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芥川龍之介の『三右衛門の罪』をどう読むか③ なんてややこしい名前なんだ

何てややこしい名前なんだ


 昨日は「文政(ぶんせい)四年」が変だよ、というお話をしました。

 解ったよーという人は手を挙げて下さい。

 はい、解ったよー。

 ここは解りましたかね。ここが解らないで「失敗作」なんて書いている人は駄目だということも解りますよね。

 それじゃあ、みんなここは大丈夫かな。「加賀(かが)の宰相(さいしょう)治修(はるなが)」これ、解る人?

 何が解るかって?

 私は普段三省堂の『全訳漢字海』という漢和辞典を使っています。角川の漢和辞典も持っていますが、大体『全訳漢字海』を使います。ちなみにネットでは、

 学研の漢和辞典を使っています。

 よく見てください。「修」と「脩」の関係ですが、これ別の字です。旧字体と新字体ではありません。学研の説明ではなんだかわかりませんが、三省堂では「修」のところに「脩」とほぼ混同されると書かれています。「脩」のところにも「修」とほぼ混同されると書いてあります。

 つまり「修」と「脩」は別の字なのです。

 しかしほぼ混同される字なのです。

 では前田治脩を前田治修とかいては、いけ?

 そう「いけない」んです。あくまでも混同ですから。

 よく女性に間違えられる男性が女風呂に入っては?

 いけ?

 いける?

 いやいや、駄目ですよ。いけませんいけません。

 そもそも「修」にどんな意味があります? 整え正す、欠点や誤りを直すという意味があります。そうすると、「加賀(かが)の宰相(さいしょう)治修(はるなが)」は正しくは「加賀(かが)の宰相(さいしょう)治脩(はるなが)」ですよね。

 殿様の名前を間違ってはいけ?

 いけない、です。

 酒鬼薔薇君なら野菜を殺してしまいますよ。

 前田治脩が『三右衛門の罪』を読んだら芥川龍之介を射殺しますよ。

 ところでこの「ほぼ混同される」という関係性が面白くないですか。これに近い関係の字は少なくないんですが、この「ほぼ混同される」というような諦めきったような感じというのは珍しいのではないかと思います。

 このことも知ってたよという人はいますか?

 知らなかったよという人は?

 そういう人はちゃんと私の本を買ってお勉強しましょう。

 買うよ、という人?

 買わないよという人?

 いいんです。買わなくても。知ったかぶりしたままあの世に行ってください。

  え?「文政(ぶんせい)四年」も「加賀(かが)の宰相(さいしょう)治修(はるなが)」もイージーミス?

 何言ってんすか。『煙管』って前田家の話でしたよね。『お糸覚え書』にも前田利家の娘が出てきますよ。

 これ「前田家もの」と括ってもいいんじゃない。


[余談]


これロボアドバイザー。

凄くない?

どことは言わないけど。


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