正しいテディベア
サンタクロースにテディベアをお願いしたことがある。
私の理想のテディベアは、茶色で短めの毛、抱っこできる程よい大きさのコ。
サンタさんのところには、茶色の絵の具がなかったそうで、白いクマがやってきた。
それはそれで可愛がったけど、少し残念な気持ちもあった。
それから理想のテディベアにはなかなか出会えなかった。
憧れを募らせるあまりに、熊グッズばかり周りに増えていった。
小さなクマのぬいぐるみ、クマのカバン、クマの栞。
なのに、私のテディベアには出会えない。
ほとんど大人になってから、ディズニーにダッフィーというものが誕生した。
もう理想どんぴしゃりで、その子こそ、私の理想のクマだった。ずっと探していた、私の正しいテディベア。
地方からやっとこさディズニーに行った私は、喜びいさんで
「ダッフィーはどこで売ってるんですか?」
と聞いた。
キャストのお兄さんはちょっと申し訳なさそうに、子どもに言うように優しく、
「ダッフィーはシーにしかいないんですよ」
と教えてくれた。私が入ったランドにダッフィーはいなかったのだ。なんてこと。
そんながっかりもありながら、やっとやっとダッフィーを手に入れた。
可愛すぎて服を着せるのもおしかった。
茶色で程よいふわふわで、いい大きさ。
いい年して一緒に寝たりもした。
本当に理想のテディベア。
お嫁入りして実家を出るとき、母がさみしくないようにそのダッフィーをあげた。
母はダッフィーをかなり気に入ってたから、いままでのプレゼントで一番喜んでいた。
そして私の新しい、夫との家。
ここには夫のダッフィーがいるし、私の小さいキーホルダーのダッフィーもいる。
だけどやっぱり、私の理想のテディベアだった、あのダッフィーが一番可愛い気がする。
うちの子が一番可愛いってやつ。
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