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映画「荒野に希望の灯をともす」

中村さんのことはほとんど知らなかった。
「叔母が応援してた人らしい」ぐらいの認識。
ポレポレ東中野で連日満員だったみたい。ウクライナetcのことを、チリチリと肌で意識してる人たちが、中村さんにヒントを求めに集まってきたのかなあ、と思いました。

「山が好きだから」とたまたま訪れた無医地区で、歩くたび自分を求めて人々が集まってきた・・・というところから、ずっとその地域の支援に尽力したお医者さんのドキュメンタリー。

現地にくらす人々のいのちやくらしと、自分自身および家族のいのちとを、いたってフラットに捉え、「困ってりゃたすける」を黙々とつづけた。
自分の能力でいくと、いつどこでなにをするのが最善なのか(救える人が多いのか ≒ 救えない人が少なくすむのか)、ということをきっと常々考えていたお方なんだろうと思うけど、だからっつってその決定に準じ続けるって、ぜんぜん簡単じゃないと思うな。鑑賞中すごすぎでしょ・・・と思いつづけました。

かといって、自身の立派さでだれかを威圧するようなところもなくって、そこもまあすごすぎて、ヒョエエと思っていたら、

監督さんが舞台挨拶で、「映画を見てくれた人に"聖人君子。じぶんとは別の生き物・・・"とはあまり思ってほしくないので」と前置きして紹介してたエピソードがみっつ。
ひとつ、中村さんのオンオフはかなりハッキリしていて、オフの時はただのおとっつぁんという感じ。
ふたつ、監督が中村さんへのお土産でカップラーメンを用意すると「今夜はごちそうですなあ」とニコニコよろこんでいた。
みっつ、クレヨンしんちゃんがすきで、現地の自分の部屋にも常備していた。

いや、さらにスゲえじゃん・・・と帰路につきました。
中村さんの行動、感じていること、考えていることはあんまうまく代弁できないので、映画みるか本よむかしてみてくれ(わたしは本まだ読んでないけど)というかんじです。

安直に敵をつくらず、弱い立場にある人のそばにただただ立ち続けるスーパー忍耐力は、一体どこからわいてくるのさ?とうちひしがれてました。だれかを「悪」とか「敵」って決めて生きるのって、とってもラクなことですよね・・・と身につまされましたね。だからっつってすぐにそこから脱却できる自信もまだぜんぜんないのだがね・・・そんなぐあいに、ピリピリしまくったいまの世界に、一石を投じる映画なんじゃないでしょーか。

正確には思い出せないけど、
「暴力よりも、"生きていこう"ということが、はるかにつよいパワーを持ってるってことを、自分は支持したいし、そうあるべきなのだろうと思う」というような言葉が印象に残りました。

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