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エマニュエル・トッド

とりあえず現存ずる社会学者の中で最も優れた人だと思う。トマ・ピケティとかサンデルとか読むなら、トッドを読んだ方が有意義な時間の使い方。

トッドがまず世間の注目を集めたのは、統計の使い方と解釈。出生率や識字率の統計から共産主義が崩壊するのを予見した。

さらに世界の諸民族の家族形態を分析して、社会構造が家族形態に規定されることを実証的に唱えた。

デュルケムやレヴィ・ストロース、マルサスが現代に生きていれば、きっとこういうことを語っただろうなと思わせるほど。

トッドの理論は様々な疑問を説明する。例えば、なぜ共産主義体制はマルクスが予想したような資本主義先進国ではなくロシアや中国で実現したのか、なぜ遠く離れたドイツと日本の社会制度が似ているのか、なぜアメリカ人は自由と独立を重視するのか、などである。

トッドは当初、家族型の分布は偶然であり、何ら環境的要因はないとしていた。すなわち、ドイツと日本が似ているのは同じ直系家族だからだが、両民族が直系家族なのは偶然の一致だと見ていた。しかし後に、言語学者のローラン・サガールの指摘により、家族型の分布が、中心から革新が伝播して周辺に古形が残るという周圏分布をなすことを示した。

ユーラシア内陸に外婚制および内婚制の父系共同体家族があり、その外側のドイツや日本に直系家族があり、さらにその外側のイングランド、フランス、東南アジアに核家族が存在する。これは、父系共同体家族が最も新しく、次に直系家族が新しく、核家族が最も古い残存形態であることを表している。

かつてバッハオーフェンが主張した母権制から父権制への移行は歴史的事実ではないが、父系社会のほうが新しいという直感は正しかったのである。アングロサクソンの自由主義や女性の高い地位が、近代性ではなく辺境の古さに由来するという結論には驚くべきものがある。

以上、全部ウィキペディアの引用。

ハーバーマスとかギデンズとかルーマンとかデリダとかよりも、読むに値すると思う。

私の中では「ブラック・スワン」のタレブ、「想像の共同体」のベネディクト・アンダーソンと並ぶ人。

そんなトッドがウクライナ危機について、語っている。(日経の有料記事
なので私も中読んでないけど)

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/052700132/

現在進行形の政治に関しては、偉大な学者といえども見間違えることも多々あると思う。あるいは頭良すぎて世間と物の見え方が違うので、置いてきぼりを食っているのかもしれない。(佐藤優とか宮台真司とかの話も時々そういう気分になる)


ちなみにフランス在住のひろゆきが、トッドの自宅に凸してインタビューしたこともある。フランスでは誰でも知ってる超有名教授みたいだ。

「教養つけたい!」って思うなら、トッドの説はざっと見ておくのオススメ。友達にドヤ顔ができる。(知らんけど)

頂けるなら音楽ストリーミングサービスの費用に充てたいと思います。