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施設内に侵入してきたクマに対して自衛隊は何ができる?

https://k.xpg.jp/s/?E=je753wj&PF=1&s=13

 
文学論から少し離れて少し余談を書いてみる。今朝ひょんな流れから「施設内に侵入してきたクマに対して自衛隊は何ができる?」こんなコラムを見つけて興味深く読んだ。


 つい三島由紀夫の市ヶ谷駐屯地突入を思い出してしまうのは私だけではなかろう。コラムの中で言われている自衛隊の武器使用権は条文を見る限り実に窮屈なものだ。

(自衛隊の武器等の防護のための武器の使用)
第九十五条 自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料(以下「武器等」という。)を職務上警護するに当たり、人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

 この条文を真面に受け止めるとするならば、仮に侵入したのが熊でなく、相手が人間だとしたら、威嚇は認められても射殺は出来ない理屈にはならないだろうか。

(正当防衛)
第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(緊急避難)
第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

 刑法第三十六条、第三十七条は正当防衛と緊急避難である。つまり真剣を振りかざす素人に対して木刀で応ずることはできても、ライフル銃で狙撃する権利は自衛隊にはない。真剣に対してライフル銃で狙撃すれば明らかに過剰防衛だからだ。

 三島由紀夫の問題提起に関わらず、自衛隊は自衛隊のままであり続ける。自衛隊は治安維持活動には参加できない。では熊の集団が渋谷のスクランブル交差点に現れたらどうなるか。渋谷警察のDJポリスが説教して済む話ではない。誘導棒も意味をなさない。

 オウム事件以来、各交番には特殊防護服が備え付けられるようになった。(これ、本当です。)しかし三島事件は忘れられ、ライフル銃は超芸術トマソン化しつつある。


まだ手付かずの問題でも、視点を変える発想で豊かさに変わっていくはず。
そしてあらゆる人が、当たり前に無限の可能性の中から自分の生きたいLIFEを実現できる社会へ。

 あらゆるLIFEを、FULLに。株式会社LIFULL のキャッチコピーである。

 あの時、三島由紀夫の額をライフル銃が打ち抜いていたら、まだ手付かずの自衛隊違憲問題が、視点を変える発想で豊かさに変わっていったのではなかろうか。そしてあらゆる人が、当たり前に無限の可能性の中から自分の生きたいLIFEを実現できる社会へ変わっていったのではなかろうか。

 今は三島由紀夫が最も恐れた灰色ののっぺりしたニホンがある。ニホンとは深沢七郎が『風流夢譚』で使った用語だ。『風流夢譚』では自衛隊と警察がドンパチやる。隣国の第二共和国の成立、サイルグヒョンミンの影響はあったかもしれないが、5・16軍事クーデターはまだ起きていない。

 そういえばクーデターってフランス語で、英語だとただ「coup」(クー)と表記されることが多いって知ってた? Du coupは「だから・つまり・では・じゃあ」の意味で、フランス人は多用するそうだ。そんなにしょっちゅうcoupが起きても困るけど。

 で、何の話だっけ?

 Where were we ?

 とりあえずいい天気だから散歩に行こう。









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