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【長田区地域づくり活動助成】長田にもっと繋がりを。”楽しい”を共有できる世界を作りたい

【団体名】だれでもカフェ
今回は、だれでもカフェの髙⽥信子さん、佐藤冴⾹さん、⼭本忠治さんにお話しを伺いました。だれでもカフェは、板宿にあるレンタルスペース「いたやどばあちゃん」を拠点として、誰でも気軽に来ておしゃべりができる、そしてそれぞれが得意なことを持ち寄ってやりたいことが実現できる居場所作りの活動をしています。

【居場所ってなんやねん】
―記者―
それでは、よろしくお願いします。
はじめに、団体の成り立ちなどについて聞かせてください。

―髙田さん―
元々このレンタルスペース「いたやどばあちゃん」では、スマホ教室が開かれていたんです。大学生や社会人のスタッフさんが運営していて、そこに今のだれでもカフェメンバーの佐藤さんがいらっしゃって、その後に私が入りました。そこでの活動を見ていると、スマホ教室というより、なんかもう「居場所」になっていたんですね。高齢者の方が若い方とか多世代と交流するっていう居場所。スマホ教室というと、スマホを教えてほしい人だけに限定されるので、もうちょっと幅を広げていった方がいいのかなっていう風に佐藤さんと考えて、スマホ教室の活動が終了することになった2023年の3月くらいに「だれでもカフェ」という形を作りました。

―佐藤さん―
スマホ教室は今も完全予約制で一応やっているんですけど、最近はやっぱりお話の方がメインになっていますね。

―髙田さん―
スマホ教室っていうよりかは、「そういえば佐藤さん、最近これがようわからんくて……」とかでも気軽に聞けるような空気を作っています。

―佐藤さん―
そうです。で、急にスマホ教室が始まります。(笑)

―髙田さん―
スマホ教室をやっていた頃、最初はいつもお昼前に解散していたんです。それだと結局みんなこれからお昼ご飯食べるよね、やっぱり食事もあった方がいいんかなって考えで、だんだんみんなでランチを食べるようになりました。作るのは私たちだったり、知り合いの子育てママさんだったり。

―記者―
だれでもカフェでも毎回みんなでランチを食べているんですか。

―山本さん―
最初はそうしていたんですけど、後から「みらい食堂」って名前でこども食堂の活動も始めたので、今は食事したい人はそっちに移ったような感じがしますね。

―髙田さん―
そうそう、スマホ教室からだれでもカフェになって利用者層がちょっと変わったから、ランチが別に必須でもなくなってきた感じがして。それだったら、だれでもカフェはチョコレートを持ち寄る会とか、カレーを食べ比べる会とか、豚まんを手作りする会とか、そういう企画をやろうかと。ニーズに合わせてみんなが来やすい、来たくなるような場所を作っています。

―山本さん―
みらい食堂はこどもだけじゃなくていろんな方が来られるので、食事提供はそこで賄えているから、じゃあだれでもカフェをやっている平日の午前中に、代わりに何をすれば人が来たくなるかって考えたんですよ。そもそも居場所ってなんやねんって。居場所っていう言葉自体がまだ浸透してない、それに居場所っていうとなんか堅苦しいから、じゃあもうみんなでカレー食べよ、みたいなほうが入りやすいかと思って。それに、「それぞれが得意なことをやれたらいいよね」とか「ワークショップみたいなものがあると利用しやすいよね」っていうことを元々利用者さんたちと話していたから、今は料理教室とかいろんな企画を始めています。
 
―記者―
みらい食堂の話が出ましたが、だれでもカフェ以外にも、その「みらい食堂」と「だれでも大学」という活動をされているんですよね。

―山本さん―
そうですね。場所は全部ここ「いたやどばあちゃん」で。でも、だれでもカフェだからとか、だれでも大学だからって、そんな切り分けてないです。

―記者―
それぞれ参加者層の違いはあるんですか。

―髙田さん―
平日昼間のだれでもカフェは高齢者、土曜日のワークショップなんかは親子参加が多いですね。だれでも大学は小学生の居場所って感じで、みらい食堂は高齢者もファミリーも来ます。みらい食堂の参加者はいつも20人から25人くらいで、毎回新しい方がいらっしゃるので、この場所を知ってもらうきっかけにもなるし、他の活動の周知にもなりますね。それぞれの活動が窓口になって、いたやどばあちゃんで活動している他のグループにも全部繋がっていけたらいいなと思ってやっています。

―山本さん―
そういえば、みらい食堂を始めると、なぜかだれでもカフェの食事利用が減ったんですよ。まだまだこれからなのかなって思っています。

―髙田さん―
ターゲット層にアクセスできてないってのもあるかもしれないので、近くの福祉センターとかも行ってみようかなと思ったりしています。最初はスマホ教室で高齢者層がメインだったから、平日午前中の開催がいいかと思ってそうしていたんですけど、若い人は平日午前中の参加は難しいだろうし、今はもっと開催時間を自由にしてもいいなと思っていますね。

―山本さん―
これからもっと幅広く、多様性でやっていこうかなと。

―記者―
なるほど。これからの目標としては若い人にも来てもらえるように、かつ高齢者層でもリーチできていないところがたくさんあるから、そういうところにもどんどん出向いて繋がっていきたいということですね。

【コミュニティ嫌いが作ったコミュニティ】

―記者―そういえば、山本さんはどういう経緯でだれでもカフェに参加したんですか。

―山本さん―
髙田さんと僕はパートナーなんです。それで参加しました。
僕は寺子屋を作りたかったんです。大人が子どもに教えるだけじゃなくて、子どもが大人に教えるような仕組みもあるような寺子屋。でも、僕自身が子どもとの接点もなければ、大人とか高齢者とか、幅広い年齢層で接点が一切ないから、どこ行ったらそんな人たちと出会えるかって考えていた時に居場所っていうのを知って、そういう人に出会えるかなと思ってボランティアを始めました。でも、僕がやりたかったのは、困っている人とか、誰かと喋りたい人とか、なんか……そういう人と一緒に雑談したかったんですよ。でも居心地のいいとこは見つからなくて、じゃあ、もう自分で作っちゃえって(笑)

―髙田さん―
コミュニティ嫌いが作ったコミュニティやもんね(笑)

―山本さん―
僕は本当にコミュニティが好きじゃないんですよ。人と群れないタイプなんで。

―記者―
じゃあ、自分の理想の居場所を作るためにも活動を始めたんですね。

―山本さん―
もちろん自分が居心地いいのは絶対条件なんですけど、自分の楽しみを共有できたら面白いなって。

―記者―
そうやって3人の思いが合わさって始まったんですね。みなさんのお話しを聞いていると、自分たちがやりたいと地域の人のやりたいをうまく拾いながらみんなにとって居心地のいい場所を作られているのを感じます。

―山本さん―
楽しいことを伝えてったら楽しいやつ増えんじゃん、みたいな。むちゃくちゃ単純。家に引き籠っている高齢者をどうにかしたいとか、そういう感じでもない。そういう人は引き籠ることを選択しているから、俺らが変えることは無理だけど、こういう場所が増えれば、そんな人もちょっとは外に出やすくなるかなって。

―髙田さん―
そういう人の受け皿になればいいなと思っています。

―山本さん―
うちの強みは、他の団体と気軽にコラボしたり、参加者の人が運営側とか調理班になったり、運営側と参加者の隔たりがあんまりない。全員がプレイヤーになるみたいな、そういうところかな。

―佐藤さん―
なんかもう、みんな友達ですね。

―記者―
そうやって楽しく活動する中で、大変なこともありますか。

―山本さん―
あるある。あるんだけど、元々ゆるく自分らができる範囲でやろうと決めていて。例えば、5000円しかないなら5000円でできることやったらええやんっていう感覚。でも、団体として立ち上がって、できれば長い間続けていきたいよねってなった時に、金銭的な問題は発生しました。その時ぐらいかな。僕が「お好み焼きセッション※」に参加して、そこで区役所の方から地域づくり活動助成のことを教えてもらっていたんです。ゆるく始めた活動なんで、こうやって人から教えてもらうようなことがなかったら、自分で調べてまで助成を取りに行くことはなかったかもしれないです。

※長田区役所が主催しているイベント。何か活動をしたいと思っている人や、既に活動をしている人たちが集まる交流会。

「ナガタお好み焼きセッション3集合写真」

―髙田さん―
区役所のイメージ変わりました。気軽に相談してくださいみたいな感じの雰囲気で、喋りやすかったです。

―記者―
そういっていただけると嬉しい限りです(笑)

【居場所の繋がり】
―記者―
それでは最後に、将来長田がどんなまちになってほしいか教えてください。

―髙田さん―
そうですね。長田のイメージ……やっぱりこう、上の長田、下の長田とかで分かれている感があるので、なんかそこがもっとフラットになったらいいな。特に繋がりっていう点では、私たちと同じような活動をしている方が他にいらっしゃるから、そういうところと繋がっていけたりとか、うちから他の人の居場所にも案内できたりしたらいいなと思います。

―山本さん―
そう、居場所巡りみたいな企画をやりたい。長田って面白いんだけど、全然知られてない面白い団体がいっぱいあるから、それをうまく周知したい。それでこの辺の団体が繋がって、それぞれ独立しているんじゃなくて、ぐるーっと全部が綺麗に回っていったらいいよね。

―記者―
どんな人でも自分に合う居場所が気軽に見つけられるようになるといいですよね。
今日はお話し聞かせていただき、ありがとうございました。