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【ジャーナル】[Part2]こうち100人カイギ vol.18 吉田 健一さん(OUCHI企画戦略アドバイザー/サーカスアーティスト)/渡辺 ひとみさん(心理カウンセラー)


2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。

今回は、2021年3月23日(火)にKochi Startup BASEとオンラインにて開催された、vol.18に登壇いただいた4名、1人1人の話にフォーカスを当てています。

参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.18の登壇者>

岡 円香さん(Part 1掲載)
前田 久美さん(Part1掲載)

吉田 健一さん (Part 2掲載)
渡辺 ひとみさん (Part2掲載)


3人目の登壇者は、OUCHI企画戦略アドバイザー/サーカスアーティストの吉田 健一さん。

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芸名 松葉川健一。高知大学農学部卒業後、愛媛の製紙会社に就職。約5年勤務したが、在学中にふれた高知の人柄と自然に惹かれ地域おこし協力隊として四万十町へ移住。在職中、地域の材を活用してブランディングしたいという、製材所のおっちゃんの思いを受け、かねてよりの趣味であるサウナをキーに、四万十ヒノキの移動式サウナを開発。本業はジャグラー・大道芸人。四万十ビジネスプランコンテスト2019大賞。高知県立美術館開館27周年野外イベント空を駆けるサーカス等県内外出演多数。

四万十町との縁

吉田さんは、高知大学農学部を卒業後、愛媛県の製紙工場に就職し、約5年勤務。大学時代から交際していた現在の奥さんの出身地、四万十町の豊かな自然やきれいな空気に惹かれ、四万十町の地域おこし協力隊に応募し、3年前に移住しました。元々得意であるジャグリングをメインに活動をしていますが、現在最も力を注いでいるのが、四万十ヒノキを使った移動式サウナ。今回の登壇では、四万十川を水風呂にしてサウナを楽しみたいと考え開発した移動式サウナ『四万十OUCHI SAUNA』についてのお話を中心にお話してくれました。

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サウナを移動式に

「とにかくサウナがめちゃくちゃいいということだけを伝えたい」と笑う吉田さん。『四万十OUCHI SAUNA』の写真を投影し、参加者に説明しました。画面に映る四万十川の中州に設置されている移動式のサウナは、軽量のため小型の船で運ぶことができます。四万十ヒノキを使用して作られており、大きさは約2メートル角ほど。四万十川は少しの雨で増水してしまうため、常時設置型のサウナは不可能。そのことから、増水したらすぐに撤収し、また設置できる仕組みが必要なことと、サウナで温まった後の水風呂までの導線を短くしたい、なるべく早く「ととのいたい」という思いから、折りたたんで収納できる作りにしています。

ととのう=覚醒

サウナに入っている時と、サウナから出て水風呂に入っている時は、体内の血中アドレナリン濃度が上がり、交感神経が優位になっている状態です。その後、急に水風呂から外に出る(外気浴)ことで、一気に交感神経優位から副交感神経優位に変わり、身体は極度のリラックス状態になります。上がった血中アドレナリン濃度が下がるまでには2分程度かかると言われており、その間周囲の景色が鮮明に見え、脳が覚醒している状態に。これをサウナ好きの中では『ととのう』といい、この状態を作れるのはサウナ以外ではドラッグしかないと言われているそうです。さらに、温度が極端に違うサウナと水風呂を何度も行き来することにより、体内の温度調節機能が高まります。覚醒すると同時に、徐々に自分の体温が外気温と同じになっていくのを感じられ、周囲のきれいな景色と一体化していく体験が得られることが、最近サウナが流行っている理由だと吉田さんは言いました。

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美しい四万十川を守りたい

吉田さんには当時から、四万十の美しい川を守りたいという思いがありました。川を守るためには、まず森を守らなければいけない。しかし、森を守るためには、きちんと間伐をする必要があります。高知県で間伐があまり行われていない理由は、木が高く売れないこと。吉田さんは間伐した木を売るため、四万十ヒノキのブランド力を上げたいと考え、『四万十OUCHI SAUNA』の材料に四万十ヒノキを選びました。
『ととのう』ことでとても身体も心もリラックスし、気持ちよくなれます。さらにその行為が、四万十川を守ることに繋がっているんだという特別な体験を生み出すために、移動式サウナ『四万十OUCHI SAUNA』を開発しました。

伝えたいこと

サウナはもちろん、本業であるパフォーマーとしても何か面白いことができたらいいな、と考えている吉田さん。ご自身が髪や髭を伸ばしているのは、「こんな見た目でも普通に生きていけるし、『四万十OUCHI SAUNA』も県の事業と絡めていたり、大きなお仕事をすることもできるんだよ」という思いからです。そういったご自身の考えを直接伝えられることから、教育の場にも関わってみたいと言います。
様々な活動をしていることにより、初対面の方に自己紹介をすると「情報が多すぎる」と言われることが多いと言う吉田さん。登壇当時に実施していた設置型のサウナの作成に向けたクラウドファンディングの紹介に加え、「とにかくサウナがいいので、ぜひ四万十に来て体験してみてください」と、改めて参加者にサウナを勧め、話を締めくくってくれました。


4人目の登壇者は、心理カウンセラーの渡辺 ひとみさん。

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高知市在住。2018年より心理カウンセラーの活動をスタート。医療機関、人材育成、美容関係、アロマ等色々な仕事を経て心理カウンセラーに辿り着く。以前の職場では、10年の間に約60名の事務スタッフと関わり、人材育成の為の提案、チーム編成、教育に注力。その経験を生かして、心理学をベースに美容、ヘルスケア、ファッションのツールを使って、人の魅力を内側から、そして外側からも、自分らしく納得出来る状態に近づけていく為に活動中。


自分で気づくカウンセリング

様々なキャリアを経て2016年に資格をとり、2018年より『心理カウンセラー』として活動をしている渡辺さん。その肩書きから、「心を見透かされそう」と人から言われることも多いそうですが、実際に行っているのは、医療系の治療を目的としたものとは異なります。自身が目指しているのは、カウンセラーが答えを提案したり、何かアドバイスをしたりするのではなく、目の前に座る人が自分で気づいていくカウンセリング。カウンセラーとして活動を開始してから3年ほどたちましたが、始めた当初は何をしたらよいのか全くわからなかったと振り返ります。

自分の内側の声がきこえる

幼少期から周りの言うことに疑問を感じ、「あれがよい」「こうしなさい」といった母親の言葉に対して、「お母さんはそう思うかもしれないけど、私はそう思わないのにな」と、自分の内側の声がいつも聞こえていました。しかし、当時の渡辺さんはこの内側の声をどうしていくべきなのか分かりませんでした。そんな自分を整えたいという想いや、そういった状況に理解があるからこそカウンセラーをやってほしい、という周りの意見に背中を押され、カウンセラーとしての活動を決意。計画的に始めたことではなく、「周りの人はどうやっているのだろうか」、「起業とはどういうものなのだろうか」と、まさに自分探しをしながらやってきました。
手探りで始めたこともあり、3年間のうちに前職の退職金も底をついてしまい、親に泣きつくこともあったといいます。しかし、そこでやっと「助けてほしい」と声を上げても良いことに気づきました。自身がこれまで言えなかった言葉が言えたように、つらい現実を使って人は自分を変えていくチャンスがある。身をもって知った渡辺さんは、自分のカウンセリングでもこういった気付きをもたらしたいと、コツコツと活動を続けてきました。

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「私」としての役割

自分自身、個人単位で物事を捉えるようにしているため、息子さんに対しても「親だから」、「子どもだから」といった立場で役割を担うのではなく、お互いに「私」としての役割を担っていると話します。
先日息子さんがマンションを購入し、渡辺さんも一緒に生活をしています。世間から見ると、親が子に何かを与えるのが一般的だと思われるかもしれませんが、そういった世間的な立場で関係性を捉えるのではなく、その人個人として相手の想いを尊重しています。マンションの購入も、暮らす場所を大切にしたい、という息子さんの想いが現れている行動です。
自分の想いを大切にする息子さんの行動にも影響を受け、渡辺さんも関心のあるファッションの領域でのつながりから、新しい活動を始めました。50代以上の女性起業家を対象にしたコミュニティで『ヒトミーヌ』という名前で編集メンバーとして活動しています。

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完成された幸せはない

日々状況が変化していく中で、渡辺さんがこれだけは伝えたいと思うようになったことがあります。それは「完成された幸せはない」ということ。ひとつの決まった幸せの型が存在するのではなく、その人それぞれ幸せの型があるのだと言います。カウンセリングを行っていく中で、もっと頑張れば絶対何かに到達できるのに、それができない自分には力がない、と否定的に捉えてしまう「なにかに辿り着きたい症候群」の方に多く出会ってきました。外見は誰ひとりとして同じ人はいないのに、考えること、思うことは一緒にしようとしてしまう。それはものすごく不自然で苦しいことだと言葉が続きます。だからこそ、自分の型を見つけて、充実した人生を過ごしてもらえるためのカウンセリングがしたいと最近やっと気づくことができました。
カウンセリングの方法も型にはまることのない渡辺さん。対話だけでなく、外見からアプローチする方法も実施しており、似合う、似合わないではなく、本当に自分がしたかった自分らしさを、服やヘアメイクで表現することで見つけ出していきます。
普通の心理カウンセラーより独特かもしれない、今日この場のつながりから広がる形を面白がっていきたい、と話を締めくくりました。


【総括】

サウナの魅力や素晴らしさについて、たっぷりディープにお話してくれた吉田さん。四万十町の自然への愛もひしひしと伝わってきました。登壇中、会場で参加していたサウナ好きの方々のお話を聞いてうなずく笑顔がとても印象に残っていて、私もサウナ愛の深い吉田さんの作ったサウナでととのってみたいと思いました。
また、渡辺さんの立場や肩書きから相手を捉えるのではなく、その人自身の意志や感情を見つめていく姿には非常に感銘を受けました。言いたくても言えない、といった悩みを抱える人は多くいるかと思いますが、渡辺さんの話を聞いて、自分の型をみつめなおし、自分の感じる幸せを捉え直してみることで、もっと多くの人が幸せを感じやすい社会になっていきそうだと、前向きな気持ちになりました。

(レポート:結城 菫/檜山 諒)

100人カイギとは 
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。


問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒780-0822 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/


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