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神戸の野鳥 04月~05月の見どころ

 春本番、留鳥は繁殖にいそしみ、夏鳥たちがどんどん渡ってきます。さらに北方へ移動していく旅鳥たちも加わって、1年で最も面白い季節といえます。フィールドはさえずりにあふれ、森を歩くだけでも満たされた気持ちになれます。
 行きたいところ、面白そうなところが多すぎて、限られた休みの日にどこへ行くか…悩みどころです。さあ早起きして出かけましょう。

■夏鳥の渡来がピークを迎えます
 4月頭にまずはセンダイムシクイとヤブサメが到着します。今シーズンはオオルリの情報を3月に聞き、センダイムシクイもかなり早く渡来しました。4月上旬~中旬にかけてオオルリ、キビタキ、コサメビタキと夏鳥が続々とやってきて美しいさえずりが聞けるようになります。
 コマドリの渡来は4月中旬~下旬がピーク。街の公園でも出会えるかもしれません。ササやぶなどに潜み、姿を見るのは難しいですが、声は特徴的ですぐわかります。

 ニュウナイスズメも4月中旬(今シーズンは4月に入ってすぐ観察されています)。花が終わりかけたサクラや芽吹いたドングリの木に群れでいるのをよく見ます。
 ツツドリの渡来も4月中旬。トケン類の中で最も早く渡来します。近くで見ることは難しいですが、特徴的な声で離れていてもすぐわかります。
 4月下旬から5月上旬が、夏鳥渡来のベストの時期。神戸で繁殖はしない種もどこに現れるかわからない、本当に楽しめる時期といえます。
 少し遅めの5月中旬に渡ってくるのがホトトギス。ゴールデンウィーク明けの記録もありますが、メインは5月中旬から下旬。夜空を渡りながらさえずることも多いので、市街地でも夜に声を聞くことがあります。
 5月中旬から目立つのはオオムシクイ。「チョチョリ チョチョリ・・・・」というさえずりが特徴です。下旬にはほぼ渡りは終わりを迎えますが、そのころに記録されるのがアシ原のコヨシキリ、運次第ですがヤイロチョウ、エゾセンニュウ。そうそう出会えるものではありませんが、頭の片隅に意識しておいてください。

■街中の公園ほどおもしろい
 4月~5月の渡りの時期、街中や海辺の公園に思わぬ渡り鳥がいることがあります。山や郊外の公園は周りに緑がたくさんあり、鳥たちの居場所もたくさんあります。それに対し街中や海辺の公園はまるで「砂漠の中のオアシス」。渡り鳥たちは限られた緑に集まって休息するしかありません。滞在期間は短いですが、街の公園で鳥たちのうつくしいさえずりをきくこともめずらしくありません。この時期

、朝30分だけでも観察をお勧めします。

■留鳥は繁殖中
 留鳥は繁殖本番。巣材運び~抱卵~子育てといろんなシーンに出会えます。大きな影響を与えないようにそっと観察しましょう。
  田園では3月下旬からケリが繁殖に入っています。ケリが田んぼや畦の上に座っていたら卵やヒナを抱いているかもしれません。田起こし前の田で卵を産むため、耕耘機に巻き込まれる悲劇もめずらしくありません。

■ジョウビタキの動向
 ジョウビタキの動きに注意です。神戸ではいままで冬鳥で、秋は10月中旬~下旬に渡来、春は3月下旬には渡去していました。おやっと思ったのはだんだんと渡去の時期が遅くなったこと、ゴールデンウィークに姿を見るなど変化を感じていました。ほどなく兵庫県の中部で繁殖の知らせ。神戸市では六甲山地の標高が高く開けたところの林縁、建物への営巣の可能性があると考えています。

■サシバが帰ってきます
 3月下旬から4月にかけてサシバが帰ってきます。

http://www.gix.or.jp/~norik/hawknet/hawknet0.html

上記のサイトを見ると3月下旬から記録され始め、いよいよ本番というところでしょうか。神戸から観察すると淡路島方向からやってくる個体が多いので、その方向の見晴らしがよいところで、晴れた穏やかな日に観察してみてください。昔、菊水山山上で半日で500羽以上の渡りを観察したことがあります。
 ハチクマはサシバより1か月ほど遅くに返ってきます。朝鮮半島をいったん南下して九州北部からはいってくる個体が多いと考えられるので、サシバとコースが異なる可能性が高いです。六甲山西部で春に次々とハチクマが飛来する様子を観察したことがあります。神戸市上空をどのように通過していくのか興味深いところです。

■シギ・チドリ
 市内にはシギ・チドリ類に適した環境(干潟のような)が少なく、多くの種類を一度に観察するのは簡単ではありません。海辺では河口の小さな干潟、須磨から垂水にかけての砂浜、消波ブロックの上などがポイントです。落ち着ける環境は少ないので滞在時間は短いと考えられます。家の近くにそのような場所があれば、短時間でも毎日チェックすればおもしろい出会いがきっとあるはずです。田園地域では、水が減っている池、田植え前後から稲が伸びるまでの田(時期的には4月下旬~5月中旬)に淡水を好むシギ・チドリがやってきます。西区の岩岡町、神出町が中心で、西区の北西部や北区ではクサシギ、イソシギなど、見られる種は限られます。
 ※田園地域を車でまわるときは、農作業をしている方や地元の方へ最大限の配慮をしていただけたらと思います。皆の道だといってしまうのは簡単ですが、トラブルにならないことがこれからも長く楽しむことにつながると思います。最近の野鳥観察者やカメラマンの増加、めずらしい鳥が出た場所への集まり方は強烈で、悪い評判が広まることを心配しています。


 
 


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