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測量士補試験体験記

ちょっと思う所があって5月15日(日)に測量士補という国家資格の試験を受けてみた。

会場は東大の駒場校舎。
28問中18問できれば合格。

数学が苦手なので、三角関数、正弦定理やピタゴラスの定理といった知識を駆使する問題は無視。その上で18問いくかどうかで、結果は運といったところ。

測量士補の試験勉強してみた感想は、GPSについての知識がついたのは良かったなと思う。宇宙ビジネスの中核技術である衛星に詳しくなった。
ホリエモンの話とかJAXAの話とか、イーロン・マスクのスターリンクとか少しだけ理解できるようになった気がする。

ウクライナ紛争における衛星画像や戦時の測位システムなどとも技術としては同根なのだろう。そういえばドローンを使った測量も範囲だった。

「車載写真レーザー測量」もグーグルマップのストリートビューなどを想起させて面白かった。

比例計算を使った面積や標高の計算は、中学の算数をおさらいしているようでなおざりにしていたことに改めて向き直る良い機会になった。

土木工事の土量の計算、河川の流量計算も算数を実地に活用する場面としてリアルだったから、楽しめた。

土地登記の前提となる用地測量は、行政書士の仕事の関連として、こういう流れで筆界って特定するんだなと伺い知れて良かった。

測定誤差、真値、重量

理論的な側面では、「測定誤差」と「真値」についての考え方が、とても印象深い。

「誤差」の中でも1、個人誤差、2.器械誤差、3.自然誤差を「定誤差」と呼び、測量者はこれらを小さくすることが求められる。

この他に「不定誤差」という原因不明の誤差もある。

「不定誤差」とは原因不明の誤差で、特徴として①小さい誤差ほど多くあらわれる」、「正負の誤差が同程度現れる」、「極めて大きい誤差は現れない」という3法則がある。

また、いくら適正なプロセスを踏んで注意深く測っても、真の値(真値)は得られない、とテキストに書かれているのも興味深かった。。
測定できるのは、最確値(最も確からしい値)であり、真値ではない、とのこと。

真値=最確値+誤差

だが、定誤差も完全に無くすことができるわけでもなく、また不定誤差は必ず残るので、結局「真値」にたどり着くことはできない。

その代わりに提案される「最確値」とは複数回観測した値を合計して観測した回数で割った値。(いわゆる平均)

そして、ここに導入されるのが「重量」という概念。

「重量」とは信用度のことで、2回計測した値より5回計測して得た値の方が「重量が大きい」と言われ、精度が高いとされる。

誤差は無くせないとの前提で、観測回数の量により、計測値の精度を考えるという次元の異なる概念を挿入する工夫は面白い。


汎神論を唱え、ポストモダン哲学にも影響を与えた中世の大哲学者スピノザは顕微鏡などガラスの職人だったというが、抽象的、学術的な思想も、こういった自然科学や技術論をベースに組み立てられていたり、その要素となって組み込まれているようなことはたやすく風化しない。

ということで、結果の如何に関わらず、勉強としてはとても面白かったので、受けて良かったと思っています。

頂けるなら音楽ストリーミングサービスの費用に充てたいと思います。