パドックS級 ≠ 能力S級
パドックでS級に輝いて見える馬が、たまにいる。
でも、それが競走能力もS級とは限らないのがパドックの面白いところ。
そして、
そんな、パドックで抜群に見映えする "見た目S級" の馬が、(実は下位争いレベルなのに)競走能力もS級と思い込んで勝負しちゃうのがパドック買いの難しいところでもある。
パドックは勘違いのオンパレードだ!
下位争いレベルの馬を「能力S級」と勘違いして買っちゃうことはパドック買いでは、普通に起きる。
ここで再度、パドックをメインファクターに競馬をやってる人と再確認しておきたいことは、
パドックのデキがいい=かけっこが速い、馬券になりやすい。
で
は
な
い
ってことだ。
そもそも。
競馬ってのはやはり、
足が速いヤツが、なんだかんだ有利。
皐月賞で躓いて出遅れたディープインパクトが終わってみれば圧勝してしまったように、
速いやつは、強い。
ディープの皐月の例は極端なケースだけど、
競走能力が高いほど馬券に比較的絡みやすいってのは、
想像に難くないだろうし、
たびたび僕が引用する格言も、それを後押ししてくれてる。
って格言だ。
馬の調子よりも、
レースの展開よりも、
馬の格(つまり能力)なんだと。
競馬はなによりも、格(能力)が大事なんだと。
調子や展開は二の次、三の次で、格(能力)が1番重要なんだってメッセージが、
件の格言には込められていているわけです。
じゃあ、
パドックを見て、
格(能力)を見抜くことは
可能なのでしょうか?
→そんなの、ほぼムリ。
たしかに、目の肥えた達人レベル、天才、変態であれば、競走能力ですらパドックから見抜くことができるかもしれません。
でも、これを読んでる方、あるいは書いてる僕KO自身は、基本、シロウトです。天才でも変態でもなければ、達人でもないです。
凡人です。
僕らは凡人なので、パドックをみても、馬の競走能力ってのは見抜けてないって思っとくくらいの謙虚な姿勢でいるのが丁度いいと思います。パドックはそんなに甘くないのですから。
で。
パドックの凡人がやりがちな思考パターンは繰り返しになりますが、
と、"能力が見抜けた" ように感じてしまうところです。
でも、見抜いたつもりになってるだけなんです。
実際、見抜いたつもりになってるのは、あくまで、「調子」のみ。
格(能力)・調子・展開のうちの、「調子」のみは、パドックで確認できる部分だと思います。
なので、パドックでS級の輝きを放っていると感じたその馬は、あくまで調子がS級にいいと評価してるにすぎない。そう思っておくくらいで丁度いいんじゃないでしょうか。
パドックの見栄えが良けりゃ、能力が高い!なんてことはないんです。
しかし。
つい、S級の輝きを放って見える馬が、下位争いレベル(3着以内どころか掲示板も難しいレベル)の能力だったとしても
と、ついやってしまうのが、パドック派なのです。
(トホホ。なんどやらかしたことか)
(そしてこれからも俺はやらかし続けることだろうw)
なので、
いったん、冷静になって、
能力(格)というものについて、
もうちょい掘り下げてみます。
馬の能力(格)について
たとえば、
中央競馬における平地競走の能力わけ(格付け)は以下のようになっています。
こんな感じです。
このように、馬の能力別にクラス分けされているのはご存じかと思います。
東西トレセンにいるJRA所属馬、足が速かったり遅かったりする馬たち、ごちゃごちゃしているお馬さんを能力別に整理して、もはや誰が見てもわかるよう、すでにJRAによって可視化されてるのが、クラス分けってもんですよね。
でも、いっぽうで、明確に可視化されてないのもあります。
個々のレース毎で競い合う馬の能力については可視化されていません。
クラスは可視化されてても
能力は可視化されてません。
当たり前の話しですが、「3勝クラス」とか「2勝クラス」とかクラス分けされて行われる各レース毎の16頭とか18頭の競走馬のなかにも能力(格)ってのはあって。それら個々の馬の能力(格)ってのはレース結果に多大な影響を与えてるものでもあります。
競馬は、なにより格です。能力です。
しかしパドック派の盲点になってしまいがちなのが "コレ" でもあるわけです。いっけん、僕たちパドック派は無意識的に馬を見て能力を見抜いてるつもりかもしれません。でも、実際には見抜けてないのが実情かなと思います。繰り返しになりますが、パドックで感じ取ってるのは、あくまで調子のみ。能力は "見抜いたつもり" になってるものです。
パドック派は
能力を見抜けてる訳じゃない!
例えば、
2023年のジャパンカップにおける
イクイノックスのような横綱がいれば
リバティアイランドのような大関がいて
タイトルホルダーやスターズオンアースのような関脇みたいなのがいたように
3勝クラスの個々のレースのなかにも
横綱、大関、関脇、それ以下
2勝クラスの個々のレースのなかにも
横綱、大関、関脇、それ以下
1勝クラス、未勝利、新馬の個々のレースにも・・・
こんな感じで1日に24あるいは36あるレースのなかには、それぞれ横綱•大関•関脇•それ以下の馬が存在していたり、あるいは横綱•大関不在の関脇以下だらけなレースもあったりするんですが、
じゃあ新聞やnetkeiba.comの馬柱を一切みずに、オッズも見ずに、パドックだけを見て、ハッキリと「コレは横綱」、「アレは大関」と見極めることはできますか?と言われれば、まぁ難しいじゃないですか。ホントに一部の例外的なのを除けば。
「ここは1頭だけ抜けて見えるのがいないから横綱不在!」とは感じるパドックはあるでしょうけど、そのなかで馬だけを見て能力の序列を導き出すことは、かなり困難であることは確かですよね。
僕らは決してパドックで馬の能力を見抜けてるわけじゃないんです。
なので、横綱の存在を無視して、到底、横綱と勝負にならない馬を1着固定の本命にしちゃう、そんでもって凡走してカネを溶かすってことも、しばしばやっちゃったりもします。
悪気なくやっちゃったりします。
困ったもんです。
なぜ、これ、やっちゃうのか?
なぜ、弱い馬を横綱と勘違いしちゃうのか?
これはそもそもの話、
横綱が横綱らしい見た目をしてないからなんですよね。
そのレースの中での競走能力は横綱レベルにあっても
外見でバリバリの横綱的な雰囲気を纏ってるとは限らない。
ウサインボルトみたいな規格外な体をしてたら分かりやすいけど、決してそんなことない。
あのディープインパクトですら、見た目は普通でしたから。
ディープって異次元の走りをする割には規格外の馬体していたわけじゃないんですよね。小柄でしたし。
シロウトが肉眼で感じられる範囲では、
いたって普通の見た目。
ディープレベルの怪物が普通の外見なんですから、普段みてるレースのパドックに出てくるような能力上位の馬(つまり横綱的な馬)でも、パドックの見た目は、まぁ、普通なんですよ。
例えばフライトラインっていうアメリカのヤベェやつがいました。イクイノックスよりもヤベェやつ。走ったら突然変異レベルのバケモノ。ドバイの勝ち馬に19馬身差つけちゃう怪物of怪物。でも言ってしまえば外見は普通の馬です。見た目デカい馬ですけど、ウサイン・ボルトみたいな突然変異感を馬体からは醸してるわけではない。いや、パドック名人が見たらボルト感に気づけるのかもしれないけど。素人の僕はちょっとデカいだけの普通の馬に見えてしまう。でも、走ったらキチ◯イ級にヤベェやつ。それがフライトラインなわけです。
イクイノックスも、さっきのボルトの写真に見るような規格外なヤバさは外見からは醸してないじゃないですか。「コレがイクイノックスだ」って色眼鏡をかければバケモノ臭は確かに感じるんですよ。でも、かといって、ボルトと他の選手に見られるような圧倒的な見た目の差があるか?と言われりゃ、僕は「うーん。どうだろ」ってなる。しかし走ってみたらボルトみてーなヤバさ。突然変異レベル。というかディープを超えた日本歴代最強レベル。
つまり、サラブレッドって、いくら競争能力が突出していても、見た目はそこまで突出してこない普通の馬であることが一般的。
ということは、普段、目にするパドックにボルトみたいな規格外の見た目をしたバケモノが登場することはありません。
パッと見で横綱がわかるなんてパドックは、そうそうないってことです。
パッと見で能力がわかるパドックなんてのは、ほぼないってことです。
仮にあっても、単勝1.3倍とかだったりして、馬券的には面白く無いレースだったりします。1日に1レースくらいはそんなパドックがあるかもしれません。でも、例外的に横綱を見抜けるそんな稀なパドック以外は、
馬の見た目は、だいたい一緒なんです。
速い馬も、遅い馬も、
見た目に大きな差はない。
でも、
そこが、パドックの難しいところ。
だからこそ、
弱い馬を横綱と勘違いしちゃって勝負に失敗してカネを溶かすなんてことは日常茶飯事に起きちゃうんです。
いったんここまでをまとめると
パドックではS級に見える馬がいるが、それが必ずしも競走能力がS級であるとは限らない。これはパドック派が陥りやすい誤解であり、パドックの見栄えが良いと競走能力が高いと思い込むことがある。しかし、実際にパドックで見抜けるのは「調子」だけであり、「能力(格)」は見抜けない。競馬において最も重要なのは「格(能力)」であるが、パドックの見栄えに惑わされて、能力が足りない馬を横綱と勘違いしてしまうのことは、当たり前のように起きる。それを悪気なくやらかすのがパドック派という生き物だという自覚を持ったうえで、冷静かつ、ときに大胆な判断をくだしていきたいものだ。
(次回につづく)↓↓
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