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【ジャーナル】[Part2]こうち100人カイギ vol.16 小林 洋実さん(StartupWeekend高知オーガナイザー/ノーコードエンジニア/株式会社SHIFT PLUS)/中島 匠一さん(株式会社ブランド高知 代表取締役社長/芸術家/クリエイター)


2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。

今回は、2020年1月26日(火)にKochi Startup BASEでの現地開催とzoomを使ったオンライン開催にて行いました。
16回目の100人カイギにて登壇いただいた5名、1人1人の話にフォーカスを当てています。


参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.16の登壇者>
5名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、こちらの記事もチェック!※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。


小寺 悠介さん(Part 1掲載)

小林 洋実さん(Part2掲載)
中島 匠一さん (Part 2掲載)


森本 ちかさん (Part 3掲載)
山元 由夏利さん (Part3掲載)



2人目の登壇者は、StartupWeekend高知オーガナイザー/ノーコードエンジニア/株式会社SHIFT PLUSの小林 洋実さん。

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高知県出身。
関東・関西でWeb/クラウドのエンジニアとして働いたのち、大好きな地元にUターン。2020年より、株式会社SHIFT PLUSにて高知県のIT関係人口創出や就職支援の事業を担当。県外にいる時から「高知で一人一人がやりたいことに対してアクションできる場、応援する人と繋がれる場」を作りたいと思い、StartupWeekend高知を立ち上げ。エンジニア、コミュニティマネージャーの力を生かして、高知の人ができることを増やしたいと活動中。

好きなことして生きていく

小林さんは2019年まで県外でWebクラウドエンジニアとして経験を積みました。県外で仕事をしている間も、高知のコミュニティや勉強会、イベントなど様々な形で関わっていたため、次第にイベントの運営側にも携わるようになりました。1年ほど前にUターンで帰省し、今勤めている会社に入職。高知に帰省後も、それまで携わっていたイベントの運営を続けている小林さんが、人生のビジョンとして掲げているのが、「好きな場所で、好きな人と、好きなことをして生きていく人を増やしたい」ということ。
Uターンで高知に帰省し、仕事で行政、企業、求職者と接することが多い中、自分のことを理解できていなかったり、将来なりたいものはあっても実際それがどういうものか理解不足だったり、世間のしがらみのなかで苦しむ人々の存在が多いことに気づきました。その現状を受け「皆が自由に、好きなことができるように仕事や人生をコントロールする力を身につけられたら、そんな人を増やしたいと思った」と言葉が続きました。

イベントから生まれるもの

今、小林さんが積極的に行っていきたいことが2つあります。一つはコミュニティマネージャーという役割。この役割で関わっているのが『Startup Weekend高知』というイベントです。これは、金曜の夜から土曜、日曜の時間でアイデアを出し、実際にビジネス化を目指していく起業体験イベント。ここで行うビジネス化というのが本格的で、実際にターゲットを考えヒアリングをしたり、高知県にゆかりのある起業家の方々に話を伺い意見をもらったりなども行っています。毎回、学生から一般の会社員など、参加者層の幅も広く、熱量の高い時間を繰り広げているこのイベントでは、期間内に生まれたプロジェクトを継続している方や、繋がりから新たな仕事ができた方、得た経験を生かしてアイデアコンテストで受賞した方など、イベントを通して生まれたものも多数あるそうです。イベント後も、参加者それぞれが行動し、面白いことが高知から生まれていることを実感していると言いました。

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ITを使ってやりたいことを形に

もう一つは、ノーコードエンジニアという役割。ノーコードとは、プログラミングなしでホームページなどを作れるサービスのことです。例えば、プログラミングができなくても、パワーポイントを作るのと同じような感じでドラッグ&ドロップするだけで綺麗なホームページを作ることができます。低コスト、短期間で作ることができ、プログラミングがいらない分、やりたいことに専念できると小林さんは言います。まず自分自身が使いこなすことで、世間一般のハードルを下げ、ITを使って何かやりたい、形にしたいと思っている人へ、方法があることを伝えていきたい。お金がなくても、方法がある今、エンジニアというバックグラウンドを生かして貢献していきたいと思っています。

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挑戦する人と応援する人を繋ぐ場

冒頭でも出たように、「好きな場所で好きな人と好きなことをして生きていく人を増やしたい」これが小林さんの人生の目標です。いろいろな活動を続ける中で、ありがたいことに一緒に活動をしてくれる人が増え、いろんな場作りができるようになってきましたが、もっとコミュニティ化をしていきたいと言います。日々過ごす中で、高知にはまだまだ出る杭は打たれる文化があると感じている小林さん。しかし、心の中では「これをやりたい」「こういうのあったらいいのに」と思うものの、実行に踏み出せず立ち止まっている人がたくさんいることも感じています。そういった人達が実際に挑戦してみることのできる場所、それを応援する人が集える場所、そして両者が繋がる体験。これからはこの体験が大切だと考え、実際にその体験ができるコミュニティを築き上げていきたい、と展望を語ってくれました。



3人目の登壇者は、株式会社ブランド高知 代表取締役社長/芸術家/クリエイター
の中島 匠一さん。

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2017年大阪芸術大学卒業。
卒業後、作品 "高知の財布"を発表。 2018年に芸能人に紹介されるなどして、メディアで話題になる。 2020年高知県地場産業大賞奨励賞受賞。大学でインスタレーションアートを専攻。 "高知の財布"は、高知の二文字を世界中の人々の脳裏に刻みこむことをコンセプトとした作品の一環。 社会を巻き込むアートな仕事をしていくことをモットーに、多くの企業や団体とコラボも手がける。

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一つのアート作品をきっかけに

中島さんは、今や高知県民なら誰もが一度は目にしたことがあるであろう『高知の財布』を生み出した張本人。今回は自身の企業、『ブランド高知』の設立を中心に話してくれました。
中島さんは2017年大阪芸術大学を卒業。在学中は、ブリーフを凝灰岩の粉に漬け込んで化石にしたものを、オーパーツともじって『オー!パンツ』(写真中央)という一風変わった作品をはじめ、思わずくすりと笑ってしまうようなアート作品を数々生み出しました。『高知の財布』も元々は大学卒業後に自身の作品の一つとして制作したものです。そんな『高知の財布』が日本中の人に注目されたのが、2018年のよさこい祭り本番。高知に仕事で来ていたお笑い芸人の方にたまたま会う機会があり、中島さんは『高知の財布』を手渡しました。すると次の日、その方がSNSに『高知の財布』を投稿。投稿をきっかけにすぐにメディアにも取り上げられることになり、さらに注目度は増し、全国各地から注文が殺到しました。「社長になるつもりなんてなかったのに、仕方なく会社を開くことになりました」と笑って当時を振り返りました。


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困難の末に手にした栄光

販売開始から2ヶ月で注文は1万個を突破。予期せぬ大ヒットを経験し、商品とともに中島さん自身も注目を浴びましたが、その裏には大変な出来事がありました。
生産のために大阪の工場に頭を下げて回るも片っ端から断られ、資金調達のためにクラウドファンディングに挑戦するも、詐欺に遭い集めたお金を盗られ、なかなか生産に結びつきませんでした。しかし、注文に応えるべく、親族に借金をしたり、自身の生命保険を解約したりとなんとか資金を集め、中島さんは中国にむかいました。国際Aランクを取っている革製品メーカーでなんとか生産をとりつけ、出来上がった商品をボロボロの台車に縛り付けて身一つで中国大陸を縦断し、なんとか日本に帰省。様々な苦悩や困難を乗り越えた結果、『高知の財布』は無事に商品となってお客様のもとに届きました。
右葉曲折あった『高知の財布』ですが、見た目の奇抜さ、話題性もあってか、その後もメディアからの声はかかり続け、高知県だけでなく、様々な企業とコラボレーションを行っています。現在は、財布をはじめ、バッグ、名刺入れ、キーケース、傘、と次々と財布以外の様々な商品も開発しています。


地域課題にも自分らしく向き合う

また、中島さんは自社製品の開発だけでなく、県の問題である鳥獣被害対策に対しても取り組みを行なっています。高知県では鳥獣被害のため、年間通して多くの鹿を駆除していますが、職人不足のため、鹿の皮は使用されずに廃棄されることが多いそうです。中島さんはその資源を活用したいと思い、皮をなめす職人に自ら弟子入りをし、皮の処理方法を学びました。これで作られたのが、鹿革で作られた名刺入れです。狩猟で捕まえた鹿なので、銃弾の痕もあえて残しています。このような地域課題に寄り添った取り組みも認められ、2020年『ブランド高知』は、県の功労者に送られる地場産業大賞奨励賞を受賞しました。

アートな仕事は人を幸せにする

現在『ブランド高知』は、高知県をPRする一翼を担う存在になることを目標に、販売を続けています。ここまでの道のりには大変なこともありましたが、こうやって多くの方に知ってもらい、たくさんの方の手元に商品を届けることができたのも、故郷である高知県のおかげでした。『高知の財布』を面白おかしく手に取り、笑顔になっていく人を通して、「アートな仕事は人を笑顔にする」と中島さんは言います。「高知の財布」を繁栄させていくことで、高知愛を持ち歩く人が増え、結果、県が掲げている「高知家はみんな家族」ということを全国に広げることができる。この財布が広まることによって、持っている人たちが高知のことを話題にでき、かつ新しいコミュニケーションが生まれたら嬉しい、と言葉が続きました。


【総括】

自身が活動し、いろいろな方と出会う中で応援したい気持ちが生まれ、自身の経験も生かして挑戦を続ける小林さん。難しい、自分じゃ無理だ、一般の方がそう言ってしまうITの印象も小林さんなら変えていけるのではないだろうかと、そう感じられる人柄、内容でした。
また、終始思わず笑ってしまうような小ネタを挟みながら、自身の壮絶なブランド設立までを語ってくれた中島さん。自身の生み出したものからコミュニケーションが生まれるようにと作り手の愛が込められていることを知り、この思いも商品と一緒にたくさんの方に届けばいいなと思いました。

どちらもお話から人柄がよく伝わり、活動内容がさらに魅力的に感じられたお話でした。


(レポート:畠中 詩織)


100人カイギとは 
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。


問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒780-0822 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/




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