父母

 単身赴任中の自宅に、実家の両親からの宅急便が届いた。地元の農家さんが作った黒ニンニク、道の駅で買ったレトルトカレー、煎餅etc…他にはトイレ用のウエットティッシュ等、近くのドラッグストアでも普通に買えるものまで。私は、特に頼んでいないのだが、両親は50歳近くのオッさんになった息子に送ってくれる。まだまだ子供扱いである。
 私は小学生の頃、泳ぐことが苦手で、夏休みには小学校のメダカ教室という泳げない子供達の為の特訓コースに通うことを強いられていた。母が陰鬱な気分の私を、炎天下にもかかわらず期間中毎日自転車の荷台に乗せて、学校まで送ってくれたことを思い出す。
 父は、私が幼い頃は平日は帰る時間は遅く、日曜日も仕事である事が多かったが、休日に宝探しゲームをしてくれたのを思い出す。宝物はガチャガチャだったと記憶しているが、結構本格的で、宝物を探す為に手書きの地図を渡されて、歩いて10分くらいの公園の砂場に埋めてあった宝物を見つけた時の感動を今でも忘れない。
 裕福でも貧乏でもない平凡な家庭環境であり、両親も決して立派な人間では無いが、私は両親の愛情をたっぷりと受けて育ってきたと自覚しているし、中学校を卒業して親元を離れてからは特にそのことを強く感じる。また、それが自分の自己肯定感の大きな要因を占めるし、他者に優しく出来る自分があるとすればそのことが大きいと思う。
 そんな両親ももう70代半ば。まだまだ元気だが、年に数回会う度に老いていくのを感じる。お父さん、お母さん。

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