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Model3 試乗して考えた人類の未来(大袈裟)

私がテスラのことを初めて意識したしたのは、2013年にTEDのイーロンマスクとクリスアンダーソンの対談を聞いてからです。この前の年、初の量産型モデル、Model Sを出荷し始めて自動車メーカーとして存続するのか?と思わせ始めたころ。この中で、彼は、様々なヤバい事を言っていますが、私がとくにスゲーな、と思ったのは下記の部分。

全ては太陽の営みから来ているのだから、すべてが太陽駆動になるべきである、と。

要するに、人類の営みはつまるところ太陽で駆動されているのだから、化石燃料を使い続ける事は出来ない、と。テスラの企業としてのミッションは、「世界の持続可能なエネルギーへの転換の加速」です。そのための手段としての電気自動車だったり、電池パネルだったり、蓄電設備だったり。

私は半分ITの分野で仕事をして来ましたので、肌感覚で分かるのですが、この分野のイノベーションって、エンジニアからのインサイドアウト(出来る事で世界を変えたい)系が結構あるんですよ。

シリコンバレー博物館所蔵のApple 1 (1976年)

Appleだって、最初の木箱入りのパーソナルコンピュータは、ウォズニアックの作りたいものでした(これをジョブスが売りまくった)。

同、NeXT Cube(1990年 私大学で使ってました。MOが遅くて)

でも、ジョブスは、NeXTとPIXERという偉大な実験・思索を通して、アウトサイドインな発想で物事を創り出していくことが出来るようになります。この、今の社会の仕組みを斜に見て、新たなルールを創り出して、膨大な人々が様々な立場で参加するプラットフォームを創り、結果として国家レベルの利益を生み出す感覚が、今のアメリカを支えています(いろいろな意味で)。

テスラも、人々が生活するエネルギー源を、太陽エネルギーを蓄積した化石燃料から、太陽エネルギーの直接消費に転換させる。地球温暖化の議論とか全然関係ないし、別に電気自動車作りたいわけでもない。そういう意味で、車が好きな(車が好きであることで生き残ろうとする)自動車業界から見たら恐怖だろうし、EVで一旗揚げようとしている他社とも全然違う、、。

サンフランシスコのEVステーション(2012年)

なーんて(そう思うなら株でも買っておけばいいのにそんな行動力もなく)心のどこかで気になっていたテスラ、地元で試乗会が開催されるとの案内を見て、遊びに行って来たのです。

ModelYとツーショット

試乗といっても、20分位周りを走るだけです。ワンペダルの滑らかな加減速制御、剛性感のある足回り、広くて開放的なインテリア、まぁそうでしょう。

大きなタッチパネル、ハンドルの左側上下配置のボタンがウインカー!

車両操作も、シリコンバレー流儀というか、ロジカルに整理されたもので、AndroidよりもiOSに近い感じ、分かりやすい。ただ、試行錯誤して学ぶ事が許容されるスマートフォンと、間違えて発進する事が破滅的な結果をもたらしかねない自動車で、同じ発想で組み立てていいのかどうかは分からないし、物理スイッチがタッチスクリーン化やボタンになっているのもどうなのか、何とも言えない(少なくとも、ハンドル回しながらウインカーを操作したりは物理的に不可能なわけで)。

クリーンなインテリア、ハンドルも前後上下、タッチスクリーンから電動制御

クルマを走らせると、カメラによって認識された周辺の物体がリアルタイムで画面に表示されます。テスラは常時、周辺の物体位置を把握してタグ付けしています。というか、どちらかというと、仮想空間上に配置された物体の間を車両を制御して走らせています。

AI & Robotics | Tesla

ちょっと話が変わりますが、ホモサピエンスは文明の中心ですよね(何言いだすんだお前)。少し前まで、そう、OpenAIがChatGPTを世の中に出してくる前は、人類の主役は人間だと思っていましたよ。それなのに、あれ、気が付くと、知識はGenAIに統合されているから、人間は人間しかできない事をしましょう、みたいな風潮に。気が付くと主役を持っていかれそうになっています(だから、みんなサボれると期待しつつ、仕事無くなるんじゃないかと心配している)。

テスラの車両制御を考える上で理解しないといけない事は、つまるところ、テスラにおいては人は主役ではない、という歴然とした事実です。お金払っているからそれなりにおもてなしをして貰えるかもしれませんが、結局は周辺認識しながらリアルタイムで作られる仮想空間の中で車両を動かすプレイヤーです。メタバース内でニューラルネットワークを用いた走行支援を行うわけだから、AIハルシネーションが起こって、存在しないものを知覚したりも十分あり得ます(その結果、急ブレーキ踏んだり、いきなりハンドル切ったり、そういう事例も事故もある)。

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何年かAI Dayなんかをチェックしながら、漠然と思っていた事が急に繋がってきました。限られた太陽エネルギーを用いて、効率よく移動ジョブを果たしていく上で、人が中心にいる限り制御は完成しない。自動運転は出来る出来ないの話ではなく、自動運転がデフォルトの運転モードになり全体の制御に整合性が取れる範囲で、人間はプレイヤーとして車両を自由にコントロールできる。当然、コントロールしたいと思わない人は、お金を払って移動を買う、ああ、ロボタクシーだ。自分たちが主役から追い落とされる恐怖、でも責任から解放される楽な未来。

電気かガソリンか?みたいな話ではないんですよ。人をひき殺すリスクを冒して、赤い薬を飲むことが将来許されるのか?

30分の試乗でいろいろ考えちゃいました。

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