見出し画像

【長田区地域づくり活動助成】花と緑、チョウでまちづくり活動⁉放置されている空き地を花壇にして地域コミュニティの拠点に

【団体名】五位ノ池小公園美緑花クラブ

長田区五位ノ池町で、花と緑によるまちづくりや“バタフライガーデン”を運営している五位ノ池小公園美緑花クラブの代表の橋本敏明さんにお話をお聞きしました。活動を始めたきっかけや大切にしていることなどを教えていただきました。

“バタフライガーデン”って?
-記者-
今日はよろしくお願いします。はじめに、五位ノ池小公園美緑花クラブで行っている活動について教えてください。

-橋本さん-
五位ノ池小公園美緑花クラブは、五位ノ池町1丁目にある公園や空き地の管理運営をしながら、“バタフライガーデン”にする活動をしています。
毎月第1日曜日を中心に活動していますが、高齢者から親子の3世代が交流しながら、和気あいあいと作業に励んでいますよ。特に子どもたちが楽しそうなのが印象的ですね。日曜日は、お父さんやお母さんは家でゆっくりしたいけど、子どもたちに連れられて一緒に作業をしてくれています(笑)

-記者-
お父さん・お母さんは大変ですが、地域活動にいろんな世代の人が参加してくれるのは良いことですね。
活動を通して、まちの雰囲気はどのように変わっていきましたか?

-橋本さん-
この周辺は震災で大きな被害があり、1戸建てが30戸集まった住宅地が出来ました。小さな子を持つ新住民が多く、公園や空き地に集うことにより、つながりが生まれたと思います。高齢者は外に出るきっかけになっているし、子どもや親世代は、生き物や自然に触れることができる、いい体験活動になっていると思っています。このように公園や空き地が、五位ノ池町の交流の場となり地域コミュニティの核になっていると思います。
また、住民のみなさんから「町が花いっぱいになり、チョウをよく見かけるようになってうれしい。ありがとう」「町の入り口のいちばん目立つ場所が、綺麗な花壇となり、見違えるようになった」などと感謝されます。元々、阪神淡路大震災で家が崩れ、瓦礫だらけの空き地だったので、近所の人も困っていたのだと思います。

-記者-
その瓦礫だらけの空き地を“バタフライガーデン”にしようと思ったきっかけは何かあったのでしょうか?

-橋本さん-
5年程前に自治会から「まちの入り口の瓦礫と雑草に覆われている空き地が、景観や防犯に支障があるためなんとかできないか」と依頼があったのがきっかけです。
空き地の所有者さんに連絡を取ってみると、相続関係が複雑で困っていたので「相続の手続きが終了するまで貸してほしい。」とお伝えしたところ、快く了承してもらいました。
神戸市内には、このような相続関係が複雑で放置されている空き地がたくさんあると思うので、私たちの活動が良いモデルになればと思っています。

-記者-
確かに広がっていってほしいですね。
“バタフライガーデン”がコミュニティの場となっているという事でしたが、活動をするうえで大切にしていることや工夫していることはありますか?

-橋本さん-
親子連れで参加できるよう花苗植えやチョウとのふれあい体験など、子どもが喜ぶような活動を心がけています。
また、地域にチョウが自然と集まるように、チョウの成虫の食べ物となる蜜源植物(百日草やムシトリナデシコなど)や幼虫の食べ物となる食草(ミカン、ウマノスズクサなど)を中心に植えています。
また、“バタフライガーデン”へチョウが集まり、出会い交尾し、産卵、幼虫、サナギ、成虫へと一生が過ごせるような環境を整え、観察しやすいように工夫しています。

なぜチョウを主役にしたのか?
-記者-
ありがとうございます。チョウの一生が観察できるのは、子どもたちにとっても貴重な経験になると思います。
素朴な疑問ですが、なぜチョウに注目したのでしょうか?何かきっかけがあれば教えてください。

-橋本さん-
私は姫路市北部の田舎の夢前町の出身で小さいころから自然に囲まれて生活してきたので、子どもたちだけでなくお父さん・お母さん世代にも自然に触れる喜びやチョウの魅力を伝えたいと思いました。
チョウは、身近な生き物として60日ほどで一生を終えるため、命の大切さを子どもたちに伝えることができます。特に、誕生(羽化)の瞬間は感動ものです。小学校3年生の理科の授業にチョウの学習があることや保育園などでも身近な生き物の教材になっていることからチョウに注目しました。

-記者-
なるほど!姫路の夢前町の出身なのですね。実は私も姫路出身です(笑)
確かに夢前町は自然がいっぱいですよね。
私も小学生のころにチョウの学習をしたことを思い出しました。確かにチョウは身近な生き物だと改めて思いました。
小学校3年生の理科の授業でチョウの学習があるとのことでしたが、何か小学校と連携していることはありますでしょうか?

-橋本さん-
近くの五位の池小学校の3年生の理科の授業の際に、“バタフライガーデン”で育ったチョウや幼虫をもって、「チョウとなかよくなろう」をテーマにふれあい体験の出前教室に行っています。
また、2年生には「まち探検の案内人」として、地域の由来や“バタフライガーデン”の現地説明をしています。
朝の通学時間帯には、子どもたちの見守り活動もしています。
子どもたちからは「ちょうちょのおっちゃん」と呼ばれています(笑)

-記者-
「ちょうちょのおっちゃん」とても親しみやすいですね。
ちなみに、五位の池小学校以外の学校と連携していたりするのでしょうか?

-橋本さん-
長田区内では、長田小学校や真野小学校、神楽こども園や神戸保育園など様々なところから指導の依頼を受けて出向いています。また、兵庫区や須磨区などにも行っています。
特に真野小学校は、1クラスのあたりの児童数が少ないため、チョウ羽化の瞬間の観察など小規模校ならでは指導をしており好評です。

“バタフライガーデン”の可能性
-記者-
色々なところに「ちょうちょのおっちゃん」が飛び回っているのですね。
さて、“バタフライガーデン”は今後どのような活動にしていきたいと考えていますか?

-橋本さん-
この活動を始めてから、地域住民とつながりが深まり、楽しい行事もできているため、地域コミュニティの形成に役立っていると思っています。
次の候補地をすまいるネットなどと協力しながら探しています。どこか良い場所があれば教えてほしいですね。
“バタフライガーデン”は、人と自然、人と地域を結びつける大きな役割を果たしていると感じています。より、人と花緑・チョウが共生できる憩いの場となり、空き地の改善にもなるよう頑張っていきたいと思います。

-記者-
ありがとうございます。
最後に長田区は将来どのようなまちになってほしいと思いますか?

-橋本さん-
今でも長田区は住みやすい町と思っていますが、子育てしやすい環境づくり、高齢者が活躍する場づくり、花とみどりのまちづくりなどが進み、誰もが快適に過ごすことができるまちになればと思っています。
五位ノ池町では、町中で気軽に花とみどりが楽しめるように、“バタフライガーデン”で育てた苗木を近所の人に配っています。皆さん喜んで、庭先に植えるなどして、自然とチョウが集まる地域になってきています。専門家に調べてもらうと38種類のチョウが五位ノ池町の周辺に生息しているみたいです。
このような活動が他の地域にも広がってほしいですね。

-記者-
チョウは無限の可能性があるなとお話しをお聞きして感じました。
本日はありがとうございました。