ICCサミットの運営の仕組みの面白さ(その1)
ICCサミットを企画・運営をしているといろいろな面白さがあります。ベンチャー投資も15年ほどやってきたこともあり、いろいろなビジネスを投資家という視点で見てきましたが、自分でビジネスをするといろいろな発見があります。
① 広告宣伝費がかけず口コミのみで集客する
通常のカンファレンスやイベントの場合はFacebook広告などで「◯◯ 氏 登壇」のような登壇者を目玉にした広告をして集客しています。
SaaSなどのビジネスモデルもそうですが、顧客獲得コスト(CAC)に対してLTVはいくらなのか?なのかの方程式が存在します。3倍みたいな数字が「良い」と言われている。
ICCサミットは前回の9月の京都は新型コロナウイルス感染症の影響は大きかったが、通常は900-1000名規模の参加人数は宣伝広告費をかけずに集客している。
過去にFacebook広告などを出稿したことがあったが効果がなかった。これは無料イベントではなく参加費が22万円以上するためだ。
ICCサミットには「CAC」という概念そのものがない。
ICCサミットの集客は参加者からの紹介・推薦で行っている。ICCサミットそのものプログラムの質が集客につながる。「結果がすべて」「実績がすべて」だ。
評価レポートを公開しているが、この数字が次回の参加者の集客につながる(数字を見て申し込むというよりかは、既存の参加者が強く推薦する)
② 有志による運営体制で4日間運営する
ICCパートナーズは僕も含めフルタイムは数名(5名以下)で経営されており、運営チームのメインは120名のボランティア運営チームで構成されている。
ボランティア = 無報酬 であり、交通費などの旅費も自己負担である。4日間のカンファレンスは「有志」で運営されている。
無報酬で120名のメンバーが4日間も集まるのはなぜか?という点をよく質問されるのですが、非金銭的報酬の充実にある。
例えば、最終日まで運営に参加すると宿泊型の打上げに参加することができる。京都の場合は会場だったウェスティン都ホテル京都の近くの南禅寺 八千代に80名程度で宿泊した。福岡開催の場合はリゾートホテルのルイガンズを使用した(2020年2月福岡開催は40名程度の宿泊)
以前の打上げは飲食店で「打上げ」と称して飲み会をやっていたが最後まで残った人は疲れており、木曜日の最終まで残る人は30-40名といったところだった。
2020年2月の福岡開催のときは1ヶ月前くらいに宿泊型の打上げをやってみようと思ったため日程の調整の関係で40名程度の参加だったが、大浴場でゆっくりリラックスしたり、泊まり込みで語り合うことをしたことが非常に素晴らしい体験となった。
その結果、2020年9月の京都は2倍の80名近くが旅館に宿泊し、楽しい時間となった。
1泊あたりの料金は2万円みたいな金額がかるが友人数名 1部屋で旅行する企画と仲の良い80名で旅館をまるごと貸し切った旅行では体験価値はまったくレベルの違うものとなる。
「コストは足し算」であるが「価値は掛け算で増える」という企画の考え方を応用すると非常に価値の高い企画となった。
「打上げ」もそうですが、年2回のICCリトリートという企画を行っている。2020年は2泊3日の旅行を行っている。7月の軽井沢リトリートでは36名のメンバーが参加し、12月の伊豆リトリートでは50名メンバー参加予定だ。
7月の軽井沢リトリートの滞在先は「星のや軽井沢」だった。
12月の伊豆リトリートは「おちあいろう」と「望水」の予定だ。「おちあいろう」は貸切で利用する。
このような企画は他にもいろいろあるが、年間のコストとしては1,000万円以上投資している。
120名のメンバーが1日の日給 15,000円とすると4日間で6万円。交通費など旅費をいれると10万円相当くらいのコストがかかる。つまり毎回1200万円程度の費用に相当する。
運営チームメンバーは貴重な時間とお金を投資し、ICCサミットに参加しているが、非金銭的報酬が非常に大きい。このリターンの「非金銭的報酬」はメンバーのパフォーマンスによって大きく変わる。適者生存の競争原理が働いているのがICCの運営体制の特徴だ。
通常の会社の場合は福利厚生は一律同じようになり、広く浅くとなっている。それに対してICCの場合は活躍している中核メンバーに対して手厚く投資している。プロスポーツのチームマネジメントと同じような考え方で経営している。
このようにいろいろなことを勉強し、実験しながら経営しているのがICCサミットの運営の仕組みだ。
(続)
(注) 「続」を書いておりますが、他にもあるのですが時間がなかったのでここまでとしております。
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