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現代政治の限界 第1章 問題はどこにあるのか

 脱工業社会に突入して久しい。古くは、「第三の波」とか情報社会とも言われた。特徴としては、産業構造が工業部門からサービス部門が中心となるものではあるが、人間の関心が量的なものから質的なものに移行し、個人の価値観が適合財の存在、安全の確保、物質的要求の充足といったものから個々人の人格的な自由、平等、正義を第一義的に求めるようなものに移行すると言う。
 これは、当然政治制度にも影響を与え、政治参加への要求と政治的対立が複雑化と相互依存性の増大を促進している。政治参加を理解する「構造の基礎となる原理」を造り上げることが必要である。こうした変動に建設的に対応し、この変動に対処しうる制度を組織し直すことである。
 この考察に当たっては、比較研究が従来までのマクロ•システム的な思考形態に堕ちいらない為に、システムや文化に基づく説明を止め、個人を基礎とし、社会を運動、変動、過程という視点から考察する。特に共通の過程が存在し、それが比較分析の有効性を比較論的に保証するという仮説に建つことである。
 また、集合財アプローチを採用し、その前提として合理的選択を行うという仮説に建つ。これは、人間を合理的、目的追求的、価値極大化的、自己充足的存在と見る仮説である。理論の有効性を拘束する社会心理学的、文化的要因の影響を受けることなく、真に比較論的、普遍的な理論の基礎となる。
 集合財アプローチは、公共政策上の問題を考える際の一つの手懸かりととして提供出来る。

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