常を保つ

 本当なら、年末に大掃除するべきだったが、ついついやらずに新年を迎えた。特に浴室の天井と壁のカビが気になっていたが、どうせ、もうすぐ転勤。我慢することにした。
 しかし、昨日、新年を迎えて風呂に入る時に気持ちが変わった。無視しようと思ったが、もはや手のつけようがないくらいのカビだらけの天井を見つめ、意を決した。わざわざ裸になってから意を決する必要もないのだが。寒いが窓を開け、スプレーを吹きかけ、ブラシで擦る。が、長らく放置していたカビなので、なかなかしつこい。おそらく昨年の夏頃からか。結局はカビを落としきれず、寒さに負けて妥協。シャワーをかけて汚れを落とす。寒さに震えながら奮闘すること約15分。頭上からポタポタ水滴。冷たい汚れた水が背中、頭に落ち、目に入る。我ながら新年早々あほやと思う。
 そして、今朝シャワーの為に浴室に入ると、昨日落としきれなかった汚れが気になる。しかし、昨日に比べて随分と綺麗になったし、何より手のつけどころがある。綺麗にしたくなる。気になるところがピンポイントだ。今日はちゃちゃっと終わらせることが出来た。
 実家の母は、普段から神経質なくらいに綺麗好き。普段から掃除を徹底しているので、昔から大掃除は特に必要ないという主義だった。なるほど。普段から綺麗にしていれば、新たに発生した汚れは直ぐに目立つし直ぐ落ちる。普段からあるべき標準状態を維持することに努力した方が、大きく標準状態からズレてしまってから矯正するより効率もよい。
 異常に気づく為には、平常を知らねば気づくことも出来ない。掃除だけで無く、建物の保守、健康管理、人間関係等あらゆることに当てはまる。何か起きてから大きな労力で元に戻すのでは無く、普段からコツコツの大切さを教えてくれた浴室のカビ達であった。

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