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あそどっぐインタビュー2日目 その3 「あそどっぐの相方はモテた」

私は、あそさんを心底カッコいいと思った。
あそどっぐはどうやって今のあそどっぐになったのだろうか。
あそさんは会話の中で「相方」という言葉を口にすることがあった。
けれども、「相方についての話」を聞けたのはこの日が初めてだった。

あかほし(以下「ほし」): あそさんって音楽聴くんですか?
あそどっぐ(以下「あそ」): 音楽はねえ、最近は全然聞いてないね。若い頃は聴いてたかな。
ほし: 高校生?
あそ: うん、高校生の頃はよく聴いてた。
ほし: 何を聴いてたんですか?
あそ: 日本の、ジャパニーズポップ。ミスチルよく聴いてた。
ほし: へえ〜!あそさんの青春はミスチルと共にあったのか。そのあと、他のが好きになって・・・とかはなく?
あそ: わ〜、ないね。だんだんと聴かなくなってきたかなあ。高校の時はよく聴いてた。相方がね、バンドやってたんよ(注1:文末参照)。
ほし: あそうなんだ。
あそ: どっちかっていうと相方はバンドの方に力を入れてたんよね。その影響もあってね、音楽はよく聴いてたかな。
ほし: へえ〜、相方なんのポジション?
あそ: 相方ボーカル。
ほし: へえ〜!うまかった?
あそ: 歌もうまかったよ。
ほし: コントとボーカルか・・・声出すのが好きだったのかな。
あそ: 声出すのは好きやったね。あの〜、筋ジスだから、カゼとかひいたら安静にしとかなきゃいけないんだけど、無意識のうちにずーっと歌っちゃうクセがあって、「歌禁止令」が出るぐらい好きやったねえ。ず〜っと、歌ってた。
ほし: 「筋ジス」・・・?
あそ: そうそう筋ジスっていう障害。
ほし: なんだっけ、動けない・・・?
あそ: そう、だんだん動けなくなっていくやつ。僕のやつとあんま変わんないよね(注2)。
ほし: あ〜、そうなんだ。高校で出会った?
あそ: そう、高校の同級生。
ほし: 何年生から一緒だったんですか?
あそ: ぼくが1年生の3学期から転校したら、転校先に居た。
ほし: へえ〜転校したんだ。となりの席だった、とかですか?
あそ: あ〜もうね、クラスそいつしか居なかったんだわ。
ほし: あら。
あそ: うん、養護学校、今で言う特別支援学校って言って、ちっちゃ〜な学校だったのね。ぼくが来るまではそいつ1人で授業を受けてて。
ほし: あ〜そうなんだ。
あそ: うん、そうそうそうそう。
ほし: へえ〜、そら仲良くなるわあ。
あそ: そうねもう否応なしにね。
ほし: (笑)
あそ: 仲良くならんとしゃあない感じよ。
ほし: (笑) 明るい人だったの?
あそ: あ〜めっちゃ明るい人やったよ。人柄がよかったね。後輩も先輩も寄ってきてなんかいっつも輪の中心におるような、奴やったね。
ほし: へえ〜、そうなんだ。そうかそら彼女できるなあ(注3)。
あそ: うん、モテてた〜。
ほし: (笑)
あそ: モテる。うんホントね〜、そうなの、うん。そいつが輪の中心にいて、僕がその輪の端っこの方でナナメから見てるみたいな。そういうポジションやったね。
ほし: なんてこった(笑)
あそ: そんなポジション。
ほし: カッコよかったんですか?
あそ: ああ、カッコいいね。イケメンだねえ。うん、めっちゃイケメンやってん。
ほし: ぜんぜん勝てないじゃないですか(笑)
あそ: うん、もう勝てる要素なんもないんだわ。勉強も向こうの方ができたしね、うんもうなんもないんだわ勝てる要素。
ほし: 男心に複雑そうですね。こう・・・そいつのことは好きだけど、そいつが輝きすぎててなんかショボンとなるっていうか・・・。
あそ: もうね、なんも勝てる要素はなく。
ほし: (笑) でもあそさんと相方が仲いいの分かってて、進撃の巨人先輩が「お前らなんかやれ」って2人に言ったんですかね?
あそ: あ、うん。仲はよかったよ。いっつもね、遊んでたしね。
ほし: そっかあ、同い年だしなあ。
あそ: だからもう何するんも一緒やったね。
ほし: 土日とか遊びに行くんですか?
あそ: 土日はね・・・ちょっと待ってね。
(あそどっぐ取り込み中)
あそ: 向こうはね、学校のとなりに併設してる病院に入院してて、そっから毎日学校に通ってたんよね。で、僕は家から親が車で送り迎えして通ってて。学校まで車で30分くらいかかっちゃうから、土日遊びに行くっていうのはなかったね、ほとんど。
ほし: 学校で会うのがメインだったんですね。
あそ: 学校で会って放課後遊んで帰るみたいなかんじで、たま〜に土日外で会う機会があった。で、あと夏休みとか冬休みは家に行き来したりはしてたけど。うん。
ほし: その、相方がミスチル好きだったってこと・・・?
あそ: ミスチルは僕の方が好き。
ほし: あ、そうなんだ(笑)
あそ: そこは負けんわ(笑) 向こうはいろいろ聴いてたよ、洋楽とか聴いてたねけっこうね。
ほし: あ〜、じゃコピーバンドだったんですか?
あそ: え〜っとね、元々はビートルズのコピーやってて。
ほし: へえ〜。
あそ: オリジナルも何曲か持ってたよ。
ほし: お、そうなんだ。
あそ: うん、CDも出してた。
ほし: おお。相方がつくった曲?バンドがつくった曲?
あそ: え〜っとね、なんかね病院に看護師さんで音楽詳しい人が居て、その人がつくったやつ・・・に、たしか歌詞をメンバーの誰か書いたんじゃなかったかな。
ほし: 作曲は外注だったんですね。
あそ: で、楽器の指導とかも看護師さんがやってたみたい。
ほし: なんかすごくないですかその看護師さん(笑)
あそ: うん、すごいんだわ(笑)
ほし: じゃあケンカとかも特にせず?
あそ: ケンカはねえ、3年間で1回だけやったかなあ。あとはしてないねえ(注4)。
ほし: 水前寺公園は一緒に行ったことある(注5)?
あそ: あそこへは行ってないかな。まだ佐賀に住んでたから高校ん時は。佐賀から福岡の高校に通ってたんよね。だから熊本は二十歳超えてからだね。
ほし: あ〜そっかそっか。相方の彼女はあそさん知ってる人だったんですか?
あそ: え〜なんかね、けっこうコロコロ変わるんだよね。
ほし: え、彼女が?
あそ: 会ったことある人もいれば、会う前にいなくなる人もいれば・・・みたいな。
ほし: ええ?(笑) いいなあ〜!
あそ: うん、モテたからしょうがない。
ほし: なんともうらやましい。
あそ: (笑)
ほし: あそさんはモテなかったんですか?
あそ: うん、ぜんぜんやね。ビックリするぐらい。
ほし: (笑)
あそ: 全く。
ほし: そうなんや。
あそ: そうなんよ残念ながら。

注1:あそどっぐが高校で組んだお笑いコンビの相方。ツッコミ担当。
注2:身体の筋肉が壊れやすく、再生されにくいという症状をもつ、たくさんの疾患の総称。参照:「筋ジストロフィーってどんな病気ですか?
注3:あそどっぐ写真集『寝た集』のなかで、相方に彼女ができたエピソードが書かれている。
注4:この話は後日あらためて聞きました。
注5:熊本市内の定番観光スポット。あそどっぐとあかほしがデートした場所のひとつ。

次回、「あそどっぐの初恋

あそどっぐ
1978年佐賀県生まれ。熊本在住。お笑い芸人。
あかほしあまね
1991年東京都生まれ。『コバガジン』のライター。

前回の記事はこちら 「『寝た集』とコントについて

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