「羨ましさ」と「虚しさ」

20歳で結婚し、マイホームも買った女性に出会った。

田舎に住む、普通の女性。でもなんだか、彼女と私は明らかに違う世界線で生きている気がして、羨ましくもあり、虚しくもなった。


彼女は、言いたいことはズバッと言える人。そして、現実主義者だった。生活のこと、お金のこと、すべてを合理的に考えるような人だと思った。

巷でよく言われるのは、「田舎に住む女性は早くに結婚し、早くに子どもも産むのが幸せだ」という話。正直、もうこのような考え方をしている人は少ないだろうと思っていたけど、実際には根強く残っているようだった。

現に彼女は、心からこの価値観を信じているようにみえた。当たり前かのごとく「将来子どものことを考えたら……」と口にしていたからだ。両親なども、それを嬉しいと思っているようだった。


彼女の話を聞いて、私はなんだか自分のやってきたことに少し自信がなくなってしまった。

自分のやりたいことを信じて、前に進み、ああでもないこうでもないと模索し、今も夢を見ながら歩んでいる。夢を描けて、しかも口に出せる今の環境はものすごく尊いと思う。


とはいえ若くして結婚して、子どものことまで考えている現実主義な彼女が、羨ましいと思った自分も正直いた。なんというか、確かなものを掴んでいる気がしたのだ。実際、結婚したからといって、確かなものはないと思うけれど。

と同時に、いわゆる「田舎の一般論」的な考え方を当たり前だと思って受け入れている人がいることの事実に、虚しくもなった。もっと世界は広いのにな、と思っているのは単なる私の価値観の押し付けでしかない。もちろん私の価値観は言わなかったものの、つい口から出そうになるくらいだった。


「羨ましさ」と「虚しさ」。
矛盾しているように見えるふたつの感情は、きっとこれからも付き纏うと思う。

私はどうしたいんだろうな。何がいいと思って生きていくんだろうな。

一生考え続けると思うけど、ひとつ言えるのは、自分の道は自分の手で正解にしたいという気持ちが強いという事実だけだ。



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