【登記】契印について

押印、捺印、割印、契印と、印鑑には様々な使い方がありますが、ここでは法務局の登記申請で覚えるべき契印の知識についてご紹介します。

【はじめに:印紙の割印はしない!】
印紙の割印は法務局の仕事です。自分で割印した印紙を提出するということは、切手に自分で割印をしてポストに出すようなものです。やめましょう。
ちなみに、誤って割印した場合は一筆書けば問題ないという法務局ルールがありますので、間違った際は法務局にご相談ください。

【契印の効果:複数書類の一体化】
契印というのは、数ページにまたがる書類について、不正にページが挿入されることを防ぐために行われる、ページ間の割印のことです。電子化が進んだ現在では契印の重要性は低下してきていますが、法務局の申請書類では契印が重要ですので覚えておきましょう。

【どこまでが「一個」の書類か?別紙は?別添は?】
法務局に提出する書類は、「登記申請書+印紙貼付紙」「添付書類A」「添付書類B」・・・という構成がされます。登記申請書と印紙貼付紙は一体の書類なので、契印をする必要があります。印紙貼付紙が複数ページにまたがっても、契印をしてあれば何も問題はありません(むしろギュウギュウ詰めに印紙を貼られると消印がし辛いです。)。
作成者が他人の文書、例えば住民票については、申請人等が契印をする必要はありません。契印をしたところで「作成者以外の人が差し替えたかもしれない」という不安は払拭されないからです。一般の住民票では、複数ページになっている場合にも契印(契印が省略されて穴が空いていることが多いです。)されているかと思います。
ここで、誰がどの印鑑で契印するのかという問題がありますが、これは、文書の作成者、つまり、文章中に押印した人が押印した印で契印するのが正しいです。登記申請書には申請者(または代理人)の印をするので、申請者(代理人)が契印をするのが正しいということになります。申請者が複数いるような登記の場合は、本来は全員の印で契印するのが正しいのですが、登記実務的には一人の印で契印してあれば申請書については許容されます。
株主総会議事録等では「別紙のとおりに定款を変更した」ということも多いですが、基本的に「別紙」は契印をして、「別添」は別の書類だから契印をしないという考え方が優勢かと思います。契印をしないわけですから、細かいことを言えば別添書類は差し替え可能と言うことになってしまいますので、登記では「別添」という言葉は使わないほうがよろしいかと思います。
私なら「別添のとおりに定款を変更した」と記載されているような株主総会議事録は契印を求めます。「別添は別の書類」という不文律には反しますが、不正の可能性がある書類を通すわけにはいきませんからね。

以上、簡単にご紹介しました。

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