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アイヌ人の起源について

(はじめに)

多くの日本人が、アイヌ人は北海道の先住民族だと考えている方が大半ですが、それは間違いです。現在の北海道のアイヌはもともと本州にいた部族でした。中部地方から東北にかけていたアイヌ人は、徐々に東に移り、12世紀ごろに東北の日高見国が滅亡した後、ついには、北海道や樺太、千島列島へと北上・移住していきました。したがって、アイヌ人は今の日本人のご先祖の一つなのです。北からアイヌ人が南下してやってきたというは誤解です。このような誤解された歴史観にアイヌ系を含め全日本人が惑わされず、正しい歴史を理解してほしいです。この拙文はアイヌ人の起源について書いています。

(1)アイヌ人の起源となる毛人と蝦夷の住んでいた地域

現在、多くの日本人やアイヌ系日本人さえもが、縄文人やアイヌ人について、よく理解していないと思われ残念です。縄文人が日本人の原型であることは間違いありません。縄文文化は1万6千年も前から北海道から沖縄まで日本全土くまなく広がっており、連綿と現在までその文化の影響は現代の日本人にも続いています。台湾は縄文文化圏ではありませんでしたが、朝鮮半島の南側は縄文文化圏でした。縄文文化圏は今の日本とほぼ同じ領域です。また、その縄文人には、古代共通日本語などはもちろんなくて、熊襲(球磨族と曽於族)、隼人族、ヌナカワ族(翡翠を交易していた部族)、諏訪地方の洩矢族、北関東あたりの毛人などいろいろな部族が別々の言葉を話していました。群馬県や栃木県の旧国名は、上毛(こうづけ:上野)、下毛(しもつけ:下野)と言いますね。毛人(えびす、 蝦夷)が住んでいた国だからです。このあたりの毛人は古墳時代に大和朝廷に服属しました。毛人の顔は、目が大きく四角い顔をしていました。群馬から出土する埴輪の顔つきは、近畿地方とは明らかに違っています。でも、その歴史を根拠にして、今の群馬県人や栃木県人を、先住民族とはいわないですよね。日本人は1万6千年かかって、多民族が融和してできた国なのです。

(2)蝦夷の日高見国と北海道日高支庁の関係

北海道のアイヌ人だけを、まるでアメリカインデアンや、オーストラリアのアボリジーニと一緒にするのは間違いです。日高見国と称していた東北の蝦夷勢力は、11世紀の前九年の役や後三年の役に敗れ、さらに12世紀に衣川の戦いに敗れて、源義経の配下とともに徐々に北上して北海道の日高支庁にまで渡りました。そのため義経神社が明治以前から北海道の日高の平取にはあります。したがって、アイヌが北海道に現れたのは12-3世紀になるといわれるのはこれらの戦いがあったことに起因していると考えられます。このことをもっと研究して、共通認識にしたほうがよさそうです。北海道に渡った蝦夷は、当時、樺太から北海道のサロマ湖、さらに千島列島に渡るオホーツク海沿岸にU字型に分布していた、ニブヒ(ギリヤーク族)と勢力争いとなりました。その時の戦いの様子が、アイヌの英雄、ポイヤウンペの叙事詩、ユーカラに出て来る、異民族レプンクル(礼文人)です。ギリヤーク族を凌駕してこの地域はアイヌの勢力地となりました。したがって、樺太や千島が、アイヌの勢力地になったのは、ニブヒを追い出した後のことです。

(3)中部地方から東北にかけて残るアイヌ語地名

また、北海道だけにアイヌ族がいたとしていることも間違いです。中部地方から東北にかけて沢山のアイヌ語地名が残っているのがその証拠です。能登半島は、和語ではわかりませんが、アイヌ語でnotは半島という意味です。能取岬も、納沙布岬もおなじnotから来ています。富士山も利根川も、もとはアイヌ語から来ていると考えられます。したがって、日本の東半分は、もと、アイヌ語に近い縄文語をしゃべっていたと考えられます。現在の北海道のアイヌはもともと本州にいた部族であったことは明らかです。

(おわりに)

誤解された歴史観にアイヌ系を含め全日本人が惑わされず、正しい歴史を理解し、アイヌはもともと日本国人の一員であることを理解してほしいです。

参照
(1)日本人はどのようにして成立したか、https://note.com/ko52517/n/nd93fedc20358
(2)【竹田学校】歴史・岩宿時代編⑥~アイヌ人の起源~|竹田恒泰チャンネル2 _
2020/04/03に公開されたもの https://www.youtube.com/watch?v=msG7ydm9BIU
(3)日高見国は大和朝廷に敵対する蝦夷の住む、現在の東北地方にありました。北上(川)は、日高見のなまったものと言われています。日本書紀には武内宿禰がこの日高見国を肥沃な土地だから「討ちてとるべし」と景行天皇に進言したことが書かれています。



2020年11月20頃 随筆
2022年1月29-30日 加筆

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