すために応援してください」というストーリーも含めた売り方)
‐高知の山茶をおしゃれにブランド化
‐高知県産の木と竹を使った商品開発をもっと進める
という意見が出ていました。
自分にできることを見つけよう
最後に、参加者それぞれが自分にできることを考え、共有しました。
‐自分のところで作っているさつま芋で新たな商品を作りたい
‐ただ素材を県外に出すだけの高知では悔しい。シェフとして、料理開発に協力したい
‐完成品を提供しなくても、体験として提供する方法もあると分かったので、自分でもパッと何かができるかもしれない
‐まずは自分の地域の資源をもっと探索してみたい
‐他地域やいろいろな人とコラボして、一緒に商品開発していきたい
といった、力強い意見が出てきていました。
参加者の方々が目を輝かせながら、高知の新たな価値としてのお土産を作っていきたいと語る姿は、とても希望が感じられるものでした。
※総括
今回は初参加の参加者が多く、多様な年代、性別、立場の人が集まったため、いつもよりさらに視点の広がった議論ができたように思います。
お土産の購入傾向や高知土産のアイデア出しの際には、自分の立場とは異なる所からの発想に驚きがあったり、他の人の意見から新たなひらめきが生まれたりしていて、教え合い・学び合いがうまくいっている印象でした。
また、全体を通した気づきとして、高知のお土産物は素材そのままである部分も多く、顧客ニーズをつかむためにはさらなる改善の余地があることや、地元の人自身あまり地域の資源が分かっていないことが浮き彫りにできました。今後それぞれが取り組むべき課題も見えてきたのではないかと思います。
終了後も活発な議論が続き、連携が生まれそうな話があちこちで展開されていて、取り組みを始めるきっかけづくりやネットワーキングの場として、しゃべりばが機能していることをとても嬉しく思いました。
(レポート:陶山智美)
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