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芥川龍之介 詩二篇  


ゆゑしらずたゞにかなしくひとり小笛を
かはたれのうすらあかりにほうぼうと
銀の小笛を
しみじみとすかすにふけば
ほの靑きはたおり虫が
しくしくとすゝりなきするわが心
ゆゑしらずたゞにかなしく



われは織る
鳶色の絹
うすれゆくヴイオラのひゞき
うす黃なる Orange
われは織る われは織る
十月の、秋の、Lieder

[大正二年十月十七日 恒藤恭宛書簡]





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