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フランスの女中部屋、納戸、お勝手口

(はじめに)


最近(2018年7月)、「パリでの生活にオススメの「女中部屋」を知っていますか?」https://ja.myecom.net/blog/%E3%81%82%E3%81%82%E3%81%82/
という記事を読みました。このフランスの女中部屋(Chambre de bonne)に関連して、先日習ったフランス語の教科書Mauger Blue Iの104ページにも、大変面白い話が載っていました。
 

1. フランスにもほんの30年前まで、日本の「納戸」と「お勝手口」と同じものがあった


フランス語で男性名詞のofficeは事務所ですが、同じofficeでも女性名詞のofficeは、台所の近くにある食糧貯蔵などを目的にした小部屋のことと、教科書に書かれていました。これって、日本の伝統的な家屋にある、「納戸」のことですね。また、この女性名詞officeには、la porte de l’escalier de service(裏階段の出入口)があると、この教科書には書かれています。この出入口は御用聞きや使用人のためにあるとの脚注の説明がついていました。これって、日本の伝統的な家屋にある「お勝手口」ですね。日本人でも今の若い方には、「納戸」や「お勝手口」がピンとこないと思いますが、漫画サザエさんで、御用聞きのサブちゃんが、訪ねてくるシーンを思い浮かべてもらえばいいでしょうか。
 

2. フランス、住み込みの女中さんから通いの家政婦さんへ変化


私たちのフランス語のS先生が、30年前にパリに住んでいたころには、住み込みのbonne(女中さん)がまだいたけれども、現在は通いのfemme de ménage(家政婦さん<戦前の日本語では派出婦>)が主流とのことです: https://tsumagoi-note.blog.so-net.ne.jp/2010-12-17
 

3. 平安時代の「納戸飯」の習慣との類似性


私は興味深かったので日本の古語辞典も調べたところ、「納戸」の詳しい説明があり、平安時代の使用人は、主人の家族とは一緒に食事は出来なかったので、この納戸で食事をした。その食事を「納戸飯」といったとのことです。フランスの女中さんもそこの家族とは一緒に食べられず、女中部屋で食事をしたそうです。同じですね。
 

(おわりに)


フランス語の名教科書Mauger Blue は約50年前に出来たので、少し古いフランスを描写していますが、私は、この104ページに出てくるl’office(f.)「納戸」とla porte de l’escalier de service「お勝手口」が、非常に興味深かったです。古今東西、同じようなものがあるのですね。
 
2018年7月19日 随筆
2023年5月25日 加筆
 
 
*なお、冒頭の写真は、Rafael Garcia-Suarez さんが撮ったLes chambres de bonnesという名前の写真です。下記のURLのフランス語版のWickipediaから引用させていただきました。
https://fr.wikipedia.org/wiki/Chambre_de_bonne
最終更新 le 28 septembre 2021 à 16:36.

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