誰だって、輝けるかもしれない
ニューヨークの中心地。ブロードウェイ沿いの、とあるレストラン。
「エレンズ・スターダスト・ダイナー」
店の扉を開けた瞬間、店のど真ん中には小上がりになったステージがあり、その上で店員が大熱唱。
お客さんは、ご飯はさておき肩を揺らし、一緒に口ずさみ、圧倒的なパフォーマンスに思わず頬が緩む。
そう。
ここで働くスタッフは、ブロードウェイのステージを本気で目指す役者の卵たちだ。
レストラン店員なので、もちろんオーダーも取るし、ご飯も運んでくれる。
だけど、彼らはエンターテイナー。
さっきまで僕たちのデスクで注文を取っていたスタッフは、マイクを握り締めると、人が変わったようにパッと華やぎ、レストランのど真ん中で歌を歌っている。
彼らのパフォーマンスに思わず口角が上がる。歌い、叫び、拍手を送る。
たった一つの武器(マイク)を手に取っただけで、ただそれだけで、こんなにも人に与える印象が変わるのか。
たった一つの武器で、こんなにも人を楽しませられるのか。
衝撃的だった。
もしかすると、我々も、まだ輝くための武器を知らないだけなのかもしれない。
たった一つの武器と、ステージがあれば、誰だって輝けるかもしれない。
誰だって、人を笑顔にできるかもしれない。
誰だって、自分が主人公だって、人生を謳歌できるかもしれない。
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