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あるのどかな地方都市で起こっていること

愛媛県宇和島市について

四国の南西部にある愛媛県宇和島市は豊後水道に面した美しい海辺の町です。地方の町の例にたがわず、最近は5年間で約1割減という人口の大幅な減少と高齢化が進みつつあり、市の人口は現在約7万人です。
2019年11月に中国の武漢で端を発した新型コロナウイルスの幾度もの波、ロックダウン、そして2021年2月から始まった国を挙げてのコロナワクチン接種は、この静かな町でも全国と同じように進行しました。

ワクチン副反応の市民相談会で

市民の中にはワクチン接種後しばらくして体調をひどく崩す方もいて、山本定彦さんは宇和島市の市会議員として、そういった市民の方々の相談に乗っています。
定例で開かれている山本市議のワクチン後遺症相談会に私もお邪魔しました。集まった方々の中で、「コロナワクチン接種開始後に全国各地で超過死亡が起こっているのではないか?」といわれていることが話題になっていました。そして宇和島市では一体どうなのか?と。

山本市会議員より、月別に見た宇和島市の死亡数をご提示いただき、市ホームページ掲載の人口の月別データも用いて、コロナワクチン接種後に宇和島市で死亡率の上昇が発生していないかどうか、統計的に解析させていただくこととなりました。

超過死亡へのワクチンの影響を知るには?


■コロナ感染による集団の死亡への影響は小さい

ワクチンによる超過死亡を論じるときに、必ずといっていいほど出てくるのが、「超過死亡があったとしても、ワクチンが原因ではなく、ロングコビッドによる中長期的影響、すなわち感染により血管を痛めて生じる脳血管障害や心筋梗塞などの”隠れコロナ死”が原因」という反論です。

コロナ感染による死亡が集団全体の死亡にどれだけインパクトを与えているのか見てみました。残念ながら宇和島市でのコロナ感染死亡者数のデータが見当たりませんので、推計しました。愛媛県の新型コロナウイルス感染による死亡は年間70人前後(2020・R2〜2021・R3)と報道されています。宇和島市の人口は約7万人、愛媛県全体では約134万人なので、宇和島市のコロナ感染による年間死亡数は、人口割合で計算すると下記のようになります。

70人×(7万人/134万人)≒3.7人・・・宇和島市の年間コロナ感染死亡推計数

高齢者の方がコロナ感染での死亡リスクが高いのですが、宇和島市では愛媛県全体よりも若干高齢化が進んでいるであろうことを考慮に入れても、宇和島市のコロナ感染による死亡は年間に10人まででしょう。宇和島市の年間死亡数は約1200~1400人なので、コロナ感染による死亡が全体の死亡の中で占める割合は1%未満と、とても少ないことがわかります。コロナ死と診断されない”隠れコロナ死”が一定数おられたとしても、全体の死亡率に大きく寄与するとは考えにくいです。

■念のため、コロナ感染による集団の死亡への影響が小さい時期を選ぶ

昨年2021年末から今も流行しているオミクロン株は、感染しやすいという点ではずば抜けていますが、重篤化という点では軽度といわれています。その点について確認してみました。

新型コロナウイルス感染は呼吸器感染症であり、重篤化する人はやはり肺の、特に間質での炎症を起こすことが特徴です。このままでは死亡するかもしれないという状態に陥った方は、ECMO(Extra-Corporeal Membrane Oxygenation 、体外式膜型人工肺)の助けを借りて集中治療を受けることになります。愛媛県にはECMOは22台配備(2020.3)されているとのことです(一般社団法人 日本呼吸療法医学会及び公益社団法人 日本臨床工学技士会による調査 https://www.jaam.jp/info/2020/files/info-20200306.pdf )

このECMOを使用した患者数は、全国の高度医療機関が協力し合って作られたNPO法人”ECMOnet”によって、全国的に集計・公表されていて、ある時点でのECMO稼働数こそが、新型コロナウイルス感染の重篤者数の傾向とほぼ一致しているとみられます。

NPO法人日本ECMOnet COVID-19 重症患者状況の集計  https://crisis.ecmonet.jp/

(ECMOnetの数値を勝手に公表・解析することは許されていませんので、興味のある方はぜひ、ご自身でご覧ください。)

ECMOnetのグラフでは、昨年2021年夏~初秋をピークとした第5波のデルタ株流行時にこれまでで最大の稼働数を示していましたが、それも同年11月にはかなり減少し、12月頃から2022年現在まで続くオミクロン流行下にあっても、引き続き稼働数は少なめのようです。愛媛県でのECMO稼働数は残念ながらデータを見つけることができませんでしたが、人工呼吸器稼働数は発表されており、多くても県全体で4台程度(「新型コロナウイルス 国内重症患者の状況」より)のようです。

ですので、最近の2021年11月~2022年5月の7か月間は、オミクロン株感染者数はとても多いけれども、ECMOnetに公表されている稼働傾向などから類推すると、重篤例は少ないと思われます。ちょうど、この時期はコロナワクチンのブースター(3回め)接種の真っ最中であり、ワクチンによる健康への影響がとらえやすい時期と考えられます。

2021年11月~2022年5月の死亡を過去と比較


■死亡に対する気候の影響

集団の死亡数は一般に寒冷な時期で多く、暖かい時期は少ない傾向があります。比較可能にするため、過去の各時期も同じ11月〜翌5月の期間を選びました。

過去から順番に以下の4つの時期を設定しました。

①2016-2018の各11月~翌5月 まだ国内で新型コロナウイルスが顕在化していない時期

②2019.11~2020.5 新型コロナウイルス武漢株発生から国内ロックダウン期。

③2020.11~2021.5 アルファ株流行からワクチン導入期 

④2021.11~2022.5 オミクロン株が流行、重篤例は少なめと類推される。ブースター(3回目ワクチン)実施期。

これらの4つの時期の死亡率を比較し、統計学的検定を加えたグラフ(下記)を作成しました。棒グラフは各時期ごとに①水色、②黄緑色 ③オレンジ色 ④赤色(Twitterでは黄色)としました。統計的検定は”リスク比の信頼区間”を用いて行いました。

■結果と考察

①(グラフ:水色) この3年間の11月~翌5月(正確には2019.1-5月も入ります)期は、平均でみると宇和島市では7か月間平均819人が死亡、人口は平均76,927名、死亡率は10万人対1,065人でした。この期間の死亡率はベースラインとして用います。

② (グラフ:黄緑色)2019年12月に中国・武漢市で新型コロナウイルスの流行が始まり、国内では2020年1-2月に渡航歴のある人やクルーズ船・屋形船客が発症、3月のWHOのパンデミック宣言に呼応するように日本でも厳しいロックダウンが開始されました。ワクチン接種は国内ではまだ導入されていません。この間、宇和島市では778人が死亡、人口は平均74,156名、死亡率は10万人対1,049人でした。この時期の宇和島市の死亡率は新型コロナウイルスがなかった①の時期よりもかえってわずかに低くなっていました(統計学的有意差はなし)。

③ (グラフ:オレンジ色)国内で症状重篤化を伴うアルファ株が流行った頃です。2021年2月にワクチン接種が医療関係者からスタートし、その後、高齢者に拡げられた時期に相当します。この7か月間には、宇和島市では839人が死亡、人口は平均72,669名、死亡率は10万人対1,155人でした。この期間はこれまでの①②の時期と比べ、死亡率が増加していますが、統計的有意差はありませんでした。

④ (グラフ:赤色 ツイッターでは黄色)もっとも最近のこの期間は、オミクロン株による感染者数は多く報告される一方、ECMO稼働は少なめで重篤例は少ないと考えられ、一方、ワクチンはブースター(3回目)が実施されている時期に相当します。宇和島市ではこの7か月間に898人が死亡、人口は平均7,114名、死亡率は10万人対1,263人でした。この時期の死亡率は過去の①②の時期と比べて上昇しており、99%信頼区間をもって統計的有意な上昇と言える結果でした(①の2016-2018期と比べ、1.19倍、99%信頼区間で1.07-1.31倍にリスク比が上昇)。なお、③のワクチン導入期よりも死亡率はより高かったですが、統計的有意な差はありませんでした。

超過死亡については、④の期間では①の新型コロナウイルスのなかった時期に比べ、7か月間で141人、1年間に換算すると242人の方が過剰に亡くなった計算になりました。

①の期間に比べ④では、人口の年齢構成が多少高齢層に傾いたかもしれませんが、約4年間の短期なので、死亡率の有意な上昇を来たすほどではないと思われます。

宇和島市グラフ7.4


【まとめ】☜忙しい方はまとめとグラフをどうぞ

多くの市民が既に1-2回目接種を受け、さらにブースター接種が加わった2021.11月~2022.5月での宇和島市民の死亡率は、過去(2016-2018)の同時期と比べ、1.19倍に上昇していました(99%信頼区間で1.07-1.31倍で統計的に有意)。なお、この時期は比較的軽症なオミクロン株流行期であり、ECMO稼働を要するコロナ感染重篤例は全国的に少なく、コロナウイルス感染による死亡率への影響は少ないと思われました。

ワクチンの作用機序として健康への重大な危険性があると多くの専門家が指摘していること、国民へのワクチン接種の奨励ともいえる施策開始後、厚生科学審議会・副反応部会に1,726名もの接種後の死亡報告(2021.2.17~2022.5.15)が成されていること、全国やほかの各地の統計において、これまでにない異常な超過死亡が生じていることを踏まえると、ワクチン接種が宇和島市民の死亡率の増加を引き起こしている可能性は非常に高いと考えられます。

接種後に死亡された方のご遺族に対しても、重篤な後遺症を得て、苦しんでおられる相談者やそのご家族に対しても、山本市議はじめ心ある市民たちが何とか力になろうとしています。
こんなのどかな美しい海辺の町にも、憂慮されるべき重大なワクチン薬害が進行していることに戦慄を覚えずにはいられません。






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