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芥川龍之介 大正六年七月十九日 俳句一句 蛇女 我鬼開眼か

 こんだの俳句は少しうまかつた最近の名句を一つかく

蛇女みごもる雨や合歓の花


[大正六年七月十九日 池崎忠孝宛]



 まさに。

 我鬼の開眼をみるようだ。

ごう‐かん【合歓】ガフクワン
①歓楽を共にすること。
②夫婦が同衾どうきんすること。 ③(→)ネムノキの別称。

広辞苑


蛇女結合歓喜ぬれもすれ

蛇女おもひかはして合歓の雨

蛇女あやすしずくか合歓の雨

蛇女みだりに流す合歓の雨


【追記】

 大正八年七月二十四日の池崎忠孝宛の手紙に、

拝復合歓の花位心得てゐない奴があるものか
僕は植物学なら君より遥かに大家だと云ふ自信があるんだ

 とある。

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