真・三国無双の新作２本という言葉に私は惑う

　９月２７日のTGS2020オンラインで、真・三国無双の新タイトル２本の紹介がされる＿＿そのニュースを聞いたのは９月のはじめだった。私の心は大きく波打ち、今も定期的にさざめいている。

　真・三国無双との付き合いは真・三国無双からはじまった。つまりかれこれ２０年前。……え？２０年？マジで？うっかり素に戻るほど長い。高校受験、志望校に無事受かった日には、うれしさのあまり真・三国無双２で４０００人ほど斬りまくったのもいい思い出である。無双３では初のエディットを楽しみ、無双４では続々と武将も増え、無双５はアクションが一新され、さらに無双６では技名を叫びだしつつシナリオめっちゃ良い、無双７は完璧すぎるIFシナリオや、世界で一番強い十常侍に爆笑……なんだかんだでナンバリングタイトル・猛将伝・エンパと遊び続けており、もはや人生の半分以上はこのシリーズと過ごしていることになっている。

　シリーズタイトルごとに武将の数もどんどん増えていくも、だいたい昔からのキャラクターが好きだった。しかし、無双８で彗星のごとくあらわれた荀攸に私は心臓を打ち抜かれ、その穴は今も塞がることなく血を流し続けている。そう、新作が出ないからだ。

　新作が出ない。従来なら、１年もすれば新作が出ていた。猛将伝が、そしてエンパが、つづいて次のタイトルが＿＿それがなぜ出ないのか？DLCコンテンツのみで終わってしまったのか？理由を語るのもつらいが、無双８は万人に受け入れられたとは言いがたかった。良い感想も悪い感想もどちらもめちゃめちゃ理解できる。わかりみが深い。無双８は無双６，無双７と比べれば賛否がすごい、どちらかといえば否よりの作品だった。私でさえも、全員クリアするのに半年以上かかった。

　全員クリアしたとき、私はようやく肩の荷を下ろせた気がした。いろいろあったけど、この画質で８エンパが出るならぜんぜん問題ないな……！楽しみにしておこう……！
　出ないのだ。かれこれ２年半以上経ったけど、まったくシリーズ新作が出る気配がないのだ。

　当たり前だけれど、企業は収益を生まなければいけない。よりたくさんの人に受け入れられる作品を作らなければ企業は存続できない。売り上げが落ちれば社内の空気もつらくなる。
　ファンとしては、８エンパがほしい。しかし、PS5が発売され、FF16、バイオ８も発売されるこの時代に、それは時勢に合った願いなのだろうか。いや１ファンの願いに時勢なんて知ったことかめちゃめちゃ願うわ。

　もし、TGS2020で発表される新作が１本ならば、私は期待を持たなかっただろう。そうか、きっと無双９をPS5に出すのだろう。荀攸の露出が増えていたら困るな、正統派軍師ルックでいてほしいな。

　だけど、だけどだ。２本ってなに？え？なに？スマホ？スマホかな？でもさ、この前アンケート取ってたよね？当然のごとく新作はエンパほしいって回答したよ？で、２０周年記念な作品なんでしょう？

　期待しちゃうよ……！？いやでも、期待の余地が生まれちゃうよ……！！なんて罪な報せをよこしてくれたんだよ！こんなニュースなんで三週間近く前から聞かされないといけないの！？どんなテンションで過ごせばいいの！？
　私は幾度となくのたうち回りながらも、うっすらと期待してしまう自分を思い知らされた。そうか、私、ぜんぜん諦めてなかったんだな……。

　エンパ７は数字を取れた作品ではなかったと私は認識している。この先だって需要はごく一部にしかないのかもしれない。だけど、だけど、８画質でエンパやりたい……！！うちの子を作ったり国を建てたり放浪したり賊王と一騎打ちしたい……！！（三國志１３混ざってる）
　２年半もの間封印してきた思いが、TGS2020によって破られてしまった。

　ただ、どんな結果になっても、それは企業が生き残るための戦略だと思う。ファンは大事なリピーターだけれども、時代は常に変わっていく。その中で生き残るのは、本当に大変なことだと思う。そのために繰り出された手がどんなものであろうと、私は受け入れたい。

　まあ、新作はPS5とスマホで～す！って言われたらチクショオオオ！！と雄叫びを上げてサイゼでたまねぎのズッパをかっ食らうと思うけれども。
　やはり真・三国無双は長年親しんできた大好きなシリーズで、これから先も売れてほしい、続いて欲しいというのが本音だ。
　もちろん、本音の本音をいえば、新作は無双９と８エンパで～す！！と言ってほしい。やったああああ！！と歓声を上げてサイゼでティラミス＆プリンをむさぼり食らうだろう。

　２という数字は不思議だ。数百人のライバルがいる面接で、１人採用されるなら受かる気がしない。だけど２人採用なら、もしやワンチャンあるのではと期待を抱いてしまう。

　今の私は、まるで宝くじの当選を待っているような気持ちだ。そしてこの宝くじは、二度とチャレンジできない。この機会に発表されなければ、エンパ８は決して発売しないだろう。この期待にキャリーオーバーはないのだ。

　いったいどんなテンションで待ち続ければいいのか。私は今日も、新作２本という言葉に惑っている。