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手話奉仕員養成講座入門課程 体験記

「手話奉仕員養成講座入門課程」の体験記になります。

講座内容や雰囲気を始め、講座を通して自分が感じた事をまとめてみました。(約35,000文字以上)

素人による拙い文章ですし、聾文化や手話に対する知見もまだまだ乏しい為、誤った認識をしている可能性も御座います。

しかし約1年間の時間を費やし、情熱を持って通い続けた講座になりますので、それなりに内容をお伝え出来るのではと思います。

これから手話学習を始められる方や、手話奉仕員養成講座に通おうと思われている方の参考になれば幸いです。

販売収益の用途は「ボランティア活動費」や「社会福祉系のクラウドファンディングへの寄付」を考えております。

手話奉仕員について

普段から手話に触れていない方にとっては、どんな存在か分かりにくいかと思います。

手話奉仕員は市町村が実施する養成講座を受講する事で、取得出来る資格。

実態としては下記のような形式で運営されているので、公的資格に分類出来ると思います。

市町村:委託者
各自治体の聴覚障害者協会:受託者

養成講座は入門課程と基礎課程に分かれており、基礎課程を修了すると市町村に手話奉仕員として登録され、ボランティア活動の際にはお声掛けを頂けるようになります。

講座の受講対象は手話の初心者である為、内容も簡単な手話語彙や手話表現技術の習得を中心としており、手話でコミュニケーションする楽しさに重きを置いています。

手話技能だけでは無く、座学による講義で聴覚障害のある方の歴史や文化を学び、理解を深めていく事も出来ます。

奉仕員という名称の通り、あくまでボランティア活動を中心とした存在になりますので、業務として手話通訳の担い手になる事は出来ません。

通訳は手話通訳者や手話通訳士の有資格者に許された行為だからです。

しかし、奉仕員として活躍出来る場は沢山あると思っています。

電車に乗っていたら急停車。

聴者の人々は放送を聞いて納得しているけど、聾者の方は何が起こっているのか分からない状況。

そんな時、一言手話で停車理由をお伝えする事で、状況把握に協力出来る。

被災地でのボランティア活動。

支援物資の配給が行われているが、アナウンスは拡声器。

聾者の方は何が配られているか分からないまま長蛇の列に並ぶ。

しかし、手渡された物は不要品だった。

アナウンス内容を一言手話でお伝えする事で、必要な物を手に入れる事が出来る。

このように、通訳業務では無くとも情報保障に協力出来る事はあります。

手話奉仕員の魅力として知って頂ければ幸いです。

講座申し込み方法

毎年4月頃に各区・市役所支援課、社会福祉協議会事務所、聴覚障害者協会等で申し込み用紙の配布が開始。

各自治体のホームページや市報等でも、実施概要の確認が可能である。

ホームページからダウンロードファイルにて募集案内を入手する方法もある。

募集案内にはいくつかコースが設けられているので、自分が通いやすい曜日と時間を考えて申し込みをする。

応募方法は必要書類を揃えて、聴覚障害者協会事務局へ持参するか、郵送する形式が多い。

気になる費用面については、テキスト代3,300円と名札等の必要な物品のみとなっているので、4,000円を用意しておけば、ほぼ問題無し。

学習コストが非常に低い事も魅力的な手話講座。
興味のある皆さま、是非挑戦を!

第1・第2講座「伝え合ってみましょう①」

①初回手続き&オリエンテーション
事前案内に記載されていた費用3,400円を受付時にお支払い。

内訳は手話奉仕員養成テキスト『手話を学ぼう 手話では無そう』が3,300円、講義中に身に付ける名札が100円。

https://jfd.shop-pro.jp/?pid=69297787


名札の裏面には体調不良等の万が一の事態に備えて、緊急連絡先を記載するルール。

その為、毎回受講中は身に付けていなければならない。

(過去、実際に倒れられた受講者もいたようなので…記載漏れの無いようにと、かなり念押しされた)

領収書も全員に発行されるので、私のように会社で立替清算が可能な方は失くさないよう注意!

2021年コロナ禍での開催という事もあり、透明のフェイスマスクも無料で配布。

手話は手の動きだけでは無く、口の動きや表情も重要。

その為、講義中は通常使用する不織布マスクでも可だが、フェイスマスクを着用した方がスムーズな意思疎通をが図れるので望ましいと思われる。

私は毎回フェイスマスクを使用していたが、他の受講者はあまり使用してなかった。コロナ対策との兼ね合いが難しいところである。

希望すればフェイスガードも無料で配布頂けるとの事なので、不安な方はフェイスマスクと併用するのも良し。

(私が把握している限り、誰も希望している様子は無かったが…)

その後は当番制による会場設営のルールや、講座の進め方に関する説明へ。

講師陣を始め、受講者も一緒になって講義を作り上げていく方式である。事前準備や片付けも受講者が中心となって対応していく。

②演習
受講者は班(グループ)に分けられており、A~Dまでの4班構成。1班は約6名程度。講師は男性の聾者の方で、とても和やかで印象の良い方。

手話通訳者でもあるアシスタントの方と一緒に講義を進めていく。

手話も言語であるという認識の元、基本的に講義には手話通訳は入らない。

見て真似て学習していくスタイルであり、重要な連絡事項に関してのみ、アシスタントによる通訳のフォローが入る。

とは言うものの、いきなり初回からバリバリに手話を駆使した講義が進んでいくわけではない。

空中に文字を書いて伝える空書(そらがき)や、ジェスチャーによる伝言ゲームを通して、とにかく表現して相手方に伝達する事を実践した。

「食べる」等、聴者の間でも普段から使う事が多い仕草はあるが、全て行動をジェスチャーで表現する経験は無かった。

受講者全員、音声言語に頼らない意思伝達の大変さが分かったと思う。

③まとめ
聴者である私は普段から口話でコミュニケーションをし、補足的にジェスチャーを加えたりもする。

その慣れている環境から一変すると、些細な事を伝えるだけでも非常に難しさを感じた。

また、手話学習においても英語同様に正しい表現を真似る事の重要性をアシスタントの方が説いていた。手話も「言葉」である事を強く認識。

講師の手話や表情、動作を含めた動きを見て、完全に真似ていくので、手の動きが左右逆だったり、少しでも異なる動作があれば指摘が入る。

細かな部分までチェックする事が大切である。

それにしても講師のジェスチャーや表情による表現力は非常に高いと感じた。掃除機、パソコン等の物の表現が非常に細かく、他の物を想像させる余地が入らない位的確。

聾者と意思疎通を図るのは手話に限らず、今までの生活で身に着けてきた手法も十分に使えるという事も学べた。

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