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BCリーグ合同トライアウト見学レポート

この原稿は「独立リーグ応援し隊2023」に掲載されるはずでした。しかし手違いで未掲載となったためnoteでの公開となりました。(笑)

今回は2022年11月3日(祝)に行われた「BCリーグ合同トライアウト(東京会場)」をレポートをします。

はじめに

独立リーガーになる道のひとつはドラフト指名です。ドラフト指名といえばNPBドラフト会議を思い浮かべる方が多いと思いますが、独立リーグはそれと少し異なります。

NPBは球団スカウトが様々な情報を収集し、獲得したい選手をドラフト会議で指名します。そして指名されなければNPBの選手にはなれません。NPBドラフトは12球団で最大120名(独立リーグ出身等一部を除く)ですからかなりの狭き門と言えます。

一方で独立リーグはNPBのようにスカウトを全国に派遣して選手を見ることができないので、限られた情報とドラフト会議前に実施するトライアウトなどで入団選手を決めます。そのため今回のトライアウトが大事なのです。

トライアウトからドラフトまで(BCリーグの場合)

BCリーグでは前述のとおりドラフト会議の前にトライアウトが行われるため、そのトライアウト受験の条件として高校生、大学生はプロ志望届を所属する連盟に提出する必要があります。(準硬式や軟式の野球部所属や退部した選手は除きます)これはNPBも同様ですが、NPBドラフトが近づくとそれぞれの連盟ホームページにプロ志望届提出者が掲載されます。この中の「NPBドラフト対象外」に掲載されている選手はほぼ独立リーグ志望なので独立リーグマニアとしては興味深いです。もちろん「NPBドラフト対象」でもトライアウト受験は可能ですし、上記を除く社会人やクラブチーム選手の他、自由契約となった独立リーガーもトライアウト受験は可能です。

トライアウトを前に準備する選手たち

そしてトライアウトの結果を踏まえてドラフト指名されますが、BCリーグではこんなルールがあります。

【優先指名】

ドラフトの際、出身地、帰省先、野球歴などが地元出身と判断される選手はその地元球団に優先指名権を有しています。地元密着を掲げるBCリーグらしいルールです。

【特別合格】

トライアウト受験を希望する選手はリーグへエントリーフォームを提出します。その際、入団希望球団を記載できるのですが、その球団が指名することを決めた場合、特別枠指名となり、トライアウト受験を免除されます。見方としては逆指名っぽいのですが、各チームに専属のスカウトがいるわけではないので、これもしょうがないことです。

よってトライアウト受験がドラフト指名の必須条件ではなく、トライアウトに合格しても指名が約束されるわけでもない、選手にとってかなり厳しい内容ではあります。トライアウトを共催する日本プロスポーツ専門学校がトライアウト終了後に学校説明する理由も頷けます。

BCリーグトライアウト見学

BCリーグ合同トライアウト、2022年度は3回(東京・長野・大阪)で開催され、唯一一般公開された東京会場を見学してきました。

2022年11月3日(祝)明治安田生命グリーンランド野球場(八王子市)

東京会場受験者数の公式発表は無かったのですが、見た感じ120名くらいでした。

8:30から選手受付のあと、9:00から一般見学者受付となりましたが、選手の関係者もいた午前中には90人ほどの一般見学者が訪れていました。

ただスタンドは選手荷物置き場となっており、見学はその後ろのグラウンドから離れた通路、フェンス越しとなったため7時間の立ち見となりました。次回もこの球場なら折りたたみ椅子持参をオススメします。

快晴のグラウンド

【50m走・60m送球(全選手)】

50m走はライト外野芝生で行われたのでよく分からなかったのですが、ホームベース後ろからセカンドへ向けて投げた60m送球では力差がはっきりしていました。伸びのある送球で、手離れしてから先でキャッチするまでのタイムで2秒を切らないと難しいです。

以下は私が60m送球で注目した野手4選手、投手2選手です。

受験番号 選手名 所属 トライアウト結果

T-402 新野 諒弥選手(八潮南高)2次合格
T-408 内藤 真選手(平成国際大)2次不合格
T-603 増子 侑也選手(富山SB)2次不合格
T-710 山本 力哉選手(我孫子東高)2次合格
T-115 選手名不明 
T-157 DJ亜希羅選手(東京Mets)2次合格

*受験者名は非公表のためプロ志望届名簿、ユニフォームや帽子から選手を確認しました(T-115の選手は不明)。受験番号3桁のひとつめの数字がポジション。

60m送球のようす

50m走、60m送球のあと、1次合格が発表され、野手、投手とも30名ほどが合格となり、2次テストはそれぞれにメニューが別れて実施されました。

【守備テスト(野手)】

守備テストのようす

【捕球テスト(捕手)】

ブルペンで投手の投球テストを受けていましたが、ブルペンが遠く残念ながらほとんど見えませんでした。NPBでも捕手のニーズは高いので、もう少し挑戦するパイを広げてほしいと感じました。

【打撃テスト(野手)】

2つのゲージで右投げの打撃投手から10ストライク打ちます。時間の制限もあるのでしょうが、右投手だけでなく左投手での対応も見てみたいです。

またこの打撃テストでサプライズがありました。茨城アストロプラネッツのマツケンこと松坂元監督からのリクエストでT-124の外国人選手(NEBRASKA BCのユニフォーム着用)の打撃テストが行われ、力強いスイングで鋭い打球を放っていました。さすが茨城、見所が違います。

【投球テスト(投手)】

各選手に2分間与えられ、球種申告後に投球します。投手の後ろで福島若松コーチの目も光ります。

投球テストのようす

以上2次テストのあと結果が発表され、野手10名、投手11名が合格となりました。

野手2次テスト結果発表

【実戦テスト】

最後に2次合格した選手が一堂に揃い、シート打撃が行われました。

実戦テストのようす

【見学しての感想】

初めてのトライアウト見学でしたが、選手がひたむきに挑戦する姿は輝いていましたし、必死さを感じました。また残念ながら合格に至らなかった選手の中にも光るものが見られました。そんな選手には各球団関係者が話をする姿も見られましたので、練習生での契約もあるのでしょうか。是非機会を与えてもらって、チャンスを掴み取ってほしいものです。

BCリーグ2022ドラフト会議

東京会場のトライアウト後、長野、大阪でもトライアウトが実施され、11月17日(木)にBCリーグドラフト会議が非公開で行われ、東京会場受験者からは投手2名、捕手1名、内野手1名の合計4名が指名されました。

このうちで前述の私が注目した選手の指名もありました。

【神奈川地元枠指名】

T-408内藤 真選手(平成国際大)

内藤選手は60m送球でも目立っていた肩と守備は良かったので、結果を出せなかった打撃を来シーズン注目して見てみたいと思います。トライアウト当日、私が見学していた場所の横にいらっしゃった内藤選手関係者の皆さんもお喜びではないでしょうか。活躍を期待しています。

結局今回3会場で行われたBCリーグのトライアウトでは400名超の選手が挑戦し、ドラフト指名はたった7名という厳しい現実を目の当たりすることとなりました。これを見ると独立リーガーとなる選手には悔いを残さないように頑張って欲しいですし、報われてほしいと思います。

その後行われた日本海オセアンリーグのドラフトで私の注目していた選手の一人、T-402新野 諒弥選手が新加盟球団の千葉に指名されました。

T-402 新野 諒弥選手(八潮南高)

新野選手は高校では投手でしたが、今回内野手で受験していました。打者としても勝負強さが評価されていますので、伸びしろ十分かと思います。

さらに原稿締め切り直前に私が注目した選手から、T-157 ディロルフ ジョセフ 亜希羅選手が茨城と練習生契約されました。

T-157 DJ亜希羅選手(東京Mets)

ディロルフ選手は私の出身である長野の上田西高校出身ですし、ニューヨーク育ちという生い立ちも含め注目してみたいと思います。

また本日一番の注目株だったT-710 山本 力哉選手も埼玉ヒートベアーズと練習生契約を結びました。

T-710 山本 力哉選手(我孫子東高)

さいごに

先日NOLから福井ネクサスエレファンツの解散と千葉の加盟が発表されました。ますます独立リーグは混沌とし、今後どのような方向に進むのか予想もつきません。

ただ一人でも多くの選手が高校や大学を卒業しても野球を続ける場として、また夢を追い続ける選手のアピールの場として盛り上がって欲しいし、そんな選手たちをこれからも応援していきたいと思います。