「劇画ロードショーの舞台裏」聞き書き・その2

■劇画家 沢本英二郎先生への電話インタビュー■

先日、麻雀漫画の研究で知られるV林田さんのご厚意で劇画作家として活躍し麻雀をテーマにした作品でも知られる沢本英二郎先生とお話しする機会に恵まれました。

短時間ながら劇画ロードショーの制作背景についてお聞きできたので簡単にまとめました。基になったインタビューは、このご時世もあって電話での会話となり以下の文面も録音など出来なかったのでメモへの聞き書きを下敷きにしています。

■質問01■月刊プレイコミックでの執筆の経緯は?

当時、秋田書店の雑誌「トップコミック」ですでに仕事をしており、その関係で付き合いのあった編集から声をかけられました。

■質問02■劇画ロードショーの制作作業を簡単に説明して下さい。

編集から声がかかると、先ず締めきりとページ数を知らされ、銀座や有楽町にあった試写室へ呼ばれます。試写を観た後は打ち合わせなど何も無く、そのままネームなどの自分の作業に入ります。月刊誌ペースの仕事だったので、基本自分ひとり。2週間から3週間くらいで仕上げました。背景もメカも基本は自分で。特に手の込んだ大都会の背景なんかは近所に住んでいた漫画家の後輩に手伝ってもらったこともありました。とにかく締めきり。これを守ることが大事でした。

■質問03■作画の参考になるような資料の提供はありましたか?

試写会に行くといつも白黒写真(ロビーカード)を沢山くれました。パンフレットやプレスシートの類もありました。毎回もらうのでいつの間にか溜まってしまい処分に難儀したことを思い出します。返却を求められたことはありませんでした。

■質問04■原稿は返却されましたか?

プレイコミックに描いたぶんは全部帰ってきましたが、もう手元にありません。残らず処分してしまいましたから。月刊ロードショーの原稿は返却されていません。

■質問05■月刊ロードショーの「カサンドラ・クロス」「キングコング」では?

作業の流れはほぼ同じです。プレイコミックとの違いは映画専門誌であるので意識的に役者の顔を似せるように努力しました。リチャード・ハリスとか(笑)。特にそうするように求められたわけではありませんが。

■質問06■当方の調べた範囲ではプレコミに7作品。ロードショーに2作品あります。他に当方の調査不足で取り上げられていない映画のコミカライズ作品はありますか?

ありません。それで全部です。

■質問07■もともと映画が好きだったのですか?

好きでした。若い頃は週末のオールナイト上映を観るために吉祥寺の映画館まで通いました。アクション系が好きで一番好きなのは「ダイハード」の1と2です。それ以後のシリーズはイマイチですね。

■質問08■現在のお仕事についてお話し下さい。

似顔絵を描く仕事をしています。記念や御祝いに用いる似顔絵を希望される方のために。今は体調もあって自宅療養中ですが、国分寺にある会社まで通っています。PHOTOSHOPを使いこなしていますよ。視力が低下したこともあるので細かい劇画調の絵は描きません。今の似顔絵の仕事は沢山の人に喜んでもらえるのでやりがいがあります。まだまだ頑張りますよ。

文中にあった似顔絵オーダーページは下記のリンクを御覧になって下さい。

似顔絵ジャパンードレシャン
https://drecham.com


インタビューを終わって

前回の大塚公平氏のときと同じように、当方が不慣れなため沢本先生には苦労をおかけしてしまいました。ですが沢本先生は突然の要望にも快く応えて下さいました。療養中と聞いていたので不安はありましたが大変元気な声で、当時の出来事も仕事に使っていた手帳を取り出して確認されたそうです。現在の仕事も楽しんでいらっしゃる様子。描く絵は時代と共に変わりましたが沢本英二郎という作家は健在です。

末永く健康で描き続けられることを影ながら応援させていただきます。

編集長729号

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