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【長田区地域づくり活動助成】獅子ヶ池へ飛び出そう!机上では学べない自然の体験

【団体名】寺子屋くまさん

今回は、寺子屋くまさんの清水玉青(しみずたまお)さんにお話しを伺いました。寺子屋くまさんの活動は、ママ友と一緒に子どもの勉強を見る放課後の学習支援活動から始まり、現在は、獅子ヶ池の自然を通して子どもたちに楽しんで学習してもらうための活動を行っています。

【天秤が分からない子どもたち】
―記者―
よろしくお願いします。それではまず、団体ができたきっかけを教えてください。

―清水さん―
最初のきっかけはふんわりしていて、「学習支援をしよう!」と意気込んで集まったのではないんです。子どもがまだ幼いご近所さん同士で「子どもの勉強を1対1で見てあげるのがすごく大変だよね」という話があって、それを一緒にできたらいいねという共通の想いがずっとありました。そんなときに、ご近所のお母さんから子どもの勉強を見てもらえないかという話が私のところに来て。それをきっかけに、学生時代に家庭教師のようなことをしていた経験のあるママ友と一緒に子どもの勉強を見る場所を作ろうかという流れになりました。

―記者―
子どもの勉強を1人で見るのは中々大変だったんですね。

―清水さん―
そうですね。特にうちの1人目の子どもは勉強が嫌いで嫌いで、宿題を出すことすら大変でした。幼いうちは勉強をやってもそれが何になるのかが分からないので、楽しくないとできないですよね。でも、幼い頃の学びって大事で、親との関わり合いだけじゃなくて、他の方にも関わってもらうことでまた違ったアプローチができると思っています。親だと子どもも甘えてしまいますし。だから、最初は家庭学習の延長というか、家じゃない場所で親じゃない人が、地域の人が子どもの勉強を見てくれるような場所があったらいいなと思って始めました。

―記者―
団体としての活動は地域福祉センターの放課後学習支援活動から始まったと聞いていますが、どうして獅子ヶ池という外での活動に繋がったんですか。

―清水さん―
地域福祉センターで学習支援を行っていたときの経験なんですが、紙に書いたものが頭の中で想像できない子どもたちがたくさんいるんです。例をあげると、天秤で物体の重さ比べをして順番に並べようという問題があって、天秤に物を乗せると重い方が下がるじゃないですか。あれが想像できない子がいるんです。最近は公園にシーソーもないですし、口や紙で説明しても中々分からなかったみたいですが、次の週に簡単な天秤を作って持ってきて実際にやってみるとやっと分かってくれて。その時に、やっぱり実体験というか、体を動かして学んでいくというのがすごく大事なんだなと思いました。そういうことがあって、野外での活動をもっと広げていきたいと思ったんです。

―記者―
なるほど、獅子ヶ池の活動は体を動かして学ぼうというところから始まったんですね。

―清水さん―
自然の中には理科や算数的なことを学べる要素がたくさんあります。身近な自然の中で五感を使いながら学ぶと、実体験として理解することができて、知識を自分ものにすることができると思います。スウェーデンの「森のムッレ教室」という自然環境教育プログラムがあって、私はそのプログラムを学習し、リーダーとして登録しています。その知識も獅子ヶ池の自然遊びに活かせていけたらと思っています。

―記者―
「森のムッレ教室」、初めて聞きました。そこでの知識や経験を今の活動に活かしているんですね。活動のプログラムを組むときに大事にしていることはありますか。

―清水さん―
子どもたちの創造性を膨らませられるような、手先を動かすプログラムを必ず含めるようにしています。それが外での活動に繋がったきっかけなので。後は、環境教育というか、自然と自分は繋がっているということを学べるようなプログラムにしていますね。落ち葉が腐って土になって、それを栄養にして草木が育って、全部が繋がっている。そういう自然との繋がりと人の生活を結び付けられるような子になってほしいなと思っています。

【人との繋がりが第1歩に繋がる】
―記者―
清水さんが主体で事務をやったりプログラムを考えたりと大変そうですね。他のメンバーもいらっしゃると思いますが、当日も子どもがたくさん来るなかで、イベントの進行や管理は大変ではないですか。

―清水さん―
小学生3~4年生くらいまでは保護者の方同伴でお願いしていますし、手伝ってくれる方もいるので、そこまで大変ではないですよ。

―記者―
団体のメンバー以外にも活動を手伝ってくれる人はいるんですか。

―清水さん―
学童保育で働いている方とか、講師として来てくれている方が、活動を通して知り合って手伝いに来てくれるようになることがあります。私も他の活動に参加して、主催されている方と知り合う機会があるので、その時に今度こんなことをするという話をして、お互いに助け合っています。ほかにも、手伝ってくれる方はみんな自分も楽しみながら手伝ってくれる方ばかりです。子どもがいる方か、子どもと関わる仕事をされている方が多いですね。

―記者―
似ている活動をしている方々とたくさん横の繋がりがあるんですね。

―清水さん―
そうですね。団体を立ち上げるときもたくさん先輩方に相談に乗ってもらいましたし、なんにも繋がりがなかったら、獅子ヶ池で活動はできてなかったと思います。

【ひろがる自然学習】
―記者―
今後の活動の方針や悩みについて聞かせていただけますか。

―清水さん―
5年目、6年目となってくると、特に資金面はどうやって回していこうかなという悩みはあります。でも、自然の中で楽しみながら学ぶという活動は続けていきたいとずっと思っているので、これからやりくりしながら考えていきます。

―記者―
獅子ヶ池以外の場所でもそういった外の活動をする予定はあるんですか。

―清水さん―
あまり手を広げすぎると難しいんですが、実際もう動いているところもあって。寺子屋くまさんとしての活動ではないのですが、しあわせの村の奥にあるあいな里山公園というところで新しい団体が出来ていて、私もそこのメンバーに入っています。年に1回プレーパークをしたり、私も今度「森の算数」というプログラムをやる予定です。

―記者―
「森の算数」ですか。詳しく教えていただけますか。

―清水さん―
自然の中で体を動かしながら、算数的な学びを得るというものです。これもスウェーデン発祥で、1メートルのロープで色々測ってみようとか、自分の影の長さと方角を測って数時間後と比べるとか、あとは自分の1歩がどのくらいの長さなのかを調べてみようとか。そういう自然の中で体を動かしながら、自然物を使って算数的な学びをするプログラムです。

―記者―
それがあいな里山公園での活動なんですね。

―清水さん―
はい、獅子ヶ池でもやってみたいなと思っています。他にあいな里山公園でやったことだと、宝探しなんかもやってみたいですね。地図を見るのも良い学びになるので。

―記者―
なるほど、外でご自身がやった試みもどんどん取り込んで、活動を成長させていくんですね。

【あたたかいまち】
(取材中、地域福祉センターを訪れた子どもが記者に「この前獅子ヶ池で会ったお姉さんや!」と声をかけてくる )

―記者―
こうやって、自分の子どもじゃなくても地域の中で関わっていけると楽しいですね。

―清水さん―
そうですね。地域の子どもが「あの人知ってる」とか「あの人がここでこんなことしてくれた」とか、色んな人との思い出がたくさんあると、大人になって仕事でどこかに行ってしまう子も多いかもしれないけど、いつか戻って来てくれるんじゃないかと思うんですよ。

―記者―
清水さんは長田がどんなまちになってほしいですか。

―清水さん―
長田だけではないですけど、子どもたちがいっぱいいて、大人も子どもも和気あいあいとあたたかく暮らせるまちになるといいですね。

―記者―
あたたかいまち、素敵ですね。今日はお話聞かせていただきありがとうございました。