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余剰ヒントの使い方テクニック

 こんにちは。けーえぬわいです。これはペンシルパズルI Advent Calendar 2020の12/23の記事です。よろしくお願いいたします。
 さて、2020年もインターネットパズル界隈で色んな動きがみられましたが、その中でふと思ったのが…

       余剰ヒント、ないがしろにされてない?
 
 といっても、私がなんとなくそう感じただけで、誰かがないがしろにしているのをあまり見た事はありません。本当にないがしろにされているのかTwitterの検索機能で調査してみました。…その結果、色々と高度な議論が行われていて、なんだか怖くなってしまいました。「本当にこの界隈にいていいのか、こんな自分が…」という怖さです。とりあえずないがしろにはされていないようです。
 というわけで、深いところにはあまり突っ込まず、今回は余剰ヒントの在り方について、ニコリに載っているような問題を目指して作る観点から、私の個人的意見を書いていこうと思います。文章を書くのがあまり上手くないのですが、それでもよければお付き合いください。

注意
 なお、この記事で使う余剰ヒントという言葉は、「無くても問題が唯一解で成立するようなヒント」という意味で用います。「無くてもよいヒント」という意味ではございません。
 それとこの記事はあくまでも私個人の考え・意見なので、余剰ヒントに対して皆がこう思っている訳ではないです。

私が余剰ヒントを使う理由

 先ほど書いたとおり、ここでの余剰ヒントは「無くても問題が唯一解で成立するようなヒント」という意味です。無くても成立するようなものをなぜわざわざ使うのか?その理由について列挙していきます。

・見た目を整えるため
 全体的に見ても、余剰ヒントが使われる一番の理由じゃないでしょうか?スリザーリンクなど、対称配置で作る場合は、どうしても出てしまうんですよね。こうなると、見た目をそろえる、もしくは見た目を維持するだけのために出てきて、他の役割(後述の難易度調節とか)を果たさない余剰ヒントが多くなってしまいがちですね。このような余剰ヒントは少ない方がいいのですが、見た目を綺麗にするためなら、いくらかは気にせず置いてもいいかな…と思っています。私は解いていて気になった事は無いです。他の方がどう思っているかは分かりませんが、「見た目を優先するんじゃない、余剰ヒントを消せ!」などといった意見はあまり私の耳に入ってきていません。あまり気にせず入れています。
 対称配置で作る場合でなくても、見た目を整えるために余剰ヒントを置くシーンはたくさんあります。例えば、ペンシルズを作成の序盤で、下図のように数字を置いたとします。

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 ここで、余剰ヒントとなりますが、3の下にもう1個3を置くと…

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 数字が四角にまとまっていい感じになりませんか?このような見た目のデザインに関しての余剰ヒントの付け方は、作者のセンスそれぞれによって変わってくると思います。パズルを作っていく中で、自分のセンスを見つけて、磨く事をおすすめします。もしかしたら、「この問題、この作家さんらしい配置だな」と解き手の方が思ってくれるかもしれません。

・難易度の調節
 難易度が一部分だけ極端に難しくなるような事を避けるために使ったりします。例を用いて説明します。

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 上図では、ニコリの難易度でらくらくを想定している、シャカシャカの制作途中です。もう終盤ですね。ここで、右下の空白の部分は、この状態で既に決定しています。斜めの正方形を1つ入れたら成立ですね。しかし、上図の状態でのそれを入れるための考え方は、「もしここに白マスを入れたら、あそこが白マスになって、あそこも白マスになって、結果的に白い部分が四角ではなくなってしまう…」といった比較的高度な考え方だと思います。ニコリの難易度でらくらくを想定して作っているので、急に難しい考え方は入れたくないと思っています。そこで、余剰ヒントを下図のように追加します。

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 2を入れた事によって、解き手は簡単な考え方で残りの空白を埋める事ができます。これで難易度が一貫した、初心者向けの問題になりました。
 …と、自分はこんな風にして難易度調節のために余剰ヒントを使っています。他には、ニコリ投稿用の問題作成で、ニコリで使われないような考え方を使わないと解けなくなるのを回避するために余剰ヒントを入れて少し簡単にする、といった場面でも使っています。

注意
 上の例は、あくまで自分がパズルを作っている時の方針なので、「急に難しい考え方を入れるな!」という主張ではありません。是非、自分の作りたい物を作ってください!

・視線引導
 視線引導という言い方をしましたが、正直なんていったらいいのか…。とりあえず、下のシャカシャカの図をご覧ください。

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 左上を解き始める部分として想定した問題を作っています。しかし、なんだか解き始めの部分としては少し寂しいというか、なんとなく解き始めの部分には見えない気がします。そこで…

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 余剰ヒントを追加!どうです?手が付けやすくなったと思いませんか?このように、解き手にとっかかりを示すような感じで使っています。このような余剰ヒントは、自分は中サイズ以上の大きさで使う事が多いかなと思っています。もちろん、小サイズでも使う事はあります。「いかに解き手の解く意欲を引き出せるか?」って、結構大事だと思うんですよね。その引き出す1つの手段として、余剰ヒントの追加をして、見た目の主張をやっています。

・紛れ
 唯一解性などを用いて、先の展開の推測をさせないための設計を、紛れと呼んでいます。その紛れを実現するために、余剰ヒントをよく使っています。例として、下図のドッチループの作成途中の様子をご覧ください。

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 ここで、左の部屋も右の部屋もこれ以上白丸は入れず、緑のマスで曲がるかどうかは、後にそのマスの上部から線が入ることによって、曲がらずに直進すると決まる、とします。その場合、解いていてこのような場面になった際、解き手がこんな推測をする可能性が考えられます。
 「ここで右に曲がると、右の部屋の線の通り方は複数あるわけだから、絶対に線は上に行くよな…」
 特に何らかの仕掛けを施している場合、こういう唯一解性による推測をされて、変な仮定をされたくない訳です。つまり「ここで右に曲がるはずはないから、ここでは上に曲がる。すると上部は絶対こんな線の引き方になる。そうならないと仮定すると、どこかで矛盾が起こるはず。よしここから仮定しよう」といった事をされて、仕掛けが想定した所以外から解けるのはあまり好ましくないという事です。もっとも、そういう人いるのか?という話もありますが…。
 そこで、右の部屋の通り方を1通りに絞りましょう。

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 黒丸を設置しました。これで、解き手は「あれ、ここ上に曲がるか右に曲がるかどっちか決まらないじゃん…他の所を解いてみよう」となる訳です。無事解決ですね。
 紛れのための余剰ヒントは、作意が崩壊したり、推測されたりするのを防ぐのが目的ですが、置いた事によってまた別の所から作意が崩壊してしまう恐れもあるので、慎重に置いています。

・その他
 後の余剰ヒントの使い方は、解き手のサポートなどですかね…。

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 上図のペンシルズでは、右上から長さ12の鉛筆の芯が左の方向に伸びていきますね。ただ、12マスも数えるのは、面倒くさそう…。そこで、余剰ヒントを設置します。

 数字4マス+空白4マス+数字4マスで、4マス×3=12マスという事が伝わってきて、非常に分かりやすくなったと思います。さらに、鉛筆の先の部分も設置してしまう事で、よりここの長さは12マスだという事を分かりやすくしました。解きやすい。

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でも、ただむやみに余剰ヒントを入れればよいという訳ではない

 ここまで話をしてきてなんですが、余剰ヒント、結構使いづらいんですよね…。「このヒント、いらなくない?」と気づいてしまうと、モヤモヤする解き手もいらっしゃるかと思うので。作っている途中で、余剰ヒントを入れるか入れないか悩ましい場面も多く出てきます。余剰ヒントを入れても、解き手が違和感なく解いてくれるかどうかも考えて作るのが大事だと思います。
 また、目的によっては余剰ヒントを入れない方が良い場合もあります。例えば、できる限り難しくしたいという目的で作るなら、余計なヒントはいりませんね。
 そしてあまり入れたくないのが、全く意味の無い余剰ヒント。解き手が、「本当に何でここにこれを入れたんだ…???理由が何も思いつかない…」と思ってしまうようなものはあまりよろしくありません。ただ、作っていて何かの勘違いによって無意味な余剰ヒントを置いてしまう事もあるので恐ろしいです。推敲は大事…。


最後に

 ニコリでは一部のパズルについては、余剰ヒントの有無についてはあまり気にされていないように思います。何はともあれ、やはり、解き手が楽しんでくれるのが一番です!
 以上で、私の余剰ヒントに対する考察を終わります。誰かの参考になってくれれば嬉しいです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
 それではよいクリスマスを。

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