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シン・長田を彩るプレイヤー     ~まちの魅力を発信する市民ライター~(後編)

今回は、「ながたもん」ライターの二宮香織さんを取材しました。
前編では市民ライターとして活動されるまでの経緯や、長田の面白さについて伺いました。
後編では、二宮さんのこだわりや長田で実現したいことなどを教えていただきます!

ながたもんHP  https://www.city.kobe.lg.jp/h53961/miryokuhasshin.html
まちの駅MANONOMA HP https://hitonoma.jp/manonoma/


大事にしていること


―記者―
二宮さんが普段大事にしていること、譲れないことはありますか?

ー二宮さんー
私は2年間の旅を経て、「リアル・スマイル・グローカル」という自分軸を持っています。
まず「リアル」は、今こういうデジタルの時代だからこそ、オンラインにはないリアルの価値があると思うんです。
長田も、いい意味で「来ないとわからない」ところだから、実際に来てほしいですし、そのリアルを大事にしたいんですよ

それから、「スマイル」はそのまま笑顔のことです。
私は笑いで生きてるので、旅中も言葉がわからなくても、笑顔でわかることもあります。
以前の仕事では言葉を話せない方もいらっしゃったので、察し汲みとる心とアイコンタクトやジェスチャーのみで、コミュニケーションを取っていました。
特に目を見ると本当に楽しんでいるかがわかったり、会話ができたりする。
笑ってナンボじゃないですけど、すごく自分の中で大事にしていて。
あと若いときはメンタルが落ちて笑えない時期もあったりしたんで。
旅をしてきて笑顔って本当に大事だなと。
世界の共通言語は笑顔で、笑顔で旅もどうにかという感じですね。

「グローカル」は、グローバル(地球規模の)とローカル(地域的な)を掛け合わせた造語で「地球規模の視野で考え、地域視点で行動する(Think globally, act locally)」という考え方です。
意味合いのような大それたことには至らないですが、独自のグローカルで在りたいです。
私は今ローカルが本当にありがたいし楽しいんですけど、外の方とも繋がりたい。
ずっと内にいるとだんだんマンネリ化しちゃって、内の素晴らしさに気づきにくくなるとも思うんですよね。
凝り固まった考え方をしないよう、壊し続ける的な(笑)
外にも出て、様々な人に出会い刺激や学ぶ部分があって自分のとこに持ち帰ったり、一旦出ることでまた客観的に見て、ここにしかない人・もの・ことを大切にしたい。
自分の中ではすごく大事で必要な要素なんですよね。
訪問先で長田のことももちろん伝えたいし、自分が実際行って発信したい。
なので、自分も動くような働き方、生き方はしていきたいかなっていうのはあります。

まちの駅MANONOMA

―記者―
二宮さんが今後やってみたいことはありますか。

―二宮さん―
今いるギャラリーカフェMANONOMAなんですけど、実はこれから始まるところなんです。
オープンして1年が経ち、オーナーの方はご出身が真野で、普段は東京でお勤めされています。地域コミュニティだったり、まちづくりをすごく考えてらっしゃって。
こどもたちやシニア層だったり、ずっとこの辺りに住んでらっしゃる方や訪れる方に開放して、一緒に何かできたらすごい面白いかなって。
もっと地域の方が交流する場にしたいということで、まちの駅にも登録したっていう経緯があるんです。


―記者―
まちの駅に登録すると地域の方が交流する場として活用していけるんですか?

―二宮さん―
まちの駅は、誰でも気軽に立ち寄ってひと休みしたり、地域観光・イベント情報を手に入れたりできる、ひと・テーマ・まちを繋ぐ、「地元の人」と「訪れる人」にも開放された交流拠点です。
MANONOMAが位置する国道2号線沿いには、長田区だけでなく兵庫区や須磨区など、歴史・食・文化アートを活かした魅力いっぱいの地域コミュニティがあるので、他区のゲートウェイ役を果たすことも登録したコンセプトです。
「まちの駅MANONOMA」という名前はここが長田区の真野にあるということと、社名が「HITONOMA株式会社」というので掛け合わせです。HITONOMAとは人の間、なつかしくてあたらしい、ひととまちのあいだがらを創ることを意味しています。

―記者―
そういう意味なんですね!
では、MANONOMAでも仕事をされているということですか?

―二宮さん―
そうなんです。自分の仕事になったんですよ。
ずっとウロウロ神戸愛で動いてたんで、すごくありがたいなって感じています。
今後はインバウンドツアーとかもやりたいなって話をしてます。
京都・大阪は外国人観光客はよく訪れますが、神戸に足を伸ばすのは少ない。
神戸にしかない体験や景色を目的に、ローカルさと暮らしを見てもらいたいと思って。
私は銭湯、角打ち、商店街を日本三大人情文化遺産と思っているんです。
懐かしさもある日本らしい姿とこの時代に直接コミュニケーション取るきっかけじゃないですか。
そういう日本の文化的な良さがこの辺りにはいっぱいあるので、ツアーに組み込んだらすごく面白いなって考えてます。


―記者―
確かに集まってますよね。

―二宮さん―
そうなんです。
今コンテンツを練っているところで、6月下旬にモデルツアーをやろうかなと。
コースは、MANONOMAの近所にある神戸レーザーファクトリーで最初写真を撮ってる間に、ちょっとお好み焼き食べたりとか角打ち行ったりとか、近くの高福寺というお寺さんでお経体験など。
お寺の住職さんももうちょっと地域に開放したいって言ってらっしゃったんですよね。
だから、そうやって地域とコラボレーションしたいなと思ってます。

―記者―
計画して今進めているところなんですね。長田のツアー面白そうです!

ー二宮さんー
MANONOMAではスポーツ観戦やワークショップなど、何かやってみたい方に場をお貸ししたりワクワクをシェアしたい。
人と人が掛け合わされて、またとないことや新しいことが生み出されたら面白い。
他の県にもまちの駅があるので、私自身月1ぐらいで気になるところ行って、実際どんな交流の場やまちづくりのお話を聞いたりとか、お土産買ってきてここのカフェで出したりしても面白いかなとかも考えています。
店というより場にしたいですね。

人・もの・ことが交流する場。


ー記者ー
逆に課題だなと感じる部分はありますか?

ー二宮さんー
神戸って自由に話しましょうみたいな、いろんな会がありいろいろ行ったんですよ。
私は移住して一年なんですけど、ずっと住んでる方、移住されてきた方、Uターンされる方では、皆さん感じるところが違うんですよね。
改めて離れたからこそ、またここの良さに気づいたり、逆にモヤモヤしてる方もいらっしゃる。それぞれ感じるフェーズを語り合う場があるのは素敵だなと感じます。
課題でいうと正直PRがあまり上手じゃないかもしれないです。
私自身も下手なのでおこがましいのですが、こじ開けたいところです(笑)
とてもポテンシャルがあるのでもっと推しを推したり、もうちょっとこうだったらみたいなのもあったりしますね。
でも暮らしのまちだから、暮らしを大事にしたいじゃないですか。
観光客もドバドバ来ちゃうと暮らしが変わってしまう、だからすごく難しいですよね。

ー記者ー
難しいですね。
塩梅と言いますか、暮らしも守りつつ魅力も発信しつつと・・・。

ー二宮さんー
観光の王道スポットはまず1回は行くんですけど、旅好きな方はその後絶対ローカルなところ行きたいんですよね。なので経済と環境の両面で分散化を掲げています。
俗にいう観光スポットではないところを、日常のお店や各所を巡ることで、オーバーツーリズムとならない人流をつくる。地域の横の繋がりを生かして、人と社会が活性化するのではと思います。
そういう意味では、神戸自体はやはり面白いので、神戸でもうまく分散できれば経済も巡り、潤う気がします。

多様性の町、長田

ー記者ー
では最後の質問になりますが、二宮さんにとって「長田」とはなんでしょうか?

ー二宮さんー
難しいですね(笑)
神戸は「最神戸(さいこうべ)」と言ってるんですが、長田も考えてたんですよ。
ちょっとひと癖足らないですが、今は「長らく田のしい長田(ながらくたのしいながた)」とかを考えてて(笑)
今考えてる最中なんですけど。
ちょっと弱い感じがするのでもうちょっとインパクトのあるものを(笑)
でもこんな変人な私を受け入れてくれた町ですね。
脱線や寄り道の人生ですが、この地や人に出会えたことはありがたく想います。
あと改めてごちゃまぜ感が半端ないのがええとこですね。

ー記者ー
いろんな人がいる町って感じですかね。

ー二宮さんー
そうですね。
多文化共生、多様性。言葉以上に中身が伴ってるなと感じます。
お子さんから人生の諸先輩方までいろんな国籍の方が住んでらっしゃる。
神戸、長田は間口が広く受容力が素晴らしいんですよね。
様々な人を受け入れるまち。
年齢、出身地、国籍、肩書き関係なく、みなさん自然体なんですよねこのまちって。昔ながらのサザエさんの世界のような、ご近所さん付き合いもあります。
強風で吹き飛んだ洗濯物を、保管して下さっていたこともありました(笑)
まあ今のところ自分が出会った方がそうだけなのかもしれないんですけど、その自然さとさっきの銭湯、商店街、角打ち、あと喫茶店もいれたいです(笑)何気ない会話や愛らしいおせっかい、適度な距離感も心地いいです。
なので日本4大人情文化遺産ですね、3つじゃなくて4つにしちゃおう、カルテットを組んで(笑)
本当に住み続けたい町だし、あと皆さん絶対来た方がいいです。五感で感じていただきたいですね。


二宮さんが大事にされている「リアル・スマイル・グローカル」。オンラインで簡単につながれる時代だからこそ、大事にしたい部分ですね。まちの駅MANONOMAでは、いろいろなことが企画されていて、お話を伺っていてとてもわくわくしました!世代や国籍、住んでいる場所を超えてたくさんの人が交流できる地域の拠点になっていけば素敵だなと思います。
これからの活動を応援しています!

(編集:まっつー、ぼーちゃん)