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シン・長田を彩るプレイヤー~木を愛し、新長田を愛する建築家~(後編)

合田昌宏さんへのインタビュー記事の後編です。
前編では、合田さんが新長田に来たきっかけ、建築に目覚めた出来事、r3の「木」にまつわるエピソードなどを掲載しています。
後編は、合田さんと地域とのつながり、新長田の可能性などについてお話しいただきました。
様々な地域団体の役職をこなしてこられた合田さんから見た、新長田のお話は必見です。

「地域の話し合いは、いつも同じメンバー!?」

-記者-
合田さんは様々な地域団体の役員などをされてきましたが、
今後こういったコミュニティがあったら良い、こんな風になれば良いなというのはありますか?

-合田さん-
うーん、どうやろなー。
ちょっと答えにはなってないかもしれないんですけど。
この辺の地域でも、とある会があって色んな話し合いが行われているんです。
ただ議題が違うだけで、結局出席しているメンバー同じなんですよね。

この街を良くしようとか、この町を今後どうしていきたいみたいな話し合いをしてるのに
いつも同じメンバーで話し合ってて、ほんまに未来に繋がっていくんかいなっていう疑問を覚えたことはありました。
新しい人も入ってくれたりした方が良いかなと。
いつもいるメンバーはスピードも速いし、人を集める力あるし、影響力めっちゃある人らばっかりなんですよ。

けど、その場所場所でくすぶってる人いっぱいおると思ってて、
その人らにどう頑張ってもらうというか、引き出してあげたらいいんかなっていうのを常に思ってますね。
めっちゃ難しいと思うし、それをどうしていったらいいのかはまだ案はないんですけど。

-記者-
身近にそうやってくすぶっている方いるなって感じますか?

-合田さん-
感じますね。
もちろん若手もそうですけど、年配の方たちでもすごい町にとって重要な人たちがたくさんいるのに、なかなかそういう人らの意見が通らなかったりとか。

「新長田には何か可能性がある!」

-記者-
合田さんにとって新長田はどんな地域に見えていますか?

-合田さん-
可能性はすごくあるなあと思います。
新長田の商店街は、50年前は流行っていて、繁華街だったのが、今はシャッター街で。
かつて、この辺でお店をやってた人も今はシャッター閉めて、中で生活されてる方もいるけど、その方たちは特に困ってないんですよね。

-記者-
困っているわけではないんですか。

-合田さん-
僕も空き家やと思って声かけて、貸してくれって色々言いに行ったこともあったんやけど
「いや困ってませんからうちは」みたいな。
逆に、人に貸してトラブルになるのが怖いとかね。

だから外部から見ると、「うわ、シャッター商店街になってもうた」みたいに見えるけど、
中の人はみんなそんなに困ってないんや、と思って。

-記者-
僕もどっちかというとシャッター街で閑散としているイメージでした。

-合田さん-
ですよね。
再開発されたところと、かつて流行ったところで再開発されないままシャッターになったところ。この2点が歩いて見れるのは神戸市内でこの辺くらいしかないんです。

-記者-
先ほど合田さんのおしゃっていたこの辺りの可能性でいうと、具体的なイメージはありますか?

-合田さん-
いや、それがね、何か分からない。
可能性があるってのはものすごい感じるんよ。

きっとそれが何かわかったら、引き出す手段も分かって、活用できるんじゃないかって思うんだけど。
これやっていうのが、掴みどころがないというか、要素がありすぎるというか。

「建築では、○○を築くことも大切」

-記者-
合田さんが大切にしてることはありますか?これはこだわるなとか。

-合田さん-
僕が大事にしてるというか、意識してるのは、やっぱり周りとの関係性です。
仕事で僕らが関わるのは一瞬なんですよ。
その現場の状態を見に行ってから引き渡すまで、長くて1年くらい。

だけど、店をやる人とかそこに住む人って、その後ずっと周りの人と関わるわけなんですよね。

やっぱり工事の段階から周りとのいい関係を作っていくっていうのが大事。
近所もうまいこと巻き込んで、後の関係性、周りとの関係性は大事にしたいです。

なんぼええもんとか、なんぼお金かけたりとかしてもそれはその一瞬で終わってまうので
関係づくりを大事にしたいなっていうのは常に思ってます。

-記者-
なるほど、そこから続いていくコミュニティを大事にしたいということですね。
なにをするにもその後が大事ですもんね。

「合田さんにとってデザインとは?」

-記者-
いつも取材させていただくときに最後に「あなたにとって○○とは?」と伺っておりまして、合田さんにとって「デザインする」とはどういうことでしょうか?

-合田さん-
「じゃじゃーん!」みたいな感じですね。

「君の仕事は、作った以上は色んな人が見て、良いも悪いも評価してもらえるところがすごいなぁ」って父親から言われたことがあって、
それを俺も子供たちに伝えたいかなぁっていうのはありますね。
良い評価、悪い評価は置いといて、
「色んな人に見てもらえる仕事なんだよ」って。

色んな人に見てもらうことで、「おもろいもん作ってる人おるで」って紹介してもらえることもあるし、次につながるってこともあるし、
「評価される仕事」っていうのはその時初めて気が付きました。
すごい仕事をさせてもらってます!笑

例えば廃材の瓶で照明作りましたっていうたら、色々な人が見てくれるんですよ。
写真撮っていく人もおるし、
「どうやって作ったんですか」、「また教えてくださいよ。僕も作りたいです」って会話になったりもします。

そういう「行動の連続性を生むしかけ」
「ものづくり」なんやろなぁと思ってますね。

-記者-
ものづくりが、つながりを作っているんですね。
ありがとうございました。

今回も大変興味深い話でした。
普段の仕事においても「周りとの関係性」を大切にしている合田さん。
ただ建てるだけじゃない、その後のつながりまで意識をされている。
建築への向き合い方に合田さんのこだわりが詰まったインタビューでした。
私たちもまちの色んな関係を大切にしていきたいですね。
今後の新長田の可能性を、我々も共に探っていきたいと思います!