任せたテトラポット

汗だくな少女は横須賀線付近の駄菓子屋で氷菓子をいやな顔して食していた。

五月雨は延長戦となり服と共に洗濯した涙は早々に氷菓子と共に溶けていた、煌びやかな誘拐犯は小心者しか狙えないらしい。気づけば二時間が経過しバカンスは蜃気楼の様に嘘であった。

恋文は旅路に必要不可欠な怠け者。少女Aは、用事はないが桜木町駅に来ていた。金属音はかなり昔に聞いたが私はどこかで聞かないようにしていたらしい、夢がふやけてしまわないように水を撒くわけだが先生に呼びだされた時の大人ぶりは甚だ疑問であった。
『これからどうするんだ?」
よくわからないけれど物理学者にでもなる予定ですよ、先生の汗はすでに人口機でしまわれていた。外気の思い出もしまって煙は私を包み込んだ。
「先生、お願いです。私の前で煙草をのまないでください。」
「随分と文学的な言葉を使うんだな」
呆れた様子で先生に接吻した、静かな教室で頬に滴る汗があった。先生の喉ぼとけは、いつも以上に妖艶で殺意が沸いた。白シャツは少し乱れていたけどそれでも気に留めはしなかった。

「お前は、神奈川が好きか?」
素朴すぎる関係だが嫌いなほどでもなかった。
「私東北に行きます」
突然の返答に唖然とした先生がそこにいた。柳田邦夫みたいにいろいろなところを巡りたいと。

吹奏楽部の集合が掛かった。杪夏はまだ先の話だが、引き出しにしまったセミの抜け殻を校庭に向かって投げた。終焉を告げるパレードは、風鈴の音と掻き蹴飛ばされた。
「先生、私の事好き?」
紫煙に巻かれた空間にも終始はあったのだと知った。先生は嫌な顔をした。
「骨が食べたいぐらいにはね」

屋上にたどり着き、最後の別れを告げた。どうせ誰かに恋をしてるんだろ?煙草をのんだ、少しだけ大人になれたそんな気がした。

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