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袖振り合うも多生の縁とやら

毎朝。同じ時間に同じ道を歩いて。同じ時刻のバスに乗る。全く同じ道をたどって、電車に乗る。同じ道。同じ車両。

帰りも、ほとんど同じ。朝ほど、全くズレないって事もないけど。ほぼ。全く同じ。


そうしていると。だいたいの顔ぶれがわかってくる。
毎日ではない人。いつもいるんだろうけど気にも留めていない人。
いろんな人と、日々、すれ違っている。


…毎日ではないのだけど、5手詰ハンドブックを朝から付箋貼りまくりで読んでいるお兄さんがいて。……そろそろ僕も3手詰ハンドブックを買いたいなと思うこの頃。
一手詰ハンドブックをもっと読み込みたいというのもあるにはあるのだけども。
この件に関してはヤルヤル詐欺と化しているので。
まぁ。明言はさけますでする。……??笑

前に働いていた時は。
出る時間がちょうど小学生の登校時間に被ってしまっていて。見送りの知らないおじさんに、おはよう!、と、元気よくあいさつされてしまうのが、とても苦痛だった。
この近辺でも、そういう事はしているのだろうけど。今は若干早いため、そんな人には出会わない。
犬の散歩をしている人はよくみるような気がする。


駅の近くまで歩く途中ですれ違う人。
同じ車両の同じドアの前で待つ人。同じ顔ぶれ。
同じ駅で乗り換えて、また同じ車両に乗る人。
桜並木をただ眺めている。
みしった顔の、知らない人。
…ある時、少し大きめの地震で朝から電車が止まった事があった。たまたま。同じドアのそばに立っていた。
毎日。いつもは数分だけ。同じ空間に居て。
ただ。それだけ。
いつもより少し長く。
ただ。やっぱり黙って立っていた。

たまに帰りにみかける事もあった。
朝にみる人を、夕方にみるのは、変な感じがするものだ。


そうやって。
みしった顔の、知らない人の顔を、たまに思い返したりする。学生は年度が変わると、新しい顔が増えるし。いつの間にかいないのは、きっと卒業なのだろう。

といっても。最初から、顔、をおぼえるのではない。
たとえば上着だったり、カバン、靴、カバンに付いてる小物なんかが、ふと目について。徐々に顔も認識していく。

ゆっくりと、少しずつ知って。
結局何も知らないまま、それきり。
僕みたいに引っ越してしまうとか。
当人にとっては、この道も最後だな、なんて、思ってみたりするかもしれないけど。…気づいた時にはもう会う事もない。出会っていた事にすら気づかないような、知らない間のさよならが、たくさんあるのだろう。


今も。みしった顔の知らない人と数人。日々の中のたった数分を過ごしている。…年度が変わってみなくなった顔もある。

なんとなく目が合うような気がしている人がいて。
毎日ではないのだけど。朝にみる。
…たまたま帰りにもみた日があって。
少しドキッとした。
なんだか、それきり、…みなくなるような気がした。

それからみたのは数日後の朝。一度だけ。
…なんだか、スマホをみてなのかなんなのか、すごい笑っていて、驚いてしまった。……。
またもや、なんだか、それきり。
……みなくなるような気がしてしまっている。


なんというか少し。
竹澤汀さんのroad showを聴きたいような。気分。