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本のこと
浅田次郎の「神坐す山の物語」の完本を買った。
文庫本の方は、6年前に京都で東寺裏の銭湯に行った帰りに古本屋で見つけて買ったもの。その時は仁和寺の金堂壁画の特別開帳があり、仕事帰りに新幹線に飛び乗って京都に前泊して見に行ったのだった。
本を開くと、仁和寺の境内で拾った落ち葉がハラハラと落ちてきて、金堂の暗さや空の青さ、「アルバイトで来てるんです」と言って壁画の説明をしてくれたお坊さんの笑顔を、一瞬にして思い出して胸が熱くなった。
記録に残る写真やSNSも良いものだけれど、手に触れる物の強さにはかなわないな、と思った。
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