ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム 超ネタバレレビュー

ネタバレ注意!!!!!!!!!
必ずストーリークリアしてから読んでください。








 ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(TotK)を10日程でクリアした。正直な感想だけど、ぶっちゃけ…… 微妙な部分が目立った。前作ブレスオブザワイルド(BotW)の完全な続編なのだが、比較すると、どうも超えてきたと思えない印象だった。

 この記事を読むとゲームできなくなるので先にクリアしてください。
あとめちゃくちゃこき下ろすので神ゲーだと信じてやまない人も気分を害すと思うので読まないでください。

 1つずつ見ていきます。

ゼルダなのに続編

 ゼルダの伝説は基本的に各作品が独立しており、1つ1つで話が完結している。調べたところ、各作品に登場する主人公リンクとハイラル王国の姫ゼルダはそれぞれ別人であるという解釈らしい。
 しかし今回はBotWの完全な続編だ。BotWの人物がそのまま出てくる。こういうのはシリーズ初かも?風のタクトと夢幻の砂時計は続いてるけど登場人物はテトラとリンク以外まるっきり違うし。
 でも前作からの繋がりを考えると微妙に繋がらない部分が出てくるからパラレルなのかも?リンクの家がゼルダの家になってたり、サクラダ工務店が無くなってエノキダ工務店になってたり。基本的に住人は主要な人物を除いてリンクを覚えておらず、前作の話はなかったこととされた平行世界のような感じ。しかし、シドの人物名鑑に「姉は100年前に厄災ガノンと闘った英傑ミファー」との記述があったり、なんだかどこまで繋がっているのかよくわからない。全体的に説明が足りない印象はあった。

オープンワールドなのにマップが既知

 これがいちばん微妙だった。今作はBotWの完全な続編と言ったが、なんとマップが全く同じだ。BotWはオープンワールドゲームの最高傑作の1つとして世界中で人気を集めていたゲームで、今作はシステムのみならずマップまでBotWを踏襲しているわけだが……
 オープンワールドゲームでマップを知ってるとこんなにつまらないとは思わなかった。全く新作をやっている気分ではなかった。追加DLCとか、タルコフのワイプが来た感じの気分。個人的にオープンワールドの最大の楽しみは、初見で見た景色の鮮やかさとか、永遠に続く地平線に向かって実際に歩いていったり、この先はどうなっているんだろうみたいなワクワク感だと思っているので。探索は致命的に面白くなかった。
 もちろん、オブジェクトの配置や出現する敵、住人の会話の役割や移動の順番などは前作と異なり、あの地は今的な楽しみはあるが…… オープンワールドの楽しさかと言われると、うーんだ。
 それにこのマップはBotWのために作られたマップだ。新作を作るにあたり祠や鳥望台などを別の場所に配置しなければならないが、その弊害で無意味な空間がめちゃくちゃたくさんあった。祠チャレンジの場所とか(主にカッシーワの)、ローメイ遺跡とか、あとはゾーラの里とかリトの村の元BotW祠の場所とか、さも意味ありげな場所に何もなくて違和感が凄い。もしかしたらこれは今作から始めたら全く感じないことではあるかもしれないが。とにかく地上はBotWと比べて薄味だった。

追加マップが薄い

 今作は地上マップに加え、空と地下が追加されている。が、これがかなり微妙だった……
 まず空。少ない。シンプルにスカスカ。チュートリアルの空島とストーリー絡みの島で8割を占めていて探索する場所が無い。残りの島も同じ形の島の焼き増しだけ。これ実装する意味あったんですかね……
 さらに地下。これが酷い。まず地底に降り立ったら真っ暗。祠のように木の根を見つけて開放していけば明るくなるシステム。地上のマップは既知のために初見の感動を奪われたが、地下のマップは暗闇のために初見の感動が皆無。さらに明るくなったところでそこにあるのは瘴気とザコ敵ばかりの変わらぬ風景。それが地上に対応した広さだけある。これ何がおもろいねん。さらにさらに地形も地上に対応しており意外性がない。だけならよかったが、地上の川が壁になってて移動がかなり制限される。ホンマクソ。このゲーム最大のクソポイント。製作者もつまらないのをわかってて宝の地図(防具)と中ボス大ボスを満遍なく配置して誤魔化してるよね。
 地上が薄味なのに追加マップは更に薄味だった。今作はボリュームが凄いと話題だけど、こんなん1キロつけ麺と一緒じゃん。

ネタ切れの祠

 前作120ヶ所だった祠はなんと152ヶ所!!すごいボリューム!!と思いきやなんか…… 前作よりつまんなくない?一つ一つの単純さもそうだけど、何よりネタの使い回しが酷かった。一身の戦い多すぎんねん。水晶を祠まで運ぶ新ギミックは以前のゼルダのボスカギみたいでよかったけど、これもネタが少ない。何よりゾナウギアの祠が多すぎる。あと洞窟の奥に辿り着くだけで祝福みたいなパターンも多すぎ。迷路もなんかどんぐりでルートわかるしようになってるし。
 本当にBotWの続編か?カッシーワの祠チャレンジとか、サイハテノ島とか、あのユーモアはどこいった?なんか今作の祠はパッとしなかった。

リンクの能力

 今作ではBotWで使えてた能力(マグネキャッチ等)は全て入れ替わり、新能力となっている。
 まずウルトラハンド。ほぼこれのゲームだった。物体をマグネキャッチのノリで掴めるのだが、その基準はわからない。掴めるものは掴める感じ。そこらへんに生えてる木でいかだを作ったり、ゾナウギアを組み合わせて乗り物を作ったり。それなりに楽しいが、操作が面倒で何回もやってるとダルくなってくる。今作は看板を立ててあげたり、コログ族を友達の元へ運んであげる新ギミックがあるが、だんだんダルくなってきて、途中からカバンダを素通りしていた。
 そしてブループリント。カス。もうちょっとできただろ。まず入手が遅い。中央大廃鉱でコーガ様を倒さないといけない。普通にチュートリアルで手に入れさせてくれ。さらに設計図の入手がダルい。地下の廃鉱に置いとくな。空か地上にしてくれよ。設計図を手に入れてもしょうもないものしか作れないし、組み立ても遅い。確かに無からゾナニウムの消費だけで気球とか作れるのはチート能力ではあるが…… 使いどころのない能力だった。
 スクラビルドはめちゃくちゃ良かった。扱いがシンプルだし使ってて楽しい。武器の選択肢が広がるし、盾で攻撃や大ジャンプができる。属性矢を個別に持たなくてよくなったのも神。今作は矢と火炎/冷気/電気の実はたくさん出るから属性矢が使いやすい。中ボスが強力なスクラビルド専用アイテム(イワロックの心岩とか)を落とすのもモチベになっていい。
 トーレルーフは悪くない。が、最初はうおおおおおお!!!となったのに、探索で実際に役立った場面は少なかった。ほぼ祠や神殿、あと空島用の能力。まあこういう局所的な能力は嫌いじゃない。トワプリのスピナーみたいな。でもこれと鳥望台のせいで、山登りの楽しさは失われた。BotWは山登りが楽しかったのにな……
 最後にモドレコ。一言で言うとTENETだが、意外と面白かった。意外と応用が利き、空を飛んだり敵の攻撃を跳ね返したりできる(一方通行みたいに)。ストーリー上での繋がりもあり、いい能力だったと思う。
 前作の能力で使えなくて不便だった能力はまずリモコンバクダン。これがないのマジで不便だった。バクダン花は地下にしか生えてないし、買うと高いし、爆発すると燃えるし。サトリ山のリンゴ金策がダルくなった。バクダンが希少な割には洞窟がめちゃくちゃ岩で塞がっててムカついた。
 あとアイスメーカーが使えなくて水辺がクソダルかった。水に浮いてる宝箱はウルトラハンドでいかだを作って近寄らなければいけなくなった。新追加の海賊船もアイスメーカーがあればどれだけ楽だったろうと思った。
 能力は総合的に見てプラマイゼロ。むしろマイ。

賢者の操作

 BotWで活躍した4人の英傑の子孫にあたる賢者の能力を今作でも使えるのだが、これが曲者だった。
 まずチューリ。横移動の風を起こす。空島では必須レベルの神スキル。戦闘では矢でヘッショしてくれる。最初はなんだこのガキ、テバじゃねぇのかよと思ってたけど強いので許した。しかし比較対象があのリーバルトルネードなので、まあどっこいどっこいという感じ。
 次にシド。水で守ってくれる。ミファーの祈りに比べるとだいぶショボいが、おれはシドが大好きなので許す。シドと結婚するのは、俺だと思ってた……
 ルージュ。矢を放った先に落雷を放つ。ウルボザの怒りと比べるとショボい。あとルージュぜんぜんついてこない。なめるなよガキ。おれは女子供にも容赦はしない。
 最後にユン坊。お前もうデスマウンテンに埋まってろ。さすがに声変わりしてろ。おれガキ嫌いやねん。一応説明するとボールになって突進する能力。エイムがムズすぎる。トロッコ乗るとき邪魔すぎる。コイツのおかげでチューリを見直せた。なんやねんピギャーて。
 あと今作は魂の賢者ミネルのゴーレムも仲間になる。なんと背中に乗れて戸愚呂兄弟みたいになってめっちゃ面白いけど、攻撃を避けれないし足も遅いので降りて普通に戦った方が強い。残念。
 星のカービィシリーズのヘルパーみたいで最初はいいと思ったが、全スキルAボタン連打で発動してしまうので、意図しないスキルの発動が多い。特に素材を拾ってる時に急に風吹いたり突進したりしてムカつく。あとミファーの祈りがないので妖精を持ってないと今作は即死する。リーバルトルネードもないので上移動はストレスだし。これもプラマイゼロ。むしろマイ。

ストーリー

 ストーリーについては悪くなかった。ゾーラ族のヘドロやゴロン族のおいし岩など、BotWに比べてコミカルな描写が多かったが、これはオーセンティッククラシックレジェンドオブゼルダって感じで個人的には好きだった。でも各ボス戦後の僕は賢者!みたいなノリを5回も見るのはダルかった。賢者で信用できるのがシドしかいない。
 メインチャレンジの龍の泪はよかった。最後マキューズ半島に白龍が現れたとこはかなり揺さぶられた。回想でガノンドロフやラウルが出てくるのもアツい。まあでもソニアは最後までよくわからないキャラだったな。
 ストーリーは概ね満足。しかし一本道だった。前作BotWは最初から厄災ガノンを倒せ!そのために記憶集めるか…… と終止一貫しており、ガノン討伐に至る過程はかなり自由だった。しかし今作はなんかプルアに言われたとこ行くか、終わった、次何すんの?みたいな感じで前後の繋がりが強く、一本道な従来のゼルダに戻っていた。しかしシステム自体はオープンワールドのBotW。ここにギャップがあり中途半端になっていてすごく残念だった。
 ちなみに最後ガノンドロフ撃破後、魂となったラウルがゼルダを人に戻してくれるんだけど、ここはマジで納得いってない。心は永劫に戻らんとちゃうんかい!!!!!FAIRY TAILのアイリーンを見習えよ。ガノンドロフは龍のまま散ったのに。ご都合主義っぽかったな。

BotWは過去のゼルダの破壊だった

 おれは過去にゼルダの伝説を6作品プレイしてきた(夢幻の砂時計、大地の汽笛、トワイライトプリンセス、神々のトライフォース2、スカイウォードソード、夢をみる島)。これらをオールドスクールレジェンドオブゼルダとすると、ブレスオブザワイルドは革命的なゲームだった。既存のゼルダの破壊だった。「ゼルダのアタリマエを見直す」とは言ったものだ。ゼルダなのに壁が登れる!ゼルダなのに敵からルピーやハートが落ちてこない!武器が壊れる!バクダン無限!ダンジョンの攻略は任意!どこへでもいける!ストーリーもリンクの記憶が無いところから始まる。まさに0からのスタート。何もかも新しい。ゼルダの破壊と創造の作品だった。
 そんなBotWの続編となったTotKだが、随所に過去のゼルダを感じた。ガノンドロフの登場、6賢者、時の神殿、コミカルな雰囲気、巨大な獣のボス…… うーんこれはゼルダ。BotWの流れを無視したオールドスクールゼルダそのものだった。加えてシナリオは一本道…… オープンワールドの傑作BotWの皮を被っておきながら、その本質はかつてのゼルダだった。なんか、これが無性につまらなく感じた。例えるならアレだ。新進気鋭のメタルコアバンドが3枚目とかでスラッシーな感じになったりするアレ。最近のArchitectsが歌モノみたいになってるアレ。最近のVeil of Mayaが全くわからんアレ。アレなんだろうね?アレヤバくね?胸...痛くね?(MOROHA)

総評

 ここまでの話を総括すると、ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム は、

・ボリュームは増えたが楽しみは減り全体的に密度は薄く
・オープンワールドの新しい世界で一本道の旧態依然としたドラマを繰り広げる
・なんだかちぐはぐで中途半端な作品

に映った。○○なのに、△△…… の連続だった。
 しかし誤解しないでほしいのだが、ここまでこき下ろしておいて言うが、間違いなく神ゲーだった。世間的に見ても、個人的に見ても、ティア1に入る完成度が高くすごく面白いゲームだ。マンガなら週刊少年ジャンプで連載取れてるし、アニメも2期まで決まっている。ただBotWには敵わないだけなんだ。BotWはONE PIECEだから…… それでも比較せざるを得なかった。だってマップ一緒だもん。FAIRY TAILも最初はONE PIECEのパクりって散々言われてたしな。TotKはFAIRY TAILだった。タイトルで想像できないくらいドラゴンの話だった。みんなFAIRY TAILを読もう。

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