パズル・ザ・ジャイアントvol.34 製作後記
こんにちは。けーえぬわいです。今回、パズル・ザ・ジャイアントvol.34でペンシルズ3番とのりのり1番を製作させていただきました。パズル・ザ・ジャイアントというハイクオリティな問題が集まる場に呼んでいただき、とても光栄に思っております。本記事は、自作のパズルの製作後期です。かなり力を入れて作成したので、書きたくなったのです。「書きたいな~」とジャイアントの原稿を送ってからずっと思っていたので、発売日当日に一気に書きあげました。自分語りが結構長く続きますが、興味があるなら是非。なお、この記事には自分の問題について多少ネタバレもありますので、解いてからお読みすることをおすすめします。一応なるべくネタバレになりにくく書いたつもりですが、徹底してネタバレしたくないという人は見ない方がおすすめです。
・全体を通した製作の背景
今年もぬりめいずとペンシルズを担当する事を勝手に見据えた私は、ぬりめいずは1年半前くらいから、ペンシルズは1年前くらいからジャイアント用のストックを製作し始めました。自分の担当が知らされる少し前で少し予想が変わって、「今回ペンシルズは担当から外されちゃうかな」と思い始めました。理由としては、ペンシルズ原作者のぺんしるからす氏が、今年からジャイアント製作陣に加わるだろうと確信していたので、ぺんしるからす氏がペンシルズ担当になって、ペンシルズの自分の枠がなくなる可能性があると思ったからです。結果的に、ぺんしるからす氏がペンシルズの担当になるという予想は外れましたが…。そして、自分の担当枠も予想から外れ、ペンシルズとのりのりでした。比較的掲載率が良いと思っているぬりめいずではなく、比較的掲載率が悪いと思っているのりのりの担当になるのは、かなり予想外でした。これは今回もぬりめいずとペンシルズ担当だろうなと思った僕の愚かな誤算ですし、決してニコリ編集部に対する不満があるわけではありません。一応ストックで作ったぬりめいずは担当から外れた時に出せなくなる事を覚悟して作ったものです(本誌向けでは無さそうなので)。そもそもジャイアント製作に関われる時点で感謝しかございません。しかも2問も製作させていただけるんですよ!何を不満に思う事があろうか。
というわけで製作に取りかかりました。といっても、ペンシルズはどこ担当かが分かる数日前に、今あるストックを出す事をやめて別の物を作りだしていました。それぞれの製作については、また後ほど。
ペンシルズは1週間くらいで、のりのりは約2日で完成しました。ちょうど本業が忙しくない時期だったので、数日で作成できました。なんと、依頼の封筒が来てから1週間で提出をする事ができました。えっへん。今のところ締め切りを守れてはいますが、果たしてこれが毎年維持できるかどうか………。この製作後、自分は健康面で1ヶ月ほど不調になり(ジャイアント製作が原因ではないです)、「あの1週間で作れて良かった~」とつくづく思ったのでした。
それでは、各問の製作後期へ。
・ペンシルズ3番
ペンシルズは、一昨年だったか昨年だったか、パズル・ザ・ジャイアント用のストックを既に作っておいていました。しかし、9月下旬。僕の頭にこんな考えが。
「昨今のペンシルズの問題と比べると、ストックのあの問題って結構難しくない?」
というわけで、もう少し優しく作ってみる事になり、ストックは出さずに別の問題の製作に取りかかりました。この時点でまだどのパズルの担当か分からないのにも関わらず。ある程度のコンセプトを決め作り始めた矢先、僕はある事を思い出します。それは、いつか思いついた、ジャイアントでやりたいと思った大ネタ。メモをしていないのにも関わらずよく思い出せたなと思います。(1/23追記・去年の12月にメモしてありました。)今のコンセプトとも合うし、入れるか。というわけでそのネタを入れる事を踏まえつつ、コンセプトとなる手筋を大ネタ以外の場所に置いてコンセプトを維持したまま、製作する事になったのでした。このネタ自体が、解く際にかなりの難易度があるので、最初の「もう少し優しく作ってみよう!」という目的は結果的に無くなった感じがします。
数日後、担当がのりのりとペンシルズだと伝えられました。今年の担当を知らずに作り始めたので、今作っているペンシルズを載せられる可能性があるといった安堵がありました。
こうして作成から数日経ち、盤面全てが埋まりました。ここから解き直して軽微な調整や、何らかのミスで解けなくなっている所を解けるように修正しました。この修正が過酷。上部分は特に問題はありませんでした。問題は下部分の上、つまり中央の少し下の部分。解き直すと、何らかのミスで解けなくなっていました。その後この部分は、修正してもまた解けないというミスが連発。結果的に、一番最初に埋めた時と比べて、下部分の3分の1くらいは変わったと思います。大ネタは絶対維持で、コンセプトはなるべく維持したかったので、コンセプトを強調するために入れたかった部分をやむなく消したり、意に反して難易度を少し上げなくてはならなかったりする場面が多く、修正は過酷でした。こう書くと妥協した感じが半端ないですが、結果的に大ネタもコンセプトの強調も何とか維持できたので、雑な物には仕上がっていないと思います。そんなこんなで、修正を数日かけてやっと完成。原稿に移して提出しました。
今回は前回の自作のペンシルズ・ザ・ジャイアントよりもかなり難しいと思われます。今までのニコリに掲載されているペンシルズの中で一番難しいかもしれない…と思っていたので、提出した後、何ヶ月も「やりすぎだろ…」「アレ載るんか…?」と心配でした。しかし、届いたジャイアントを確認するとびっくり、なんと4番目中3番目でした。難易度が難易度なので、絶対4番目だと思っていました。自分の問題よりも難しい問題があったので、「な~んだ、アハハ…」という感じです。心配しなくて良かったのでは?
さて細かい所ですが、コンセプトとなる手筋が結構難しいので、入り口となる4つの端っこ全てに、分かりやすくその手筋を入れました。この手筋は解き手が遭遇すると「ハタンした!?」と思われてしまう可能性があるので、そうなった場合に「どう考えてもこれで合っているよな…」と思っていただくように、ダイレクトかつシンプルに手筋を入れました。また、盤面の中央に向かっていくほど、難しくなるのを意識しました。意識したというか、自然とそうなっていった感じです。ま、偶然です。修正するときに少しだけ意識しました。あと書くところは、余剰ヒントを交えつつ調整をした事ですかね。左下の入り口は芯の長さが数えやすいようになっております。この記事の中で使ったテクニックです。後は、一応大ネタが盤面を見ただけでは分かりづらいようにしました。作る上でかなり気を遣った部分なんですよ。大ネタの構築の基礎にあたる重要な部分です。
とにかく頑張ったので是非解いていってください。くどいほどコンセプトを全面に押し出す、僕の好きな傾向のパズルらしさが全面に出ていると思っています。好きなんですよね、似たような展開や手筋を入れまくって、延々とパズル奥義をぶっかますような作風を作るのが。解くのも然り。
・のりのり1番
先ほど書いた通り、まさかののりのりの担当です。まずコンセプトを決めなければなりません。一応コンセプトのネタはあるにはあるのですが、ここで問題が。隣の問題との「ネタかぶり」です。のりのりの問題数はここ最近2問なので、ネタかぶりが起きるとかなりまずいです。あらかじめ、隣の問題の作者さんが誰かある程度予想できると、その作者さんの作風と被らないようにすることでこれは防げるはずなのですが、ここ数年のジャイアントののりのりの作者を確認すると、担当作家さんが頻繁に入れ替わっていました。つまり、隣にどなたの問題が来るか予想しづらい状況にありました。なので、うかつに1つのネタで攻めると、隣の方の問題とネタが被る可能性が高いです。そこで、1つのネタで攻めると難易度が高くなりがちなので、今回は解くときに難易度が高くなるようなネタはいれず、比較的簡単な問題を目指して作ろう!と思いました。ただ、もう一方の作家さんが簡単な問題を作ると難しい問題の枠がなくなりまずいので、結局賭けでした。ちなみに、かなりダイナミックなネタを入れる事も考えましたが、実装が無理でした。
方針は決まりましたが、ネタもしくはコンセプトが決まりません。この時すでに、盤面に2021の形の部屋を入れる事は考えていましたが、それでは弱すぎる…。そんなこんなで数日後、とりあえず盤面の端の方を埋めていた時でしょうか。突然ネタが降ってきました。ネタが決まれば、もう後は早かったです。どれだけ早かったかというと、翌日の夜にはもう原稿を書いていたくらい…だったと思います。
さて内容ですが、この2点に気をつけながら作成をしました。
・ネタ以外の部分は、自分が楽しいと思う展開を入れまくる。
・ネタを終盤に持って行く。
特に「ネタを終盤に持って行く」については、端から伸びていった部分を途中で絡めて合流させ、そこからネタにつなげる事で実現させました。作成終盤で、今埋めている場所から遠い所で黒マスが3個ある部屋を作っている事に気づくなど、こちらも修正に時間を要しましたが、ペンシルズと比べるとすんなり作成完了。ネタはもちろん、前述の気を付けたい2点も満たした、かなり満足のいくのりのりが作れました。そのまま原稿を作って提出。本当に早くて自分でも驚いています。
結果的に、ジャイアントで1番目の位置となりました。気になっていた隣の問題の問題の作者の方は、ケーエス氏でした。ケーエス氏ののりのりの作風なら、ネタは被っていないと思われます。ケーエス氏ののりのりも是非解いてください。僕はまだ解いていませんが今から解くのが楽しみですね。ケーエス氏ののりのりは徹底されていて面白いのです。
2021年も頑張ろうのりのりです(後付け)。何はともあれよろしくお願いいたします。
・最後に
今年も掲載できて良かった、という想いです。来年は…今年の忙しさ次第です。今年の担当を予想してストックを作るのはちょっと危ないかも。ぬりめいずとペンシルズに関しては一応ストックなりネタなりがあるのですが、他のパズルの担当になっても、自分がやれる範囲で作っていく所存です。今年はどこの担当かな~というか、今年も依頼をいただけるのか…!?依頼が来たとて、仕上げられるのか…!?ともかく頑張ります。
さて、これを書いている時点で、パズル・ザ・ジャイアント34号はまだ少ししか手を付けておりません。解くのがとても楽しみです。もちろん僕だけでなく、他の作家さんの問題も是非解いてください。僕の問題だけ解くという方はいないので謎の呼びかけになってしまいました。以上製作後期でした。読んでいただき、ありがとうございます。
1/23追記・本質的なネタバレ!
以下、自作について踏み込んだネタバレが書いてあります!解いた方のみ読むことを強くおすすめします!
ペンシルズ…
コンセプトは隠しえんぴつ(表出ヒントがない場所から生まれるえんぴつ)
大ネタは中央の隠しえんぴつ大連結
のりのり…ネタは、0,左下の方の2,1の形の中の黒マスを使って、下の手筋によって真ん中の5マスの部屋が決まり、そこから左上の2の黒マスが確定する。
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