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【ジャーナル】[Part3]こうち100人カイギ vol.16 森本 ちかさん(株式会社コッコ•サン 代表取締役/NPO子どもと本をつなぐ会 理事長) / 山元 由夏利さん(まるげんkitchen/おうちパンマスター/シフォニスト)


2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。

今回は、2021年1月26日(火)にKochi Startup BASEでの現地開催とzoomを使ったオンライン開催にて行った100人カイギvol.16で登壇いただいた5名、1人1人の話にフォーカスを当てています。


参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.16の登壇者>
5名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、こちらの記事もチェック!※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。


小寺 悠介さん(Part 1掲載)

小林 洋美さん(Part2掲載)
中島 匠一さん (Part 2掲載)

森本 ちかさん (Part 3掲載)
山元 由夏利さん (Part3掲載)


4人目の登壇者は、株式会社コッコ•サン 代表取締役/NPO子どもと本をつなぐ会 理事長の森本 ちかさん。

図1

1999年1月より自身の子育てで出会った絵本の素晴らしさを広めるために、「えほんの店コッコ・サン」を高知市に開業。2000年6月より学校図書館を楽しくするために、子どもたちが図書室の本を選ぶ「選書会」を開始。現在高知県の100校の小中学校で活動中。選書会やお話会で出会ったのべ20万人の子どもたちから教えてもらった、絵本でコミュニケーションをとる読み方を伝えている。2010年より、稲生小学校で「心と心をつなぐ本読み」実践開始。2020年活動をまとめた著書がくもん出版より出版される。

はじめは恥ずかしい動機で始めた仕事だった

1999年、森本さんは子育て中に「えほんを共有したい」との思いから、愛宕町に絵本屋さん『コッコ・サン』を開業しました。当時サラリーマンをしていた森本さんは、男女雇用機会均等法が施工されたばかりで、なんとなく働きにくいなと感じるようになり、働いていた会社を辞めることを決意。職場の方々から「会社を辞めて開業するなんて、止めておきなさい」と言われ決心が揺らぎましたが、「会社を辞めるを止める」とは言いだせず、そのまま辞めてしまったことが退職、開業のきっかけでした。
そんな動機で始めた現在のお仕事。継続の大きな力となったのは、開業の翌年、学校図書館との出会いでした。小学校の体育館に約900冊の本を並べ、図書館で読みたい本を子ども達が選び、自分たちで投票し、多数決で決定する『選書会』は、口コミで広がり、現在では全国で100校以上の学校で取り組まれています。
選書会の開始から約20年が経ち、今年に入ってからは「自分が小学生の時、この選書会で本を選んで楽しかった」と言ってくれる、小学校時代に選書会を経験した若い先生にたくさん遭遇し、「20年ってそういうことなんだな」と感じることが多くなりました。

えほんは幸せのとびら

その後、絵本以外にもケーブルテレビで踊りながら絵本の番組を発信するなど活動範囲を広げていく森本さん。なにか他にも子ども達を幸せにできる方法はないか、と考え、子ども達のえんぴつの持ち方に着目。2015年には高知県をえんぴつの持ち方先進県にするプロジェクトを開始しました。プロジェクトは多くの企業の協力を得て、えんぴつの持ち方をきれいにするために制作した『筆育えんぴつ』は現在県下の小学校で新1年生全員にプレゼントされています。さらにその後は、お箸の持ち方をきれいにするための「箸育」を開始。なんと、20分もあればお箸の持ち方をきれいにすることができるそうです。
様々な取り組みの中で、今まで出会った子ども達は推定約40万人。たくさんの子ども達に出会った経験から、「えほんは幸せのとびら」だと感じるようになりました。

図12

心と心をつなぐ本読み活動

開業から11年目の2010年、森本さんは絵本の魅力を一番引き出してくれるのは“読み手も聞き手も幸せになること”であると考え、南国市立稲生小学校で『心と心をつなぐ本読み活動』を開始しました。この取り組みは、絵本を音読することで脳トレの効果があるということに着目した、高齢者が子どもに本を読む“1対1の本読み活動” です。
机の上いっぱいに本を並べ、子ども達はその中から“読んでほしい一冊”と“読んでほしい大人”を選び、選んだ大人のもとへ「読んで」と選んだ本を持っていきます。普段学校になじめない子ども達も積極的に参加してくれるなど、森本さんはこの空間で紡ぎだされるゆったりとした時間が大好きで、「この活動が高知の隅々へ、全国へ広がっていってほしい」「もしも幸せに形があるなら、これは、きっとその一つだと思う」と話します。
現在の目標は「65歳以上の高齢者が3冊以上絵本を持っている日本にする」こと。脳科学的にも、それまで仕事ばかりだったため、寂しい思いをさせてしまっていた二女からも、この取り組みは「お母さん、いいことはじめたね」と褒めてもらえました。

図13

えほんは、時間のプレゼント

「えほんは、時間のプレゼントだと思います」と話す森本さん。読んでもらった記憶は、その子の中でずっと残り続けます。地域の方がこうやって時間を使ってくれたことが、子ども達の心の中に残り続け、地域の方を慕うようになり、自分の育った地区への愛情にもつながるのではないか、との期待を持っています。


5人目の登壇者は、まるげんkitchen/おうちパンマスター/シフォニストの山元 由夏利さん。

図2

高知市出身。1985年生まれ。
息子が3歳の頃、発達で指摘を受けた事を機に『時間を調整できる働き方がしたい』と思う。13年間勤めた会社を昨年秋退職し、現在お菓子の販売とパンとお菓子の教室を開催している。ひょんなことからハマったシフォンケーキ作りに異常なほどの偏愛感情を抱いてしまい、作ることも、出来上がりを【目・耳・鼻・口・肌】五感で愛でる事にも日々夢中。私史上最高のものが作れるようになりたくて、365日シフォンケーキを焼くチャレンジ中!(でも1番好きなお菓子はまさかのクッキー‼︎)

好きなことがたくさん

「おかしな話をしてしまうかもしれません、お菓子だけに」と、早速会場を沸かせた山元さん。車で行く、ふらふらと行き当たりばったりな旅が大好きで、過去には2か月ほど放浪で一人旅をしていたことも。外でのご飯が大好きで、食育と結びつけながら畑でご飯を食べる『畑カフェ』というイベントを過去に何度か開催。他にも絵を描くことが好きだったり、山が好きだから雪山に登ったりと、アクティブな一面を持っています。
もともと料理やお菓子作りが好きで、昨年の秋、13年間働いていた会社を退職し、ご自身の名字、山元の“元”の字からとった『まるげん』という屋号で、お菓子の販売とパン作りの教室を始めました。現在、直販所『とさのさと』などで販売しています。

きっかけはダイエット

もともとハマり症で、2018年には筋トレ、ゴルフ、チョコレートにどっぷりハマります。ゴルフでは100切りを達成し、会社のデスクの引き出しがびっしりと埋まるほど、毎日チョコレートを食べていました。
2019年には、マドレーヌにどハマりし、朝ごはんと昼ごはんはマドレーヌという生活を送りました。当時はマドレーヌを1か月に150個以上食べ、その間で4kg太ってしまったそうです。その際身の危険を感じ、ダイエットを開始。翌年の2020年春、お祝いシーズンが到来し、その年は娘さんの卒園・入学のタイミングであったことをきっかけに「ダイエット中でもケーキを作りたいし食べたい!」と思っていたところ、カロリー・糖質ともに低くておいしい、シフォンケーキのポテンシャルの偉大さに気が付きました。
昨年の4月6日からは、毎日シフォンケーキを焼く“シフォンケーキチャレンジ”を開始。特に期限を決めていたわけではなく、なんとなく始めたらやめられなくなってしまい、イベント当日は、チャレンジを始めてからなんと296日目でした。

図21

Let’s シフォンプレイ!

カロリー・糖質の低さに加え、他のケーキとは違い、デコレーションしなくてもおいしく、生クリームはもちろん、いろいろなものを混ぜ込んでも受け止めてくれてくれるシフォンケーキ。更に、オリーブオイルを使用し、砂糖を控え目にしてパンのようなイメージで焼くなど、様々なアレンジができることも魅力だと言います。
シンプルな配合で作るからこそ、同じ分量で作っても混ぜるタイミングや温度によって出来上がりが違ってくるところが面白く、山元さんが夢中になったポイントです。
シフォンケーキには、五感で楽しめる「萌えポイント」がある、と話す山本さん。実際に山元さんが当日の朝焼いたシフォンケーキを使用し、参加者のみなさんの前で実演しながら紹介してくれました。表面を見た時のお肌のようなすべすべ感や、きれいに出たエッジ。割いたときの断面のほどけ具合等、視覚的なポイント。女子高生の心がくすぐられる、スクイーズのような触り心地、断面に唇が触れる際のふわっと吸いつくような触覚的なポイント。しっとりと甘い、味覚的なポイント。焼いている最中の、白目をむきそうになるほどのいい香りが嗅覚的ポイント…といったように、その魅力を熱く語ってくれました。

図22

今後の展望

現在まるげんは、『とさのさと』以外では、個人的な受注販売のみとなっています。今後はお菓子の販路・活動範囲の拡大や、子どもから大人まで幅広い層を対象にしたパン教室の実施に加え、シフォンケーキとつながりそうにないような「こだわりの食材」をとシフォンケーキをつなげていき、新しいものを生み出せたらいいなと思っています。
ここまで、終始シフォンケーキの魅力について熱く語った山元さん。最後に「私が1番好きなのは、シフォンケーキではなくてクッキーなんです」とカミングアウトし、会場を大きく沸かせ、締めくくりました。


【総括】

たくさんの子ども達と関わり、子ども達のための様々な活動をされてきた森本さん。年齢の離れた方同士がえほんを通じてつながり、影響しあう様子が伝わってきて、お聞きしていてとても暖かい気持ちになりました。地域の方にえほんを読んでもらった時間の記憶は、受け取った子ども達の中にきっと素敵な思い出として残るのだろうな、と思いました。
また、大好きなシフォンケーキの魅力を熱く語ってくれた山元さん。とてもディープなシフォンケーキの世界で、会場では終始笑い声が響いていました。ケーキを見て「おいしそう」だけでなく、「触ってみたい」「割いてみたい」といった感想を持ったのは初めてで、私の中で、シフォンケーキの常識が変わった夜となりました。

二人とも、ご自身の好きなことややりたいことにまっすぐで、森本さんからはえほんと子ども達、山元さんからはシフォンケーキに対する愛がひしひしと伝わってきました。二人それぞれの今後の活躍がすごく楽しみです。


(レポート:結城 菫)


100人カイギとは 
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。


問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒780-0822 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/


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