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とうとう予想していた三つ目の切符の使用禁止のお知らせが届いた みんなに会いに行くための切符を奪われた 誰に奪われた 奪い返せないのか 奪い返したらきっと今度はこっちが悪者扱い 神からのお告げ 大人しくしていろと 大人になるんだからと 人生で一度しか絶対に現れないと思われる切符を その切符を捨てろと もう機能しない切符を捨てろと 未練を捨てろと 他人に感謝して 大人になれと みんな一緒だと でも僕らはきっと 大人になる過程をしっかりと踏まないまま 見かけだけ大人になるんだ だ
僕には憧れの存在がいない そう いわゆる目標にできる存在 誇りを持てる存在 輝かしい存在 すがりついて自分の味方にできてしまう存在 いつでもそばにいてくれる存在 そんな絶対的な存在 そんな存在が僕にはいない そんな憧れはいろいろなステージに立っているらしく 例えば彼女の憧れは音と光に包まれたステージ 例えば彼の憧れは歓声と汗にまみれたステージ はたまたあの子の憧れは用意された舞台というステージ 他には文字や数字があって成立するステージ まだまだたくさんあるのだろう きっ
目の前には必ず透明な壁があった 一つ乗り越えても すぐ目の前に現れた だから自分が一番になるなんてこと 想像したことはない 自分を過信する暇もない だから 現実を見て受け入れることだけは それだけは みょうに得意になっていった そんな中 壁三つ分前にいる彼女は過信もせずに ぼろぼろになりながら壁を越えていった 少しずつ でも着実に先へと進んでいた そんなマネできないと いつも遠くから 他人のふりをして眺めていた きらいになりそうだった いいや時々きらいだった もしか