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工事番外編_ビルの宿命、荷揚げの風景

番外編ということで、今回は工事で地味に大変だった(完全に想定外だった)「荷揚げ」 についてまとめようと思います。
私たちのビルは、以前も概要で紹介しましたが、地下1階、地上4階建+屋上となっていて、トータルでいうと6層あります。
もちろん狭小住宅ゆえエレベーター無し。
自分を運ぶ上下運動だけでも大変ですが、工事で使う材料や道具、機器を運ぶのは、想像以上に重労働でありました。


解体の難

以前の記事でも紹介しましたが、解体はほとんどの部分を自分たちで行いました。解体というと、豪快にハンマーを振り回しとにかく壊していくー!スッキリー!みたいなイメージでいたのですが、その作業の半分は、解体で出たゴミをまとめる作業と運ぶ作業、という地味な作業をしているというのが実感。
特に上下移動が多い私たちのビルでは、上階で出た廃棄物を階段で1階まで運ばなければいけません。階段を使って運ぶということは、運べるようにガラ袋に入れるか、大きな面材や扉などは運べる程度にまとめる作業が必要です。またガラ袋への入れ方も、回数を減らしたいばかりに一つの袋に詰め込み過ぎると、重たくなり到底一人では運べなくなります。泣く泣く詰めたゴミを別のガラ袋に入れ直す、と言った非生産的な作業も1 回ではありませんでした。
平面的にも狭いため、集めたゴミを同じ階に置いておくとすぐに狭くなってしまい、解体作業ができなくなるため、こまめにゴミを運ぶ上下移動をしなければならず、体力消耗のスピードが加速度的に上がっていきました。
後半には、実際の解体作業とそれ以外のゴミをまとめて運ぶ、清掃するなどの作業の時間配分のコツ(半々くらいの時間の印象)を掴んできてからは、計画的に
できるようになりましたが、それまでは時間コントロールもうまく出来ず、夜遅くまで作業して翌日使い物にならないなんてこともありました。。

どんどん壊しては下におろす
すぐに埋まるガラ袋
すぐに埋まる室内、、、
1階に下ろした廃材たち=全部手で運んだ涙

材料の難

これは職人さんのご苦労の話になるのですが、下地の木材にしろ、プラスターボードなどの面材にしろ、とにかくまずは荷揚げしないと作業ができません。
多くの材料は現場で加工して使うため、一つ一つのサイズがおおよそ規格で決まっており、それが中々の大きさなのです。
下地の木材であれば、3mとか4mの角材、プラスターボードや合板などは3×6板と言って、およそ畳1枚分(90㎝×180㎝、厚さによりますが重さ14kg程度)。
そんな材料が、こんな小さなビルでも大量に必要になるので、その分だけ荷揚げの労力が必要になるのです。
もし平屋の建物であれば必要のない労力と時間なので、想像しただけでも大変なことがお分かりになるかと思います。

業界では、「荷揚げ屋さん」と呼ばれる荷揚げを専門に行う職人さんもいるようで、この作業をいかにこなすかが工事の段取りのポイントにもなっているということがわかります。
実際仕事でお会いしたことはないのですが、相当なマッチョ集団を想像してしまいます。。。
参考までに、荷揚げ屋さんに頼むと、時間で動いてくれて、ひとり5時間で1万円程度のようです。

手前に積まれているのがプラスターボード、これでもほんの一部
設備機器や仕上げ材もどんどん届いて荷揚げ待ち

重量物(割れ物)の難

前者のゴミや材料などは、ある程度雑?に扱っても、そのまま現れてきたり壊れたりするものではないのですが、今回一番の荷揚げの難所であったのはやはり最上階の浴室工事に関連するものたちでした。
浴室の床などに使用するモルタルももちろん超重量物ですが、それに加えて、浴槽の荷揚げが一大イベントでした。(そんな楽しいものではないけれど無事終わったときには職人さんと拍手したw)
特に今回選んだ浴槽が、以前からどうしても使用したかったホーロー製の浴槽で重さなんと200kg!!
それを5階まで運ばなければいけません。
もちろん人間の手では運べる重さではないので、室内で使える小さなウィンチ(クレーンのようなもの)をレンタルし、ウィンチを設置する仮設梁を作ります。

ウィンチ様!
浴室搬入
ぶつかっても直接浴槽にあたらない様木材などで厳重に養生

そして浴室が搬入されると、万が一ぶつけて割れたり、ぶつけて落ちてしまったりしないように厳重に養生し、ウィンチに慎重に取り付けていきます。

吹き抜けの遥か上に見えるウィンチ。。この高さを吊り上げます

ウィンチに設置できたらいよいよウィンチを稼働させて上へ吊り上げて行きます。

いよいよ吊り上げ!ドキドキ!
なんとか屋上にあがった!
とりあえず屋上の仮置き、露天風呂w

15mくらいの高さから200kgのものを吊り上げているので、揺れないはずがありません。ひやっとする場面もありましたが、なんとか無事に5階まで搬入できました!
大工さん2人と設備屋さんの3人がかり、そして真冬の作業だったにも関わらず、終わったときには3人とも汗びっしょり。
(ちなみに私は手伝うと逆に危険で邪魔。。無力感。。)

エレベーターなしの小さなビルの宿命を肌で感じる荷揚げ作業でした。

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