あいうえお作文「は」

「は」
浜町。長崎に戻ってからも浜町は特別な場所だ。商業施設はいろいろできたが私にとって懐かしいところだ。好文堂という3階建ての本屋があってよく行っていた。長崎に戻ってみるとそこは地下一階だけが本屋で他の階は違う店になっていた。好文堂の隣は古本屋で老舗の感じだった。その2軒には長崎をでるまでお世話になった。私の住んでいた所から歩いて行けたので町の図書館といったところか。まあ2軒にしてみれば迷惑な話かもしれない。


「ば」
ばあちゃん。父方の方でなぜ一緒に住むようになったかは知らない。小学校にあがってすぐに亡くなった。母は病気の婆ちゃんを世話していた。正直なところ私は何も感じなかった。日がな一日まだ珍しいTVを見ていた印象しかない。声も思い出せないのは滅多に私に話かけなかったからだろう。亡くなった日、私は婆ちゃんの横に寝ていて大人達が慌てているのを眺めていた。当時80歳過ぎれば大往生と言われた時代、ばあちゃんは満足だったのかなぁ。

「ぱ」
パン。給食にパンがついていた。休むと近くの子がそのパンを持ってきてくれた。ありがたいシステムだったが迷惑でもあった。パンは硬くなって食べられなくなった気がする。休んだ日に食べた記憶がないのは滅多に休まなかったからかどうかはわからない。中学になって帰りに揚げパンを買って食べるのが楽しみだった。三角に食パンを切って揚げて砂糖をまぶしてあるだけだがえらく美味しかったのを覚えている。あれはいくらだったのだろう。そこまでは思い出せない。

「は、ば、ぱ」
浜町ははまんまちというんだよ
婆ちゃんはいつも着物を着ていたような
パン食って今日は一日元気な子

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