申請用総合ソフトを改造する 1-1

・目的:申請用総合ソフトを改良し、オンライン利用率を増やす。
 テレワークのご時世になりました。
 登記所職員なんてのは、業務端末の利用環境がないと何もできませんので、テレワーク期間中は心身の休養に努めるばかりなのですが、少しばかり組織貢献ができないか考えてみることにします。

 私が思う組織貢献は「オンライン利用率の向上」です。申請人側からは見えないでしょうが、窓口申請とオンライン申請の処理の手間は全然違います。具体的には、登記簿に記入する手間が桁違いなのです。オンライン申請を広めることで、登記所職員の負担軽減にも繋がります。
 
 さて、ここで司法書士のオンライン申請環境を確認してみます。
 オンライン申請に使えるのは有償の民間提供ソフトウェア(「権」等)か、無償の法務省提供ソフトウェア「申請用総合ソフト」です。民間のソフトを利用している先生方に私ができることは無いでしょうね。「権を使っている先生方はそのまま頑張ってください」と、放置させていただきます。
 私が貢献できそうなのは「申請用総合ソフト」です。無償のソフトにしてはまぁまぁの機能が備えられていると思うのですが、使いにくい部分も多々あるように思います。例えば…

・申請用総合ソフトの欠点
 ①原因証明情報、委任状、相続関係説明図等が作成できない
  「司法書士が作成すべき書類は登記申請書のみ」というのが大原則。ですが実際は原因証明情報とか委任状とかの書式も司法書士が用意していることと思います。もちろん抵当権抹消の場合などでは、依頼者側(銀行)が必要書類を作成してくれる場合もあります。
  申請用総合ソフトは税務署等の差押機関のみが利用できる原因証明情報(登記嘱託書兼登記原因証明情報)や、委任者が電子署名をする前提で出力される委任状(申請書援用型委任状)は作成することができますが、独立の原因証明情報や委任状は作成できませんから、司法書士の先生方はワードなりエクセルで専用の様式を作っていることかと思います。申請用総合ソフトが出力してくれればいいのに、二度手間ですよね。
 ②連件申請書間にリンクが無い
  これは、「権」も同じなのでしょうか?
  私が思っていることがあるのですが、例えば「1件目名変、2件目売買」の登記申請を考えます。当たり前ですが、2件目売買の申請書の義務者住所は1件目の名変の変更後の住所に一致します。連件申請はこのように、申請書間で共通する情報が多くあります。したがってまとめて(並べて)作成するのが効率的だと思うのですが、申請用総合ソフトはせいぜい物件複写機能がある程度で、申請書を同時並行で作成する機能はありません。これは不便だと思ってますね。

 以上、大層なことを申し上げました。
 では私に何ができるのか?
 イメージするのは、申請用総合ソフトのエクセル連携です。申請用総合ソフトは申請書情報としてxml形式のファイルを作成するのですが、これを参照したりアレコレしたりして、エクセルと連携させる、エクセルと連携させてしまえば、委任状や原因証明情報等も作ることができると考えます。

 以下イメージです。

(1)申請用総合ソフト画面
(2)エクセル画面(情報やりとり画面)
(3)エクセル画面(出力した委任状画面)

 まずは(1)申請用総合ソフトから(2)エクセルに情報を受け渡す仕組みを考えたいですね。
 利用環境により異なるかもしれませんが、私の環境では、申請用総合ソフトのデータはC:\Users\(ユーザー名)\Documents\ShinseiyoSogoSoft\申請案件に数字が振られたフォルダごとに保存されています。

申請情報が入った「申請案件」フォルダ

 この中の「署名・送信」フォルダ内に「HM(13桁の数字).xml」という形式で保管されているのが申請書情報です。メモ帳で開いてみると

申請書xmlをメモ帳で開いたもの

といった形で申請書データが保管されていますので、ここから申請情報をエクセルに引っ張ってこようと思います。
 タラタラと書いたのが以下のVBAコード(実行するには参照設定でMicrosoft XML ver6.0の参照が必要です。)です。テストなので申請書xmlをデスクトップに貼って使っています。

Sub Sample1()

Dim XMLDocument As MSXML2.DOMDocument
Set XMLDocument = New MSXML2.DOMDocument

XMLDocument.Load ("C:\Users\ユーザー名\Desktop" & "\" & "HM0501202320001.xml")
Cells(3, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請書タイトル").Item(0).Text
Cells(4, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請事項/登記の目的").Item(0).Text
Cells(5, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請事項/原因").Item(0).Text
Cells(6, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請事項/変更後の事項/事項名").Item(0).Text
Cells(7, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請事項/変更後の事項/事項内容/名義人情報/住").Item(0).Text
Cells(8, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請事項/変更後の事項/事項内容/名義人情報/氏").Item(0).Text

Cells(15, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請手続き情報/申請年月日").Item(0).Text
Cells(16, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請手続き情報/申請人/名義人情報/住").Item(0).Text
Cells(17, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請手続き情報/申請人/名義人情報/氏").Item(0).Text
Cells(30, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請手続き情報/登録免許税/登録免許税合計額").Item(0).Text
Cells(32, 3) = XMLDocument.SelectNodes _
("登記申請書/申請書情報/申請手続き情報/登録免許税/登録免許税適用条項").Item(0).Text

End Sub

 これをもうちょっと使いやすく改良していきたいなという試みです。
 次回はせめてファイル参照くらいできるようにした方が良いですね…

続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?